2004年3月9日

貧しき人々のための菜園

がレタスの草取りをするダウンタウンの協同組合農場のメンバー

 2005年、世界の都市人口は、農村人口を凌ぐと予想されている。30億人もの都市住民が安全で手頃な食料を必要とすることになる。だが、開発途上地域都市の貧困水準は、慢性的な失業や栄養不良を伴い50%を超えている。

 広範な都市園芸は、食品の品質、安全性、経済性と環境の持続性に配慮して組織化され、現場で生鮮食品を供給するだけではなく、貧しく家族に良い栄養や仕事も提供できるのだろうか?。

2003年、ベネズエラは、FAOの支援を受け、この答えを見出すため都市農業の実験に着手した。政府は、4 000ものマイクロ菜園をカラカス内の貧困地区に導入し、市の内外で20もの園芸協同組合を開始した。


 インスタントの「都市農民たち」が、この熱帯の大都会で生鮮野菜を手に入れるやり方を変えている。以前は、野菜は、遠方の農場から運びこまれるか、近隣諸国から輸入されていた。だが、いまは家庭の台所から数ステップ離れたところで栽培されるようになってきているのだ。

 1年もたたないうちに、4 000ものマイクロ菜園、小石や栄養液が日々与えられる木製のメーターほどの正方形の浅いトレーが、都市の貧しい地区、バリオス(barrios)に中央政府によって設置されたのだ。単一のトレーは、年間に何度も収穫され、330ヶのレタス、18㎏のトマトか16㎏のキャベツを生産できる。

 プロジェクトは、小規模な協同組合によって運営される堆肥に基づく21haの菜園を市の内外に設立した。人々を雇用し、切望している消費者に生鮮食品を提供し、街のオフィス・タワーの影にさえもだ。

 化学研究室での仕事を失ったラファエル・プラサ(Rafael Plaza)氏(42歳)は言う。

 「私が菜園協同組合で働き始める前は、家族は野菜を決して食べませんでした。私の子どもも野菜が好きではありませんでした。今は、もっとたくさんと求めるんです」

 彼は、現在、協同組合で同じほどの収入を得ている。

 プロジェクトは、なぜ、それほど早く多くのことを実現できたのだろうか?。インタビューした、農村総合開発省の次官、レオナルド・ギル・モラ (Leonardo Gil Mora)は、プロジェクトの成功の「秘密」をリスト化する。

 まず、大統領の奨励。大統領は、毎週のラジオ演説で、200万ドルのプロジェクトを発表さえした。今、大統領は、ベネズエラ全域で、10万のマイクロガーデンと堆肥ベースの1000 haの菜園を目にしたいと望んでいる。

 FAOの援助の下、コロンビア、キューバ、そして、セネガルと、他の発展途上国からの専門家が、貴重な技術支援を行っている。

 軍は、何トンもの資材の輸送を含め、兵站を請け負っている。

ベネズエラ人に菜園のやり方を指導するカポテ氏(中央)

 アナスタシオ・カポテ(Anastasio Capote)氏(60歳)は、土、有機資材と厩肥の混合物に基づく農業システムの神秘を明らかにするため、2年間、カラカスにやって来ている45人のキューバ人の技術者のひとりだ。すべての技術者が住むダウンタウンにあるホテルの窓口から、カポテ氏は彼のチームの努力の少なくともひとつの結果を目にすることができる。バジルやマリーゴールド等の忌避植物によって、病害虫が自然に防除され、新鮮な食品で満ちている半ヘクタール菜園だ。

 「この土地の主なアイデアはカラカスの中心に美しい庭があったからなのです。そこで、あらゆる人々は、それを目にし、彼ら自身で菜園を始めることができました。キューバでは、30万の人民がこの農業システムを実践しています。彼らは、野菜を食べ、路でそのいくつかを販売します。すべてが国庫補助なしでです。」

 国連機関としてのFAOの役割のひとつは南南の協力をファシリテートすることだ。ベネズエラでは、ダカールでマイクロガーデン・プロジェクトを立ち上げたセネガルからの技術者が、彼の専門的技術を伝えるため6週間カラカスにいたが、セネガルは、以前のFAOプロジェクトの下でマイクロガーデンについて、コロンビアの専門家からはじめは学んだのだ。

  ローマのFAO本部では、都市農業の小規模な園芸ユニットのガイドラインと規格が開発されている。FAOには、都市内で食料を生産することを望むあらゆる発展途上国にプログラムを設定するためのスタッフを送る資源はないが、触媒として働くことはできる。

「FAOは、セネガル人、コロンビア人、そしてキューバ人と私どもを一緒にやるよう連れてくるリーダーです。もちろん、私たちはFAOなしでもプロジェクトをやることはできましたが、組織は、世界中でどこから専門家を見つけるかを知っています」そう、ギル・モラ氏は語る。

■貧困に対抗する園芸

生鮮野菜を食べるカラカスのマイクロ菜園の菜園者

 1970年代のオイル・ブームによって変貌した近代都市、カラカスの姿を打つのは、都市の丘陵地にある貧困地区の存在である。2003年の世界の食料非確保状況(State of Food Insecurity)によれば、全国的には、栄養不良者の数は、1990~92年の230万人から1999~2001年では440万人にまで増えている。ギル・モラ氏は言う。

「私たちは都市と農村の双方で、国全体にわたり、小規模農業を推進しています。その理由の一部は、農耕でのパートタイム労働によって貧困を減らし、一部は、栄養と食料安全保障を高めることなのです」

 ベネズエラでは、人口の85%が都市に居住し、石油が経済の趨勢を占め、農業はGDPの5%を占めるにすぎない。都市農業は、都市の貧困と輸入食品への依存の双方に取り組むひとつの方策である。ギル・モラ氏は言う。

「バリオスでは、ベネズエラで一般的であるように、人民は、私たちが持っている最も重要なものなのです。都市農業を通じて、私たちは、貧しい人々の自信を高め、社会への彼らの参加を増やすことを望んでいるのです」

(FAOのニュース・ルームの記事)
  Peter Lowrey, Gardening for the poor, 4 000 vegetable gardens flourish in Caracas,2004.

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