2005年7月20日

農業改革、農地改革、食料主権

ベネズエラ、Yaracuy、サンフェリペでの農地改革のワークショップでスピーカーの発言に耳を傾けるピーター・ロゼット氏
新たな土地改革法について主張する農民
農地改革ワークショップのオープニング・セレモニー
農地改革について演説する別の農民
ワークショップの子ども
サンフェリペでの土地改革ワークショップを護るため割り当てられたヘリコプター部隊からの軍人
農地改革ワークショップで話すピーター・ロゼット氏
サンタ・ルチア協働組合JA1の外には、協同組合が「内発的開発」に取り組んでいることを発表している
ワークショップの一部は、サン・フェリペの周囲の別の協同組合で開催された。これは、サンタ・ルチア協同組合JA1での会合
サンタ・ルチア協働組合でのミーティング
ブラジルからサンタ・ルチア協働組合の会合を訪れたMSTのメンバー(中央)
アラカル(Aracal)協同組合の住民、エリベルト・エペス(Heriberto Yepez)、自宅の入り口で。Urachiche、Yaracuy
アラカル協同組合の別の住民、マリア・ポーラ・ペレス(Maria Paula Perez)さん
ヌエル・ソト(Noel Soto)氏とサンタ・ルチア協働組合の2台の新しいトラクタ
ワークショップで展示されたピーマンとcelantro。こうした野菜が地元のミッション・ヴェルヴァン・カラスのブースで展示された
サンタ・ルチア・協働組合でのワークショップを保護するために割りふられたヘリコプター部隊の軍人たち
YaracuyのUrachiche近郊の町のセントラル・スクエアにある教会

 ピーター・ロゼット(Peter Rosset)氏は、メキシコの地方での変化研究センターの研究者で、スペイン語でCECCAMとして知られる。CECCAMはNPOであり、メキシコで農民運動を支援している。さらに土地研究アクション・ネットワークもしくは、Landaction.org.のコーディネーターでもある。このインタビューは、「第三回国際ボリバーリアン革命の連帯集会」と呼ばれるベネズエラでの全国会議の一部として開催された農地改革についてのワークショップの中で、2005年4月15日に運動マガジン(Motion Magazine)のニック・クラーク(Nic Paget-Clarke)によりなされた。

■アグロエコロジーでの歴史的な国際協定

ニック はじめに、なぜ、ここベネズエラで、農地改革に関するワークショップ・イベントにおられるのか、お話いただけますか。

ロゼット 私が、ここベネズエラのこの会議にいるのは、ビア・カンペシーナにより技術チームの一部として招待され、ベネズエラでのこのイベントの国際的な農民や小作農民運動を代表してここに来た5人の代表団の一人だからです。

 とりわけ、私たちが追求しているのは、ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領が、2004年の世界社会フォーラム中で、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スル(Rio Grande Do Sul)のタパス(Tapas)のMST居住地で署名した協定(Chavez, Los Tapes y Las Semillas)という大きな出来事です。それは政府、チャベス政権と社会運動、土地なし農民の社会運動、ブラジルのMSTと、小作農民組織の国際的な連合としてのビア・カンペシーナ、そして、小作農民の運動のためにアグロエコロジーのラテンアメリカの学校を作るための大学とブラジル州政府との間の歴史的な協定でした。さらに、その合意は、ラテンアメリカの種子の、ローカルの種類、家宝の種類)を回復し、集めて、増加させる農民のネットワークを促進しています。生産に関する種子の主権を回復するため、ローカルの種子の回復するためにです。種苗会社由来の商業的な種子に依存するとき、農民たちは失敗するからです。

■種子の回復

ニック それはこの合意の歴史的な様相のひとつに見えます。それが、モンサントのような多国籍企業があちらこちら歩き回ることなのでしょうか。

ロゼット そのとおりです。多国籍企業は、数十年間もの間、農業活動のすべての面に侵入してきており、それを利益があがるようにしてきました。地力を維持するために百年前に農民たちがやってきたことを見てみれば、農民たちは作物を輪作しましたし、堆肥を作り、コンパニオイン作物と混作することで害虫を防いできました。農民たちが投入したのは労働力であり、また彼らが売ったものは彼らの利益でした。ですが、民間企業がそれを少しずつ腐食しはじめました。家畜で鋤をひくかわりに、農民たちはトラクターを売りつけられます。その結果、今や、田畑を耕すことは企業にとって利益となっています。地力のために厩肥をつくり、輪作するかわりに、化学肥料です。それも農民の利益が民間企業にいくものです。コンパニオン・プランツで害虫をコントロールするかわりに、いまは農薬を使います。これも民間企業に利益として盗られてしまうものなのです。

 実際のところ、残された唯一のものは種子だけでした。そして、種子さえ、ハイブリッド種子を通じて民間企業から充当されており、今や、遺伝子組み換えの種子で命に特許がかけられています。これは、農民たちが管理してきた最後の領域、農業活動での自治と主権の最後のもの私有化です。

 私は、小作農と農民たちの運動が、グローバル化に対して線を引いており、「ここまで」そして、「今私たちの抵抗を始める」そして「私たちの防御は種子から始まる。種子を回復する」「種子は生命の本質です。それは農業の本質だ。そして、我々は、企業ではなく人々のためにシステムを再克服するつもりだ」と言っているように思います。土地と環境への良き管理は、種子の回復から始まるのです。

■補助金、なんのための公的支援

ニック 農村コミュニティを分裂させる大きな要因のひとつが補助金の問題ですね。なぜ補助金がなければならないのか、あるいは、あってはならいのかについては、多くの議論があります。ですが、この合意は、そうした全体区分を完全に終わらせるようにも思われますけれども。

ロゼット 補助金問題は国際的な表現として、ビア・カペシーナの農民運動にとって重要です。そして、それはメディアで報道されるのとは大いに異なります。メディアで報道されるものは、「北側の農民たちは補助金を得て、よく生きており、次に安い輸出品のダンピングによって南部の農民を傷つけている」というものです。しかし、実際のところ補助金問題の真実は異なります。それが市場を得る手段であれ、農民たちの作物の価格支持システムであれ、資金融資であれ、農業をするものたちは、みなある種の公共部門のグッズを持つことが必要なのです。

 世界中の農民たちや農民運動が求めているのは、いずれの国であれ、農村地域のための予算を持つ権利があるべきということです。もし、あなたが、それを補助金と呼びたいのであればそれは補助金と呼べますし、それを公共部門予算と呼びたければ、公共部門予算と呼ぶことができます。認めてはならない補助金は、他の国々の農民たちにダメージを与える補助金です。ですから、それは、公的資金を意味します。なぜならば、それらのどれもが、誰か他の人にダメージを与えたりせず、それらがすべてよりよい農村生活、農村のエコロジー、そして、農村経済に寄与するからです。持続的農業への転換を支援する公的資金は良いものですし、土壌を保全するため、農民と消費者との間で直売を行うための公的資金も良いものです。

 その違いは、輸出用の補助金になるでしょう。輸出用の補助金は、カーギル、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland)、あるいはネスレ、パーマラット(Parmalat)が、生産物を取得し、生産原価以下の価格で別の国の市場に置くことを可能にします。それが、地元農民をビジネスから追い出します。それは、第三者にダメージを与える補助金です。農民運動が引きたいラインは、第三者を破損する補助金や予算とそうしない補助金との間にあります。そのカテゴリー中で、そうしない補助金については、あらゆる国や人民には、自らのシステムを設計する権利があるべきです。もし、そのシステムが農業のための公的支援を含んでいる場合、他の国々の人々にダメージを与えない限り、それは、彼らの権利なのです。

■輸出資金と保証

ニック あなたの話しておられるネガティブな補助金は農民のためにはならないのですか。それは、それらは企業向けなのですか。 ロゼット まさにそのとおりです。その補助金システムが働くやり方は、典型的に、農民たちの手をするりと通り抜け、輸出用の資金や保証金として企業へと直接ゆきます。明らかに、現在のシステムは変更されなければなりませんが、北であれ、南であれ、農民組織は、ありとあらゆる補助金を終わらせるために声をあわせて叫ばなければなりません。「どんな種類の補助金か?どれだけか。誰に、そして何のために払うのか。そして、それは良いものなのか。それとも悪いものなのか」と。

■食料主権

ニック それは、食料主権とはどのように関係するのでしょうか。

ロゼット ビア・カンペシーナを導く哲学は、食料主権です。人民として、あるいは国家として、自ら自給することは、国家主権や国家安全保障と同等のものです。もし、あなたが自給していなければ、あなたの祖国が、人民が食べるための食事がグローバル経済や超大国の気のままにされれば、それは独立国とはいえません。主権は自給から始まります。ですが、それは、国家レベルの主権ではなく、どの段階であれ、つまり、あなたの身体の段階の主権でもあるのです。あなたは何を自分の身体に取り入れたいですか。毒を食べますか。それとも、健康によい食物を食べますか。それはほとんど個人の主権の問題です。農村で、尊厳をもって暮らすことを学ぶこととあわせ、自給するための十分な食物を生産できますか。食料主権は、いかなる国家と人民も彼ら自身の農業、を定義する権利を持っているべきであると言います。自分たち自身の歴史や農業の伝統にそった自分たち自身の食料システムや補助金を含み、私が言ったように、別の国の農民や人々にダメージを与える補助金は含むことができない。そして、人民も国家も、食べるものが、どのように生産され、誰がそれを生産するのかを定義し、何を食べるのかの主権を持っています。健康、環境、そして、ローカルの経済開発の問題は、それゆえ、いずれも食料主権というこの概念の鍵なのです。

■実際の農業改革:開発の異なる軌跡

ニック ここでのイベントのトピックのひとつは、サン・フェリペ(San Felipe)での農地改革ですが、あなたは、多くの様々な国々で農業や農業経済を研究されていますよね。

ロゼット 土地研究アクション・ネットワーク(Land Research Action Network)は、現実的な農地改革問題についての活動家と研究者のネットワークです。そして、私たちは、様々な国々で農地改革のために戦う運動と連帯しています。

ニック ベネズエラでのこの運動はどのように見ておられますか。それは他の農地改革運動に匹敵するものなのでしょうか。

ロゼット 一般的に言って、農業改革は、土地を与える土地改革を越えるもので、家族農業が成功するため条件を創り出すことを意味します。農業改革は、様々なモデルや開発に向けての最初のステップです。世界中のどこであれ、土地なくしては、農村貧困問題に取り組むことはできません。なぜなら、あなたがアクセスから生産的な資源から大多数の人民が切り離されているとき、それ以外はほとんど意味がないからです。それは、どのような開発のオルターナティブであれ、トラックの出発点です。

 第二次世界大戦後、農地改革はおおいに流行し、いくつかの有効な農地改革があった時期がありました。効果的であったというのは、良質な土地がそれを必要とする大多数の人民にもたらされたという意味でです。そのことが、今は経済的に大成功を収めているとはいえ当時は、とても貧しい国々にとっての経済発展のターニング・ポイントであったことがわかっています。社会主義と資本主義のどちらにおいてもです。資本主義圏内では、日本、韓国、台湾のような国々、そして、社会主義圏内では中国、ベトナム、キューバのような国々です。より包括的なモデルに向けて、誰しものために生活水準を上げることに向けて、経済開発でのターニング・ポイントは、本当の農業改革でした。

 しかし、その後、それはタブーとなりました。ワシントン・コンセンサスのもとでは、もし、第三世界諸国の人民が「農地改革」との言葉を口にしたならば、恐らく翌日には消されてしまうことでしょう。それがここ数十年間と進んできたのです。

 以来、ここ10年か、あるいは10年以上、どの政府も農地改革を押し進めてきませんでした。農民運動が非常に強くなり、とりわけ、農村開発ですが、開発全般についての討論に農業改革の話題をもどさせるまでです。

 そして、この時期、世界の中で農業改革問題に対し、少なくとも重大な関与をしているただ一つの政府がベネズエラなのです。それが、国際運動としてのビア・カンペシーナとランド研究アクション・ネットワーク、そして、農地改革の研究者として、何がベネズエラで起こるかにとても関心がある理由なのです。それが、私たちがここにいる主な理由のひとつです。ベネズエラで農地改革、または農業改革で何が起こっているか確かめるためにです。

■農業改革と市民参加

ニック 参加型民主主義の考え方とアグロエコロジーとの関係はどうなのですか。人民たちがアグロエコロジーのアイデアを実際に使って土地も改革していくわけですか。

ロゼット ある種の市民参加なくしては、農業改革は行われないでしょうし、化学集約農業や遺伝子組換え農業からは、アグロエコロジカルな農業への転換はなされないことでしょう。現在の機構が強力すぎるため、まさにそれは不可能です。地主が護る土地であれ、農業化学工業が守ることであれ、市民運動なくしては、それを変えられません。私たちが鍵となるファクターとしてみているのは、現実をコントロールでき、それを変えることができるという意味での農民運動の強さ、団結、知能、成熟、戦略です。一部は、土地へのアクセスと農地改革のために戦うことを意味し、一部は、農民を依存させる化学薬品の支配的な技術モデル、高い生産コストのために農民たちを無一文にしてしまうモデルを打ち壊すことを意味します。それは、ローカルな知識の回復に基づいて、ローカルなエコロジーのプロセスの上で、より多様なエコロジー的な生産システムの上で、自発的な(autochthonous)モデルを開発することを意味します。

 世界的な農民運動としてのビア・カンペシーナは、それにコミットしています。ですが、それはレトリックとしてのコミットであって、それが実際に起こるかどうかはまた別のものです。それが実際に起こるには、農村地域で基礎レベルとして莫大な量の組織的なキャパシティーが必要です。これはブラジルでの土地なし労働者運動(MST)で目にすることができます。MSTは、今まさに世界で最も組織化された農民運動であり、以前は不在の地主上流階級に属していた800万ヘクタール以上の土地を100万人以上の人民が占拠するところまで、現実を活発に変えています。そして、MSTは、今、彼らの居留地で、エコロジー的な農業への転換を推進しています。

■ブラジルとベネズエラ:異なる状況

 ベネズエラでは、とても状況が異なっています。ブラジルでは重要な農地改革に対して前政権はほとんど関心を示さず、ルラ政権でさえ興味をもたないという事実があるにもかかわらず、土地なし労働者運動(MST)が、農地改革を行っています。彼らは流れに逆らって泳いでいますが、その組織力の強さのゆえに、それをなすことができました。

 ベネズエラでは状況が大いに異なり、ほとんど反対といえます。ここでは、農業改革に対し強力なコミットメントを主張する、とても進歩的な大統領がいます。彼は進歩的な土地法を可決しましたが、ここでは農民運動が組織化されず、ブラジルよりもまだ日が浅いのです。チャベスがベネズエラの大統領になったからといって、機関や土地所有の構造は一晩で自動的に変わるわけではありません。それは、事実を変えません。そして、ベネズエラの農村地帯では、いまだに、地主や彼らの個人的暴漢、雇われガードマンが、農村生活をコントロールしています。チャベスは大統領になりましたが、省のスタッフを変更していません。彼は大臣を変えても良いのでしょうが、例えば、農業省内でのすべてのポストを占めるように訓練された若い人々が十分いません。ですから、トップからの農業改革がある事実にもかかわらず、それが草の根で前進することはとても困難なのです。 理論的には、ベネズエラの農地改革法の下では、小作農民たちは、不法に得られた土地を識別できます。典型的には、大地主によって所有されたほとんどの土地は不法に得られたものです。それは世界中で一般的な真実ですし、もし、実証することができる場合、法的なプロセスで、土地を転換することを求められます。ですが、そのプロセスはさほどうまく働いていません。まさにチャベスが大統領になっても、一夜でベネズエラを変えていないからです。

 地主たちはいまだに暴漢を雇っており、農民グループが土地を何度も求める場合、リーダーは暗殺されます。農地改革法が可決されてからも130人の農夫リーダーがベネズエラで暗殺されました。そして、誰一人として、それによって裁判にかけられていないのです。

 チャベスが彼らを法の裁きにかけようとしていないわけではありません。なぜなら、地主たちは、誰かを殺害するのにたった一度だけ暴力団のメンバーを雇うという技術を使い、ギャング・メンバーはたいがいコロンビアに消えてしまいます。  逮捕はいうまでもなく、その関係を証明し、彼らを追い詰める方法はありません。

 機関もまだ以前の政府と同じ物であるので、動きません。スタッフの95%は同じです。農地改革を呼びかけ、土地改革法を持っている革命政府と共に、地主から脅されている多くの土地なしの小作農たちがいるという奇妙な状況があります。

■転換の時

 ですが、私は、良い方に改革が進むと思っています。なぜなら、チャベス大統領の農地改革の夢を見ないことに対する農民たちのフラストレーションが、農民たち自身をずっとよく組織化させているからです。

 農地改革の成功は過去にも起こりました。例えば、キューバ革命です。それは、まさにフィデル・カストロの発言ではありませんが「今、農地改革がある」でした。キューバが実際に農地改革を行うには1960年代に多くの歳月がかかりました。トップからの農地改革法則が効果的になれたのは、小作農たちが組織化され、下から押したからでした。それはトップからのコミットメントを必要としていますが、実際に農業改革が起きるには、農地改革のための下からの押し上げと、両方から押すことが必要なのです。

 ですから、私は、これが転換の時であると思うのです。歴史には、実際に法を施行することを乗り気でない官僚政治を強いる地主からの暴漢から、彼ら自身を護るため、人民たちが十分に組織化されるポイントまで、不満が構築されるというこうした転機があります。同じことが他の革命でも起こりました。私は、これをベネズエラでの転換の瞬間として見ます。将来を予言することはとても危険ですが、私は、私たちが連帯や農民運動の迅速な成熟プロセスを目にできることを望んでいます。また、今までは実践よりも理論であった農業改革が実際に適用され、最終的には強化されることを期待するし、信じています。

■全世界の農村危機に応じるビア・カンペシーナ

ニック ビア・カンペシーナの話に戻りましょう。それはどのようにして始まり、いま何をしているのですか。

ロゼット 前にも申しあげたように、ビア・カンペシーナは、いま、まさに世界の家族農家や小作農民たちの運動のグローバルな連合体となっています。世界というのは、北の国々、南の国々、東の国々、西の国々、そして、家族農家、小作農民たちの組織、先住民の組織、漁民の組織、土地を持たない人々、農村女性、農村の若者、農場労働者連合を意味します。おそらく、世界の2億人の人々を代表し、ますます成長し、急速に組織化が進んでいます。

 どの農村も危機的であることを農民たちの組織が理解しはじめ、それは、1992年に設立されました。では、農村の危機とは、農場が危機にさらされている中西部の米国の田舎でしたでしょうか。毎週4,000もの家族農場が土地を失っているヨーロッパでしたでしょうか。農村から都市へと大量な流出がどこでも起こっているラテンアメリカ、アフリカ、あるいはアジアでしたでしょうか。農村の危機はどこも同じで、グローバル規模での二つの異なる農業モデル間に矛盾があったのです。

■二つの農業モデル

 ひとつは、アグリビジネス・モデルです。工業的農業、輸出向けの大規模で、大量、廉価、低品質な食べ物がグローバル経済を動かし、地方の農民をどこでも仕事から追い出しています。その食べ物は、基本的には不健康で、脂肪、砂糖、塩、そして人工着色料や人工調味料、その他の種類の発癌物質があり、消費者を毒殺しています。

 私たちが米国で「家族農業モデル」と称するものに対応するものを、南側の国々の人々は、土地を備えた調子が良い家族に基づく農業を「小作農業モデル」と呼びます。グローバル市場向けに味がない農産物を生産する代わりに、より持続可能な農法を使って、地元、地方・国家経済の中で、実際の人々のための実際の食料を生産しています。支配的なモデルが数十年間にわたって、家族農家や小作農たちを消滅へと追いやり、ついに家族農家や小作農たちが「もう、十分だ。これまで以上はやれない。いまや反撃する」(Basta)というポイントまで来たわけです。

 私たちが、いま目にしているこのビア・カンペシーナ運動は、私たちが反グローバル化運動と呼ぶこの大きな運動の中でも最大のダイナミックな運動となりました。自由貿易政策と戦い、シアトル、カンクンでWTOに反対し、米州自由貿易圏(FTAA= Free Trade Area of the Americas)、遺伝子組換え作物に反対し、アグロエコロジーや農業改革を支持する。私は、ヴァンガードという言葉は使いたくないのですが、それは企業のグローバル化と戦うグローバルな規模の社会運動中で、実際に指導的な役割を果たしています。支配的なモデルにより最も疎外されている人々が、いま、最初に反撃しており、私は、彼らがそのやり方を多くの他のセクターや運動に示しているのだと考えます。

 私は、消費者たちも、ビア・カンペシーナのようにグローバルに連帯することを望んでいます。そして、女性たちの運動、先住民たちの運動、労働者たちの運動も、今、まさに世界中の農村コミュニティで、グローバルに全国的にローカルで反撃する方法を示しているビア・カンペシーナと同じ主張や指導的な役割を国際的に行うことを希望しています。

■参加型の民主主義、コミュニティの組織化

ニック 生きるために食料を生産している人々と参加型の民主主義との間にはつながりがあるのでしょうか。

ロゼット 人々は生きるために食料を生産しますが、食べ物を低質のジャンクフードに変えてしまうずっとはるか彼方にある市場や企業のためにではなく、消費する人々のためにも生産します。人々のために食物を生産しています。

 そして参加型の民主主義とは、誰もが投票所にでかけて、ほとんどかわりばえのしない、ひとつか二つしかない政党に投票することではありません。参加型の民主主義とは、そうではなく、人々が自分たち自身のコミュニティを組織化し、自分たち自身の現実をコントロールし、そして、肯定的な方角へと現実を変えていくことを意味します。私にとっては、それが本当の参加民主主義です。投票ですることはほとんど何もないにしても、それは、民主主義の姿にほぼ似ています。それは、全世界の貧困や環境悪化に取り組むために必要とされる本当の改革の表面をかすめて飛ぶ表面的なプロセスです。人々が自分たちの現実に対する責任を負い、それを転換するときのみ、本当の改革が起こります。それが、私にとっては参加型の民主主義です。他の人々は、それをコミュニティの組織化と呼ぶかもしれません。ですが、それが何であれ、それが、実際に必要とされることであり、それが本質なのです。

■食料システムを変える

ニック 今後、この運動は高まっていくのでしょうか。

ロゼット そうですとも。それがモンサントや種子であれ、それがカーギルやグローバルな穀物であれ、それが、ネッスルやParmalatであれ、彼らが望む、特徴がなく、味がなく、画一的な製品をサプライ・チェーンに沿って誰しもに求めさせるスーパーマーケットチェーンであれ、肥満、糖尿病、心臓病、癌により消費者を殺しているシステムであれ、農地から農民を切り離すことで農民たちを殺しているシステムであれ、それはグローバルな食品産業に反応する運動です。農民たちが道をリードしていますが、食べ物を食べる残りの人々も彼らと闘争に参加しようとしています。なぜならば、私たち消費者にとっても、生産者である農民たちにとっても食料システムを変えることがまさに重要だからです。

(Motion Magazineの記事)
  Interview with Peter Rosset of CECCAM and Land Research Action Network: Agrarian Reform, Land Reform, Food Sovereignty,2005.

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