2003年9月1日

ハバナの都市有機農業

 完全に計画されているのだろうか?。そう、それは確実に愛憎関係だ。そして、開発途上地域の大部分の町や都市では明白なことだ。人々は都市内で生産された食料に大きく依存している。市当局もそのことを知ってはいる。だが、都市内で進行している農業の多くは厳密に言えば、違法なのだ。

 その結果はどうか。納得がいかない不適切な場所での管理されない農業、そして、生きのびるには自ら食料を作るか、家畜を飼うしか選択肢がない人々に対して、ばらばらに弾圧がされたり、課税されたりといったことの混ぜ合わせになっている。健康、交通安全、その他を考慮し、市当局は、市内で農業を開発する計画を立てることを手控えている。だが、もし、都市農業が認識され、合法化され、管理されるならば、都市農業は、農民、消費者、そして市当局にとってもはるかに大きな恩恵をもたらすかもしれないのだ。

 例えば、ウガンダのカンパラ(Kampala)市では、市当局が都市生活の必要にして欠かせない一部として、一時的ではあるものの、都市農業を受け入れる土地利用計画の最初のステップへと歩みだしている。現在、カンパラ市は、都市農業と都市内畜産を法的に見直し、選ばれた政府職員が参加し、「都市農業・健康調整委員会」が設立されている。そして、大学には都市農業リソース・センターが設置されている。

 ケニアでは、グリーン・タウンズ(Green Towns)と呼ばれるNGOが、40もの都市や町で市当局と住民との協働で成果をあげている。ナイロビだけでなく、緑地空間を都市農業のために保全しているのだ。そして、法的な認知面では、国際農業研究センターの都市収穫プログラム(Urban Harvest programme)等、国家機関や国際機関が、より効果的な行動に向けて動いている。

 だが、アフリカとアジアの市当局は、ラテンアメリカ、とりわけ、キューバとその首都ハバナでの経験から興味深いレッスンを学ぶことができるだろう。

■ゴミ捨て場から菜園へ

 長年、ハバナの都市農業は、輸入された農薬、機械、燃料と飼料を使う比較的大規模な企業による商業的な集約農業だった。だが、10年前、キューバの主な貿易相手国であった旧ソ連の崩壊と共に、農業投入資材の輸入は67%も落ち込み、農業生産の危機を引き起こす。政府は、首都内で個々の家庭が食料を生産するため、慎重な土地利用計画を立てることで、これに応じた。人々は、遊休化していた土地の利用権(所有権ではない)を与えられ、作物を有機栽培するための支援も受けた。

 市当局は、多くの人々に食料への需要があると論じ、有機ではない生産は認められていない。長距離輸送されると、生鮮果物や野菜は傷むのだ。 野菜生産や家畜飼育は、労働集約的なプロセスである。そして、都市や町では労働力が準備されたが、元はといえば、その人々は農村地域の出身であり、農業経験も豊かだったのだ。 地域を食料生産に捧げることで、都市はオープン・スペースを維持し、環境を改善するであろう。同時に、失業や食物の不確実化の悪化する危機を緩和する一助にもなる。

 ハバナの都市農業は、13タイプの「都市農場」からなり、様々なタイプの農民グループに支援がなされている。最も多いのは、小規模な果樹園と畑で、その数は現在2万ヶ所以上あり、2,770ヘクタールにも及ぶ。基礎的協働生産ユニット(UBPC)は、1994年以来178設立されているが、主にサトウキビを栽培し、牛を飼育している。CCS(資金サービス協同組合)は、農場所有者からなるグループで、その多くが花を生産している。政府は、やせた土地での集約農業に融資し、そこには大量の有機物が投入されている。野菜、香辛料、薬用植物を生産する19ヘクタールの高収量の有機園芸ユニットもこれに含まれる。ハバナの国営の組織の多くには、そのカフェテリア用の食料を生産し、過剰農産物は家へ持ち帰ることができるよう労働者に販売する農場を持っている。政府は、育苗センターや種子とバイオ肥料と生物農薬を販売し、情報を提供するための店舗も提供した。いま、キューバは有機的な病害虫管理では世界的な権威として認められている。検査官が有機都市農業用の都市規則を実施し、こうした規則に違反すると罰金が課されるのだ。

■そして、ほかの場所では?

 なるほど、キューバは例外的なケースではある。国民はよく教育されており、新技術をすばやく採用できただけでなく、キューバほど権威主義的ではない政権では課すことが難しいであろう社会主義の規則や管理を受け入れている。とはいえ、その小規模な都市農業での業績は際立っている。では、キューバほど規制されない状況下で働いている市当局は、どうしたら土地使用管理のための、良い政策を達成できるだろうか?。 まず必要なことは、健康、水供給、経済開発を含め、都市農業に関係する全部局からの代表を含む市の委員会を設立ことだろう。その政策は、パブリックなコンサルテーションで開発・提供されなければならない。 どんな空間が都市農業に利用でき、どんなタイプの農業活動が最も適切で、それがどこにあるのかを確認するための計画も立てなければならない。とりわけ、土地利用権と関係する法と規制は記述され、課税やもし、適切であるならば税控除も定義されなければならない。処理廃水の使用にも関税を設定しなければならない。そして、都市農業を継続して良く管理するため、市当局と利用者との間につながりをもたらす委員会も設立されるべきだ。言うは易く、行うは難し。とはいえ、都市農業は現存しているのだ。市当局はそれを働かせる方策を見出さなければならない。

(イギリスのHPNew Agriculturistからの記事)
  New Agriculturist, Planned to perfection?,2003.

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