1997年2月7日

遥かなる島、キューバ

 偏見を粉砕するには旅が最高だ。例えば、北米では、良い生活するには、お金がたくさん必要だと広く信じられている。お金がなければ、貧しい暮らしをおくることになる。

 だが、ほとんどの評価によれば、キューバの普通の労働者たちは、年間に300ドルほども稼げていない。だが、なぜ貧しくないのだうか。キューバは、全世界の中ではそうではないにしても、ことラテンアメリカ内では、乳幼児死亡率は最低だし、寿命は最高だし、住民一人あたりの医師の数は最も多いのだ。そして、キューバ人たちは、 北米人たちの約30分の一のエネルギーしか使っていないが、その生活水準は高いように思えるのだ。とりわけ、それ以外のさほど工業化がされていない国と比較した時にはそうなのだ。

Tooker Gomberg氏

 僕らは次の千年期を迎えようとしているが、先進国では、もっと多くのモノをという貪欲な欲望に駆り立てられている。この飽くことなき欲望が、いま、地球の命を支えるシステムを急速に破壊しているように思える。だから、わずかの資源しか消費していないのに、基本的な暮らしのニーズに応えているキューバの成功は、熟慮し、賞賛する価値があるのだ。

 横に渡した木に子どもを乗せ、後ろの荷台には女性を乗せて自転車に乗る男性。砂利がばらまかれた空き地で、棍棒と手製のボールで野球をしている子どもたち。小銭を稼ぐためにココナッツ・クッキーと絞りたてのオレンジ・ジュースを売っている街頭の物売り。道行く人がマンボを踊るように促す、ハバナ・ビエハの狭い通りに響き渡るアフロ・キューバの音楽のリズム。コーン・フリッター、キューバ産の立派なバナナ、ニンジンとパパイアでいっぱいの活気に満ちた市場。砕ける波とマレコンの海辺の遊歩道で愛し合う恋人たち。

 広告が全然場所をイメージして欲しい。キューバでは、政府がテレビやラジオ局をコントロールしていて、コマーシャルがないのだ。際限なく需要をかきたてる広告や雑誌やポスターがない。そして、そうした宣伝がないことで、宣伝が、いかに世界中で消費を伸ばす原動力として働いているのかが、明らかになっているのだ。

 キューバでは、金銭を調整できる。私の友人は「月に300ドルを稼ぐのと同じだ」語った。そして、彼の給料は、米ドルを稼げる観光業で働く人たちを除けば、誰よりも高いのだ。けれども、キューバの人たちはたくさん稼ぐ必要がない。多くが無料で提供されるか、ほとんど無料に近いからだ。家賃は、収入の10%以下に定められ安定しているし、ヘルス・ケアとディケアと教育はタダだし、大学でさえ無料なのだ。所得にかかわらず、よい点数が取れれば大学が利用できるのだ。

 食料は不足し、とりわけ石鹸と料理用油はいつも不足しているように思われる。けれども、米、豆、パン、コーヒー、果物、そして時には肉もある。基本的な食品はほとんどが無料で、配給される。子どもたちは牛乳も保証されているのだ。

 無駄になるものがほとんど何もない。円錐状に手で巻いた紙の中に、揚げたバナナ・チップを入れ、売っていた物売りは、再利用するために、それを取り戻すと嬉しがった。残飯は、たいがい裏庭の鶏や豚に与えられる。驚くべきことに、通りにはほとんどゴミがなく、ちょっとしたゴミも、街路の清掃人やその手押し車が毎朝一掃しまうのだ。グローバル・スタンダードからすれば、キューバの社会や経済革命は、まことに印象的だ。

 確かに、キューバはユートピアでない。資金や資源不足で、二、三日毎に停電があるし、調理用のガス供給サービスもあてにならない。多くの人々は、食料やその他の必需品が十分ないことに不平をもらしている。ハバナ湾は、世界で最も汚染された湾のうちのひとつだ。精練所の煙突からは黒い煙がたなびき、200万のこの都市をおおっている。そして、西部の町では、車やトラックは少ないものの、路上の自動車は、混合燃料を燃やして汚染物を噴出している。

 だが、全体的に見れば、キューバは柔軟だし、平等で、知的であることを実証しているし、環境への負荷を少なくすることで大きく前進もしているのだ。来週には、僕らは、キューバの自転車革命、有機農業への転換、そして、再生可能エネルギーの成長ぶりについてふれるつもりだ。どれもがそれ以外の世界がマネしたいと感動を覚えるほど印象的なエコロジーの実験だ。その時まで、僕らはこの熱帯カリブの島の風景や音楽に浸っていることだろう。

Hasta luego companeros y companeras!
(カナダ・トロントのグリーン・インスピレーションのHPの記事)
  Tooker Gomberg and Angela Bischoff,Cuba A lsland apart,1997.サイト消滅

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