2001年8月13日 本文へジャンプ


キューバの農業改革


キューバの教育


 10年前のソ連崩壊はキューバ経済を深刻に低下させ、国はすさまじいまでの社会的な重圧を受けた。たが、全員が無料という、カリブ海とラテンアメリカで最も優れたカストロの教育制度は、いまも苦闘している。

 どの子どもも料金を科されることなく、質の高い授業を受ける権利を持つ。この信念に基づき、カストロの1959年のキューバ革命に引き続き、教育は社会化されたが、奇跡的にも以前の半分の予算で残存しているのだ。

 この火曜日で75歳の誕生日を迎える独裁者に対し、大衆暴動を引き起こすことを目指し、40年間も米国は経済制裁をしてきたが、この共産主義国家の絶賛された教育制度は、ほんのわずかのダメージしか受けなかった。

「キューバは、教育を重視するその能力を維持しています。国家予算で教育に大きな割合を割いているためです」とニューヨーク・シティ大学の国際法のパミラ・フォーク教授は言う。

 キューバの1999年の平均年収は1,700ドルで、西半球で最も貧しい国家のひとつだ。だが、今までどおりに、その人民を教育する学校制度にうまく融資できていることは疑わしく思えるであろう。だが、それはされているのだ。キューバの識字率は、ラテンアメリカ内で最高で、多くの先進国と同等なのだ。

 CIAの世界真実報告によれば、2000年で15歳以上のキューバ人のほぼ96%に識字力があり、それは米国人より1%少なく、ハイチの二倍だ。メキシコの識字率は90%以下で、ブラジルはかろうじて83%を越えるだけなのだ。
「キューバの教育分野への大きな貢献は、その初期の識字力向上キャンペーンでした。それが、よく教育され、情報を受ける人民へのステージを設定したのです」とフォーク教授は言う。

 カストロの1961年の学校キャンペーンは予算が不足しているときでさえ、無料の教育を保証し続けている。

「キューバは経済的な豊かさで欠けるものを、若者たちを大切にすることで、なんとか粉飾している」
 アメリカ・バッファロー・センター大学のミッシェル・ニーマン教授は言う。 「経済封鎖やそれ自身の経済問題に直面していても、統一された全面的な、すべての子どもへの質の高い教育をキューバは供給できたのです」

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)によれば、1997-98年には6~16歳のキューバ人の約94%が学校に入学している。国の義務教育プログラムは、15歳までにその教育を終えることをキューバのすべての子どもに求め、それ以降は、学生は、就職するか、工業学校、スポーツ学校あるいはプレ大学校に通うことを決めることになる。

 プレ大学校は義務ではないが、それは無料だ。卒業した人々は、キューバに32あるカレッジのひとつに無料で参加できる。国連児童基金(ユニセフ)の研究によれば、キューバ人の15人に1人が大学学位を持っている。
 キューバの無料の学校教育制度は、米国政府を恨みに思わせる注目すべき特徴を持つ。それは、共産主義の理論と反資本主義見解での教室の授業からもたらされている。教師や学生が国により組織された非教育的な政治活動に関わることへのプレッシャーもある。

 大学への入学許可は、一部は申請者の「革命的な態度」を評価するテストで決まる。共産主義青年団への参加が、確実にチャンスに影響する。  学生たちは、好きな勉強分野を選ぶことができる。だが、最終的に国が最も望ましいキャリアを割り振るのは、政治的、学問的に、最も高く評価された候補者だ。

 どの専門プログラムも、そのカリキュラムに共産主義のイデオロギーを組み込んでいる。さらに、研究分野にかかわらず、学生たちは、科学的な共産主義コースを含む必須基礎をこなさなければならない。大学を卒業には、キューバ共産党政府のために数年は働かなければならない。

 だが、最近、キューバの無料教育は困難に直面している。1989年のソ連崩壊は、キューバが第一の貿易相手国を損失したことを意味し、教育支出の半減を政権は強いられた。結果として、教員たちは不十分な供給と老朽化した機材で働いている。1999年2月に給料が増加した後でさえ、ほとんどの所得は月当たり約20ドル相当だった。こうした教員たちの苦闘をまず目にして、進んで教職に就く若者はますます減ってきている。

 キューバ・ニュースによれば、1990~91年には、キューバには23万人以上の教員がいたが、その数は1998~99年には20万人以下に減っている。教師不足を補うため、キューバの子どもたちは、正式な訓練を達成していない国の職員や個人に教えられるようになってきている。

 将来的には、その質の高い教育制度を低コストで維持することへのキューバの努力は強まるであろう。  いま、学生たちは、資金不足に対処する創造的な方法を見つけている。後で、その作業を消し本が再利用できるように、学生たちは鉛筆で本の中に書いているのだ。いつも義務的な「労働教育」の一部として、再生本を直して、学校備品を確保している。さらに、それ以外の改革もあるだろう、と専門家は言う。 「時とともに、学校が、今のユニークなマルクス・レーニン主義の「哲学」への概念的なアプローチを、それ以外のイデオロギーを提供しだすと仮定できましょう」とフォーク教授は言う。

「ソ連圏の崩壊で、農村と都市での識字力の重視が確実に焦点にはなりましょうが、キューバ教育カリキュラムは恐らく徹底的に見直されることになりましょう」


 Robin Sacher, Quality Education Without Money, CBS Worldwide Inc,2001.