
2004年2月初旬、「キューバの子どもたちへのサービスのスタディーツアー」で、カナダから12人仲間と一緒にスタディツアーに参加する機会を得た。キューバには子どもや若者を大切にする文化があり、若者たちは信頼され、視察や対話を通じて、かけがえのない体験を楽しめた。
キューバは、今、経済的に苦闘しているが、恵まれない人や身体障害者、子どもたちなど、社会の中で傷つきやすい人たちへの同情心が豊かな国なのだ。キューバの人々は、健康、成長と発展、そして、子どもや若者の教育に限られた資源を重点配分している。カストロの野望のひとつは「子どもたちのための世界」を創り出すことだ。キューバは乳児死亡率を引き下げるうえでも大成功している。
1959年に、1000人当たり60人だった乳児死亡率は、2002年には、6.2人となり、それを5人まで下げる目標を掲げている。幼児死亡率が低下したのは
- キューバで訓練された医師の増加(現在、6万6325人の訓練された医師がいる)
- 妊娠の初期や出産経験、育児には男性も有給休暇を取って関与させることに重点をおいた母と父親の責任プログラムの創造
- 病院の近くに住んでおらず、適切な栄養や子どものケアのクラスを受けられない女性のためのマタニティ・ホーム
- 赤ちゃん病院イニシアティブを全国展開することによる母乳での子育ての強調(1990~1998年で、母乳で育てられる割合は、新生児で63~98%に増え、うち、72%は4カ月後もまだ母乳で育てられている)
また、1962年ポリオ、1967年マラリア、1972年破傷風、1979年ジフテリア、1993年はしか、1995年風疹、1995年おたふくかぜと小児病も根絶されている。これは野心的なワクチン接種プログラムで達成されたものだ。それ以外の病気はまだ完全には根絶されてはいないものの、破傷風、インフルエンザ、B型肝炎、B型、C型髄膜炎を含めて、その罹患率は格段に低い。エイズも0.05%と蔓延率はカリブ海で最も低いのだ。
女性には1年の産休があるが、それは完全な有給休暇だ。同じ条項下で、パートナーとこの休暇を共有することもできる。デイケア・センターにいかない幼稚園児は、ユニセフの支援を受けた「子どもを教育しよう」と呼ばれるプログラムに週3回行くことができる。就学前の児童の97%は、この初期に発展させるイニシアチブに参加している。
小学校に入学すると、家族と子どもは、心理・社会的アセスメントを受ける。低所得、アルコール依存症の両親、刑務所にいる両親、そして、精神病の問題を抱えた両親が、想定されるリスク要因だ。学校には子どもたちが良質な昼食や軽食を食べられる準寄宿学校(semi-boarding)プログラムがある。
学校は両親に必要な便宜を図るため、朝7時から始まり、午後7時まで開いている。働く両親のために休日も開いていて、スタッフがいる。最近は、学校は、包括的な教師に向けた動きがあり、1人の教師が全科目を教える責任を持つことになる。このやり方は教師と生徒が良く認識しあえ、教師の子どもへの責任感も高まるという。
小学校では、教師と生徒の比率は1:20で、中学では1:15だ。歯医者は、すべての子どもを治療するため学校を訪問する。行動に問題(conduct
problems)のある子どもたちのために特殊学校も創設されており、個別プログラムで、子どもたちは総合的なチームから評価される。特殊学校の平均滞在期間は1.5年で、通常校に戻る統合的な工程でフォローされている。
障害を持つ子どものための在宅校(residential school)の施設はすばらしく、専門教師、クリーンで快適な寮、理学療法プログラムや設備、現場の医師、看護師、歯科医、そして、作業療法士には感動させられた。
コンピュータ・ラボはいまや小さな教室だ。精神病バレエ(Psycho-ballet)は、身体的に障害のある子どもへの治療法(therapeutic
intervention)で、その身体的な能力と同じく、自尊心も育てるうえでとても効果的な方法だ。彼らのパフォーマンスは、美しく全く感情のままに動いていた。
私たちは6~18歳の約20人の子どもを収容する孤児院も訪ねた。こうしたホームは、1976年にキューバを去って、子どもを捨てた人たちの流出(exodus)に対処する努力から作り出されたものだ。こうしたホームは、国が運営し、長期的に安定したスタッフがいる。とても清潔で、快適な居住だ。彼らが18歳になっても国はケアを止めず、彼らは自分たちのホームとの感情的な絆を返すのだ。何歳になろうと、国は、彼らにホームを与えることを優先している。孤児院のワーカーたちは、大学で訓練を受け、していることを愛しており、子どものケアにとても熱心だ。子どもが病院に入るなら、ワーカーたちもでかける。
それ以外の国のように、キューバにも、卒業前に退学し、失業しても方針が定まらない若者たちがいる。そのため、訓練技能校が設置されており、こうした若者に職業選択で無料のトレーニングと教育を提供している。こうした学校に通う間は、彼らは給料を受け取り、結果として、出席や集中が奨励されているのだ。
それ以外に印象的だった訪問先は、子どもの演劇グループだった。私たちは20人以上の子どもたちがかかわる赤頭巾ちゃんの壮大な劇を楽しんだ。キューバの演劇グループの目的は、将来の俳優を育成するためではなく、むしろ劇場のシリアスなゲームをすることにある。それを通じて、自尊心を育み、一緒に協力して働き、達成したことにプライドを感じる媒体を供給しているのだ。両親や祖父母などの親族が、服装とprops支柱を作り、ビルを維持することに取り組む。家族全員がプロジェクトにかかわるのだ。
子どものメンタル・ヘルス入院患者と通院患者診療所では、子どもやティーンエイジャーが、精神病施設に入所する必要が認められると、親や両親もお金を失うことなく、認められることを私たちは知った。この常識的なアプローチで、スタッフたちは、両親たちに陥っている苦境に取り組み、自分たちの子どもを助けるスキルを教える機会を持てるのだ。
全体的に見て、子どものサービスのキューバツアーはとても地味(humbling)な経験だった。キューバ人たちは、弾性的で精力的で、傑出して誇り高い。モノ不足と厳しい経済時勢にもかかわらず、自分たちの成果を誇りに思い、よく教育され、栄養がゆきとどき、助けられ、励まされる人々の国を発展させるようと、前進への強い信頼と信念を持っている人々の国なのだ。これと比べれば、私たちは、多くの泣き事を言い、どういうわけか自分たちの成果を誇りに思えない民族のように見え、子どもや若者が私たちの集合的なエネルギーの焦点にならないことを選んでいるのだ。一番明白なことは、キューバの人々がいかに自分たちの子どもや家族のニーズを自分たち自身の上においているかということなのだ。
私は、キューバの子どもへのサービスは後れを取っており、その知識や洞察には欠けたものがあると思ってでかけた。だが、かわりに、私は、キューバ人たちの「精神」や強い信念、そして若者たちへの投資を目にしてうらやましくなった。圧倒的なまでの愛や大人と子ども、そして、高齢者と子どもとの間に示されたケアにも最も感動した。30年間以上も子どもと一緒に働き続けてきたある1人の教師と彼女の同僚は、「もし私が明日死ぬとしても、もし、またこの世に戻ってこれるなら、もう一度、いま30年間もやっている仕事をしたいと願っている」と言ったのだ。キューバの人々は、本当に子どもたちを愛しており、子どもたちを助けたいと心から願って働いている。そして、その成功は誰もに目に見える。子どもたちは、あらゆる方法で、健康、幸福、そして、保護されていることを示している。
キューバのリーダーシップ・スタディツアーは、私の期待以上のもので、ユニークなやり方で学び経験する機会を持てたことからとても幸せだった。ツアーは、キューバ女性連盟とカナダ子ども福祉連盟の共催で、Leading
Edge Seminarsのマイケル・ケルマーン氏によって組織・率いられた。それは、とてもよく組織化されて、1週間はあわただしく忙しかった。ホストや優れた旅行を提供してくれたマイケル氏に感謝したい。また、私を参加させてくれた私の機関にも感謝したい。
|