2003年2月 本文へジャンプ


思想の戦い、英国で注目



キューバの思想の戦い

 2002年、ロンドンでキューバ連帯キャンペーンのゲストとして、キューバ学生連盟の文化代表(FEU)エティアネト・ディアス・エストラバオさんがイギリスを訪れた。彼女は第三世界キューバの無料教育やキューバ人民の文化的、教育的、社会的水準を高めるための「思想の戦い」について話した。

エティアネト・ディアス・エストラバオさん

 豊かなイギリスと第三世界のキューバの教育に対する態度の違いは歴然していた。キューバではどのレベルでも教育は無料だ。学生たちは少人数教室で質の高い教育を受け、学業を終えた後には就職する。未来への、楽天主義と信用がある。

 ほとんどのイギリスの学生たちが自活するために働き、質が低い宿泊設備で生活し、低賃金で不確実な仕事によく遭遇し、何千ポンドも大学に借金しなければならない状況のことを話すことが、ほとんど恥ずかしくなるほどだ。

 NUSのクリス・ウィーバース教育副代表を含め、エティアネトさんは個人やグループとの35回のミーティングで500人以上の人に話した。十以上の大学や学校の訪問、労働組合員との会合、多くの地元のキューバ連帯キャンペーン・グループやダービィ市長とのレセプションさえこなし、ローカル・ラジオ、ローカル紙、全国紙が彼女のツアーをカバーした。

 主な話題は思想の戦いだった。思想の戦いは、キューバの暮らしの全局面で実施される70ものプログラムをカバーしている。その目的は、あらゆる領域とディメンジョンで、キューバ社会をより公正・平等・人間的にし、可能性の広がりを示しつつも、機会への平等が制限されないことを示すことにある。教育分野ではそのいくつかはさらに強化されているが、多くのプログラムは、それ自体の社会変化でキューバが直面する問題に対処し、若者たちを動員することに依存している。

 観光業が社会にもたらした影響は様々だったが、そのひとつにハバナでは若者たちに教師の魅力がなくなったことがある。教育の質を高めるという優先事項に反し、クラスの生徒数は増え始めていた。そこで、小学校教員養成の緊急プログラムが5つの機関に導入される。16~17歳の5,500人以上もの若者たちが10カ月のトレーニングコースを受けたのだ。彼は出身コミュニティの小学校で働きながら、同時に人文科学の22の大学プログラムのひとつでより高度な学習を続けている。2000年9月には、キューバ全校で20人以上のクラスはなくなり、その多くは15人以下となり、農村のある学校では、生徒はたった1人なのだ!

 同じやり方で、子ども、ティーンエイジャー、高齢者とともに働き、その仕事に学校、教師、全コミュニティをまきこむソーシャルワーカーの集中教育コースも導入された。17~22歳の7,200人の若者たちが10カ月の集中的な大学コースに入学した。いったん資格を得れば、そのコースは遠隔教育や移動授業によって続く。1000人以上のソーシャルワーカーがキューバ全の4校を卒業しており、最終的には3万5000人、住民300人あたりに一人となるであろう。

 2002年5月には、教育目的に特化した3番目のテレビ・チャンネルが立ち上げられた。それは午前6時半から晩まで放映され、朝には小学校の子どもたち向けの「成長のための私のテレビ」という娯楽と教育的なプログラムを放送している。その後は中学生向けの「学びのための私のテレビ」や高校生向けの「知るための私のテレビ」という番組がある。晩には、大学生を対象としたディスカバリー・チャンネルのような番組もある。

 小学校と高校にはテレビとビデオが全教室にある。農村の1944の学校には、電気がないため、ソーラー・パネルが設置された。これらは、米国の経済封鎖の教育への悪影響を打ち消す一助となっている。

 ビジュアル・アート、音楽、ダンス、劇場のための何千人もの芸術インストラクターのトレーニング等の他の多くのプログラムもある。それ以外にも、ごくわずかだが中学校を終えてもその後学校にはいかない若者たちの低教育と文化の低さが社会疎外や犯罪活動につながることに備えたトレーニングにも取り組まれている。

 コンピュータの教育全域への組み入れはすばやく展開され、国内の全小学校に設置されたコンピュータ・ルームで教えられるよう、1万5000人の小学校教師に対してITの集中講義がなされている。他にもあるが、最後の事例としてあげたいのが全員のための大学である。全国民に教育的、文化的なアップグレードの機会をもたらす通信教育コースが全国放送テレビによって開かれている。

 こうした各地での様々なミーティングでは、ブリガーダや連帯でキューバを訪れた人々のキューバに対する理解と、観光客ででかけた人々の革命への理解の少なさという違いが明らかになった。キューバにでかけた全員がキューバに対して共感はおぼえていたが、主に観光でキューバを見てきた人々が、革命の深さや影響に理解がないことは明確だった。

 キューバ内でも観光の否定的な社会的要因を打ち消すための戦いがいまだに必要なことは明確だし、文化や教育水準を高めることは、思想の戦いの重要な部分となっている。

 エティアネトさんはキューバを雄弁に支持し、彼女のツアーは聴衆から好意的に受け止められ、いくつかの大学とは良いつながりもできた。ローカルなグループ集会には新たな人々が魅了され、参加し、以前には熱心に関わらなかった人々も多く集会の組織化を助けてくれたのだ。


  • 英国のキューバ連帯キャンペーン・マガジンからの記事

 Simon Watson, Cuban student tours UK, The magazine of CSC,05 February 2003.