2003年5月 本文へジャンプ

思想の戦いと社会主義の改善



キューバの思想の戦い

 思想の戦いと社会主義の改善。キューバは、その革命の最も危険で困難な時を迎えている。イラクと同じく、キューバは米国による侵入の兆しの下におかれている。キューバは、スペシャル・ピリオドの間も革命がなしえたことを防衛できることを示したが、社会主義キューバが生き残れるとするならば、こうした成果を経済的、社会的、イデオロギー的に強化しなければならない。これが、キューバ人たちが「思想の戦い」と呼ぶものだ。

社会的格差をなくす

 キューバ共産党は、キューバ国内に社会格差があり、それに対処しなければならないことを認識している。思想の戦いは、統計からは見えてこない人々の姿を浮き彫りにしようと努力している。例えば、以前は、わずかな失業は受入れ可能なものとみなしていたが、今はこれも根絶すべきこととしている。新しい仕事がすぐ見つからない労働者は、将来的な社会投資として、学ぶことで賃金を提供されるのだ。

 129もの新たな社会プログラムのうち、75以上は教育改革と関係している。障害児の面倒をみるため、仕事を止めなければならなかった父兄に賃金を支払う計画や、子どもの栄養状態を見るプログラム、障害者たちのニーズを見出すプログラムがある。犯罪を含め、社会からの疎外への対応も重視されている。その原則は、犯罪者たちを責めるのではなく、革命的なプロセスに引き戻すことにある。

 何千人もの若者たちが、ソーシャル・ワーカーとして「家族の友人」となるよう訓練を受けている。ハバナ・ソーシャル・ワーク・カレッジのルベン・ザルドヤ・ロウレの言葉では、「革命に触れずにドアをノック」するのだ。警察に告げることもないし、家族から子どもを連れ去ることもない。そうではなく、ソーシャル・ワーカーたちは、学校をずる休みしたり、一人暮らしの老人、家族の誰かが刑務所に入っている家庭、障害をもった大人や子ども、家庭内暴力やその他の家庭内事情を抱えた家族、売春に携わる若い女性たちとともに、次世代が今よりももっと良くなるよう、社会的な公正水準を高めるために働いているのだ。

経済改革

 社会主義圏と貿易をしてきた時期には、キューバの産業では質や効率性は中心的な関心事項ではなかった。だが、いま現実には、グローバルな資本主義経済に取り囲まれる中で、社会主義を構築しなければならない。キューバは、世界と貿易する手段を持たなければならず、ドルや二重経済の合法化は、ドルにアクセスできる人々や部門がそれ以外の人々よりも高い生活水準を得ることにつながった。これは、キューバ社会を分断する可能性を持ち、直ちに対応しなければならない。そこで、近年では、ドルにアクセスできないサービス、石油やニッケルといった産業に従事する労働者にボーナスをドルで支払う決定が、労働組合との交渉で決定されている。

 だが、キューバの共産党は、モラルや革命の社会基礎を危険にさらすことなく、全人民の生活水準を改善する必要を認識している。最近導入された「完成制度」は、生産力と給料を増加させることを目指している。中央計画や国の割当て制度は優先事項として残ることだろうし、資本主義の企業間で見られるような競争はない。だが、企業が新製品や市場を開けるような分権化はなされている。

 どんな過剰も社会に還元されるであろうし、一部は国に戻り、一部は、身体障害者のためのプロジェクト、住宅、学校、病院の改築、再建といった社会主義開発に寄与するローカルのプロジェクトに用いられるであろう。これは社会主義の貢献、モラルの貢献である。過剰のいずれもが、企業を開発し、労働者の賃金や条件を改善するために用いられ、管理者の賃金も、自分たちに特権を与えるリーダーを生まないような準備がされ続けるであろう。

 社会主義キューバは、あらゆる外的脅威や内的矛盾と対処する強固で、理に適った革命的なプロセスの創造的な可能性を示しているのだ。


 The Battle of Ideas and improving socialism, The newsletter of Rock around the Blockade, May/June 2003.