2007年1月 本文へジャンプ


キューバの農業改革



 全国人民権力国会経済委員会のレポートによれば、2006年にキューバ経済は革命はじまって以来最高の12.5%の成長率を達成した。それは、ラテンアメリカ内でも最高である。社会サービスや貿易をGDPから除けば、その成長率は9.5%だが、2007年の国家予算は、社会開発予算を大幅に増加させた。

 オスワルド・マルチネス経済委員会委員長によれば、2004年以来GDPは一定して伸び続けている。為替レートの管理体制の確立、流通通貨からのドルの排除とそのレート切り下げ、単独通貨での国庫歳入計算、中央集権的な会合での意志決定に基づく、追加融資を得るための厳格な財政分担や外貨の戦略的な利用等、2006年には様々な経済政策の原則が成熟した。

 この経済部門の強化にはエネルギー革命が重要な進展を果たした。ディーゼルや石油による発電等、発電の改善に向けた投資も進められている。発電は7.2%成長し、この改善は停電をかなり抑えたが、消費も同様に高まった。

 だが、年末に向け、米国の経済封鎖の適用による海外におけるキューバの経済は大きく影響を受けた。ラム酒、「ハバナクラブ」の商標の窃盗やキューバが運営する2つのスイスの銀行からの資金引き出しは国家貿易にとっての迫害である。GDPの高成長は、食料事情も改善し、家族の食料配給予算は9億4800万ドルである。2006年には、病院や工芸校を修理し、改築するプログラムはある部分では遅れが見られたものの維持された。様々なラテンアメリカ諸国においてラテンアメリカ人の医師を養成したり、国際主義者のミッション、奇跡の手術も進行中である。60万人の大学生が入学し、教育における進歩も続いている。バイテク部門での科学的業績も注目に値し、様々なバイオク製品は今、50カ国以上で販売されている。

 だが、農業の成果は不十分で、根菜類、生鮮野菜、マメ、柑橘類、とうもろこし、その他の生産が落ち込んだ。これは、1990年代から始まった経済危機スペシャルピリオドに加え、近年の厳しい気象災害、そして、労働訓練が不十分なためである。キューバはいまだに多くを輸入食料に依存しており、輸入量はここ2年間で35%も増加した。

 生産性の不足、不正と浪費の背景には作業規律の低下がある。このため、2007年は規律回復と強化が不可欠なものとして重視されている。

 2006年、ラテンアメリカ地域の平均経済成長率は、食料等基礎産品の輸出という好条件を背景に、ベネズエラ(10%)とアルゼンチン(8.5%)の高成長率に後押しされ5.3%だった。オスワルド・マルチネス国会経済委員会委員長は、「キューバはいまラテンアメリカで所得配分で最も公平である」と述べた。「最も質が高い小学校と中等教育、出生から1~5歳までの幼児死亡率第一位という好ましい指標、最低の失業率、少なくとも必要な栄養の50%への食費への助成金の支給、無料のハイテクサービスによる一貫したプライマリ・ケア医療の提供、誕生してから最初の一年間の乳児や妊娠女性への無料のケアの保障、希望する者全員に対する国内全地域での9年間の教育と高等教育訓練が保証されています」(国会でのスピーチ)

 ホセ・ルイス・ロドリゲス経済計画相も「福祉医療や教育といった基本的なソーシャルサービスもカウントしていることから、こうしたサービスを商品として販売する資本主義経済と比べて正確にそれを測定、比較でき、キューバのGDPは世界のどの他国とも比較できる」と断言する。

「もし、サービスや貿易をGDP計算から除くならば、2006年にキューバ経済は9.5%成長したことになる」と経済計画相は発表した。この1年、国家予算により、思想の戦いに関するプログラムが機能を発揮した。責任がある予算管理の証明として、GDPと関連する3.2%の赤字財政は、2005年に比べ1%改善された。ヘオルヒナ・バレイロ財政価格相は、次の期間には約9.8%のGDPの成長が期待できると発表した。

教育と福祉医療にGDPの22.6%を


 全人民への無料の教育と医療を保障するため、GDPの22.6%に相当する予算がこうしたサービスに割りふられたが、その数値はラテンアメリカ諸国平均の4倍であると大臣は指摘する。退職金や社会保障の年金をカバーするために約39億ペソが組まれ、高齢者ホーム、高齢者向け社会センター、身体精神障害者ホーム等382のセンターを維持するのと同じく、社会援助には58万8097人が受益し、12億300万ペソを受けることとなっている。

 2007年には、住宅、病院、総合診療所の建設や交通、開発と水力、エネルギーインフラ開発の支援に48億ペソ以上が投資される。国会では、国家予算の活力を支える歳入を生み出すため、商業部門で効率を高める必要性が重視された。生産調整と生産プランの改良と同様に、資源のより効率的な利用と作業規律の強化が、国の社会的な成果と経済開発を担保するであろう。

Economic growth at 12.5%, Granma International, January 8, 2007.