キューバの再生可能エネルギー
どのような国あれ、その機能と発展にはエネルギーが欠かせない。ここ数カ月、キューバ政府は、エネルギーの全国消費量が予想量よりも急増したため、省エネの認識が必要なことを強調している。
過剰なエネルギー消費は、いま直面しているグローバルな経済危機の文脈で、正常時よりも一層問題となっている。想定価格以上に高騰した石油代金を国家が支払えないことは、将来も同じ状況を避けるために、エネルギー源を多角化させる必要性があるのだ。
キューバや世界のエネルギー問題は、ただ一種類か二種類ではなく、数種のエネルギー源の知的な組み合わせによって解決されうるであろう。そして、多様なエネルギー源はある。とはいえ、この記事では、キューバで最も広く活用され、かつ、開発されているソーラー、風力、そして、バイオマスに重点をおこう。
太陽は、地球の主なエネルギー源で、いま地球で用いられる4,000倍ものエネルギーを伝えている。それは、人類が用いた最初のエネルギーのひとつでもある。
ソーラー・エネルギー源は、昔はただ光や熱をもたらしていただけだったが、科学技術の発展によって、太陽電池や蒸気で発電したり、ソーラー・ヒーターで湯をわかすところまできている。太陽電池のコストは比較的高い。だが、追加ユニットのセットアップはほとんど無料だし、維持や開発コストも非常に安いか、まったくかからない。さらに、太陽は再生可能で枯渇せず、クリーンなエネルギー源である。最終的には、このシステムは小規模でセットできるし、様々なアプリケーションでもポータブルとなっている。
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ピナル・デル・リオ州西部の農場のソーラー・パネル |
キューバでは、ソーラー技術は、視聴覚機器他の設備を動かすため、2,300以上の小学校、400の医院、そして、1,800以上の小規模なテレビ・ビデオ施設と、主に僻地や山岳地に適用されている。中国製のソーラーヒーターも店舗で販売され、公共施設で広く使用されている。
グアンタナモや他のそれ以外場所では太陽発電システムで電化されている住宅がある。最近はピナル・デル・リオ州で、トタル・フランス石油会社と国連開発計画(UNDP)との協力で、90戸以上の住宅がソーラーエネルギーで装備された。
また、シエゴ・デ・アビラ州でも、すべてソーラーエネルギーを用いて、30戸の住宅の電化やポンプステーションの建設が終了した。このプロジェクトはスペインのAutonomous
Delegation of Bizkaia、シロレドンド・ムニシピオ政府、クーバ・ソラール社、そして、スペインのNGO Sodepazから融資された。
プロジェクトで用いられたパネルの一部は、キューバ電力産業が生産し、ソーラー・パネルの70%はピナル・デル・リオで組み立てられ、情報コミュニケーション省が運営するCopextel社が100%設置している。
国内のあらゆる地域は、ほぼ通年、無変動で平方メートルあたり0.5キロの石油と同等か、5キロワット/時の太陽エネルギーを受けている。このエネルギー源の開発は、まだ十分になされず、ゆっくりと進んでいる。現在、6,000以上のソーラー・パネルと1,500のソーラー・ヒーターが用いられている。キューバに導入されたソーラー・エネルギーの発電力は、約3メガワットで、全導入キャパシティの0.07%だ。値段の高さは深刻なネックのままだが、この割合を増やすため、いくつかのプロジェクトが進行中している。
風力も人類が使用している最も古いエネルギー源のひとつだ。何世紀も前から帆船や小麦を挽いたり揚水用の風車が使われてきた。そして、科学の進歩で、風力で発電が行われるようになり、時代とともにその規模や特性が変わってきている。
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キューバ中部北岸の沖合トリグアノ島の風力発電基地 |
キューバでの風力エネルギーの利用は比較的新しく、牛の大放牧場の揚水用の小規模発電から始まった。
現在、シエゴ・デ・アビラ州、オルギン州、イスラ・デ・ラ・フベントゥ州で3つの風力発電基地が立ち上げられ、いくつかの場所が新たな候補地として研究されている。
全国風力マップも最近作成され、32のエリアが有望と特定されている。現在、風力を測定するために55の観測所が設置され、2008年末で約8,631の風車があり、前年の2007年から14%増えている。
研究によれば風力では5〜14ギガワットの発電ができることが判明している。1キロワットあたりのコストは2セントで、初期投資がひとたび回収されれば、国内で最も廉価なエネルギー源のひとつだ。
現在、研究されているそれ以外の部門は、自然災害、とりわけ、ハリケーンの影響である。イスラ・デ・ラ・フベントゥの実験的な風力発電基地では、必要があれば45分で完全に分解できる風車が使用されている。
ソーラーに継いで、人間が用いた二番目に古いエネルギー源は、おそらくバイオマスであろう。火の発見で、バイオマスは、古代人たちの人生で重要な場所を占めるようになり、暖をとったり、食べ物を調理したり、宗教上の儀式を行ったり、防衛手段として用いられてきた。
農民たちの深い経験というメリットを活用し、サトウキビ廃棄物のバイオマスを用いることで、キューバの精糖業には最大のポテンシャルがある。サトウキビ・バイオマスの生産は、2002年から精糖業のリストラで何十もの工場が閉鎖されたことから、徐々に減少している。しかし、最近は再び増産がなされ、2008年のバイオマス生産量は2007年よりも13%増た。同時に、発電量は28%増えた。原料の使用効率が高まっているのである。
精糖業のインフラは、廃棄物全体の加工処理に適しており、それを有益な副産物に転換する。現在、サトウキビ廃棄物からは、バイオガス、電力、肥料が得られており、今、石油依存から乳離れし、全国発電グリッド向けの発電に重点をおく政策が、精糖業では必要とされている。
キューバでは、コジェネレーションによる発電によってメリットが得られている。斜陽産業を後押し、電力販売で利益を産み、それ以外の産業を成長させ、発電コストを引き下げ、産業界や国に大量のエネルギーを保証し、容量を増やし、輸入石油への依存を減らし、貿易収支によい影響をもたらせている。
例えば、管理した抽出とボイラー、凝縮タービン発電機を用い、砂糖を4,000トン/日挽く精糖工場では、バガスを燃やすことで、全国電力グリッドに12メガワット(サトウキビ収穫中は44ギガワット/時以上)を提供しつつ、そのエネルギー需要をすべて満たせるであろう。このことは8,800〜1万7600トンのディーゼル節約、輸入経費を4.3〜860万ドル(62ドル/バレル)をもたらそう。
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精糖業がいま、直面している最も深刻な二つの問題は、その非効率性と技術的な立ち遅れ、そして、エネルギー生産が義務となっていない事実だ。
事例をあげれば、1992年には国内電力の12%が精糖業によって生産されていたが、1996年のFAOの研究によれば、1995年では精糖業での発電には544ギガワット/時の赤字があったという。研究は、第一段階では、既存の施設の効率性を高め、省エネ手段を実施することで、その赤字を200ギガワット/時に引き下げられ、二番段階では、最大300ギガワット/時まで、全国電力グリッドに送電できるとしている。
この研究によれば、1989~1990年では2100万トンのバガスが生産されたが、一方、廃棄物は3520万トンに達したと報告している。1トンのサトウキビからは約0.35トンのバガスが得られる。このバガスは、1989年時に火力発電で用いられていた石油の約2倍だ。
さらに、キューバは繊維含有率が高く、エネルギー生産用に優れたサトウキビ品種を開発している。理想的には100トン/haを超え、収穫される廃棄物から最大20%の可燃性の材料が作り出せる。
とはいえ、サトウキビだけがバイオマス原料ではない。薪、米、ヤシ殻、森林残骸、コーヒー残渣等の有機材料源もあり、いまだにその最大のポテンシャルは用いられていない。しかも、バイオ処理槽を用いることで、有機資材からエネルギーも得られている。有機物を分解させ、バイオガスを発生させ、料理や発電用、肥料が生産できるのだ。キューバにはこのタイプのプラントが約700あるが、この用途で利用されているのはそのわずか50%にすぎない。
シエン・フエゴス州のパルミラ養豚場がこのタイプのプラント使用の好例で、この施設には3万5000頭の豚の廃棄物を処理するバイオ処理槽がある。
ハバナ市にも第100番・ボジェロス通りのムニシピオの都市廃棄物センターのひとつにバイオ処理槽があり、15~20トン/日の有機廃棄物を処理し、60〜70キロワット/時の発電をしている。
こうしたプロジェクトは、再生可能エネルギーや環境的にクリーンなエネルギーを開発し、キューバのエネルギーへの脆弱性を引き下げつつ、化石燃料への依存度を減らす助けとなろう。
直面する主な制約は資金だ。現在、国がこうしたプロジェクトの資金源として頼りとしているのは、こうした政策の実施が成功することで得られる再投資の他、アルバ(ALBA)、ペトロカリベ他のエネルギー同盟や対外投資なのである。
アレクサス・リャネス・ラモス(Alexis Llanes Ramos)氏は、高等教育省のエコノミスト
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