MEDICC Reviewはキューバの気象研究所の全国予報センター所長のホセ・ルビエラ博士とインタビューした。テレビシオン・クバーナの第一の天気キャスターとして、博士はハリケーンの際に、最新で詳細を国全体に伝える責任がある。キューバ気象研究所の博士と彼のチームは、キューバの防災プログラムの最初の「柱」を作り、潜在的に生命に危険を及ぼすハリケーンの間、国民を守る成功を立証している。ルビエラ博士は国連の世界気象機関のハリケーン委員会の副委員長でもある。博士は2005年1月に神戸で国連防災世界会議に参加する予定だ。
気象学が災害防止で果たす役割は、ここキューバだけでなく、国際的に見てどんな状況なのでしょう。
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| ルビエラ博士は気象研究所の予報センター所長で、最新の衛星気象通報の相談に応じている |
人命を守るという私どもの仕事が成功しているのは三つの柱に基づいているように思います。第一は、良い映像がなければなりません。良い映像は科学的に達成されるもので、正確で、かつ、観測可能です。
第二には、人命を守るために、どの場所であれ実施することができる防止対策を定め、どこであれ機能する普遍的な市民防衛システムが必要なことです。ハリケーンの場合は、手段は誇張しません…。もし、人民が調子が悪い住宅に住んでいるか、海洋や河川沿いの非常に脆弱な場所にいれば、人命は危険にさらされている。
第三の柱は、コミュニケーションです。メディアには、私どもが「トライアングル」と呼ぶ重要な役目があります。私どもは、メディア、何よりもテレビを通して気象情報を人民に提供しています。キューバにはとても広範なテレビ放送網があり、どの家庭にも少なくとも1台のテレビがあり、農村の最も小さな家でさえテレビがあるか、近所か政府のテレビ・サロンで見ることができる。これはとても効果的です。
ラジオもとても効果的です。ですから、メッセージは全員に届き、ハリケーンが強まり危険性が高まれば、人民はそのことを意識し始める。また、テレビ情報を通して、非公式の通信チャネルとして、それ以外のコミュニケーションの手段もプレーしはじめます。
人民は話しあい、働きにでかけ、アプローチについて議論して準備をしていく。こうした要素のいずれもが、ハリケーンの最中に守る環境を作り出す一助となっています…。
この「トライアングル」について言えば、重要なひとつは市民防衛で、また、政府全体が国民を保護するために、こうした環境を作り出すためにいかに献身しているかということです。コメントしていただけますか。
それは、人民を守るためにすべてが捧げられるということです。ハリケーン・イワンの際には、私がテレビに出ていて、そして、とても詳細な質問が国家元首から私に対してされていることをご覧になれます…。彼は、国全体のために、誰しもが知りたがっていることを問いかけている…。これが、いかに情報を伝えるかととてもつながり、重要な要素です。その上、政府がいかに人民のことを心配しているのかも示します。そして、フィデルがハリケーンのゾーンにでかけ、人民とともに通りにいれば、これはかなりのインパクトを与えます。我々にとっては、それは普通なのです。我々は、最前線にいるフィデルに慣れています。ですが、外国人たちには、それは普通以上の何かであって、彼らはかなり賞賛します。
あなたは、あなたのチームと市民防衛やラテンアメリカ災害医療センターとの関係を広めていますね。
私どもと市民防衛との相互関係はとても強力です。というのも、彼らが映像に基づいてすべての情報を送り、政府の関与のもとに、いかに助けるかの責任を負っているからです。ですから、市民防衛と私どもとはとてもタイトな関係にあるのです…。
ラテンアメリカ災害医療センターともとても緊密に働いていますが、世界保健機関や汎米保健機構他もそうなのです。
ハリケーンがあるときには、国民の健康について、2つ問題があるためにおおいにかかわります。第一は、公共医療サービスをいかに提供・維持するかです。ハリケーンの最中に病院にでかけて医療サービスが全然ないことを想像してみてください。ですから、ハリケーンの場合であれ、病院とヘルス制度が機能し続けていることが、すべての中心として優先されている。それも、高い質を伴って機能し続けている…。これはとても重要です。
第二は、ヘルス制度が、しっかりと、かつ、安全に機能し続けなければならないということです。というのも、ハリケーンは給水や病気・衛生に影響し、これを防ぐ対応をしなければならないからです。2,000人の死者がでたハイチの場合のようにです。このことから、公共のヘルス組織にはとても大切な役割があります。
ラテンアメリカ災害医療センターの場合では、タイムリーで包括的なやり方で、私どもは必要な情報をすべてわかちあいます。ですが、それだけではありません。全国公共医療学校のコースや会議にも参加する。そこには、ラテンアメリカ中からの人々がかかわっています。
いくつかの国際機関や研究は、キューバの防災プランを世界で最も効果的なひとつとして認めていますね。プランのタイミングは、この有効性にどう寄与しているのでしょう。「早期に」かつ「タイムリーな方法」で国民は警告されなければならないと言われますが、それはどのような意味なのでしょうか。
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| ハバナ港の対岸にあるカサブランカのキューバの気象台 |
ヨーロッパ、米国、カナダ等、いくつかの映像モデルがあります。変化する映像はすばらしいものですが、ハリケーンがまだとても遠くにあるときは、ただ参考としてそれを用います。それがはるか彼方にあって、とても遠くても見ることができ、イワン等が存在することがわかっている…。
そして、ハリケーンがキューバから4~5日のところまでなって、問題となるかもしれないときに、ハリケーンがこれこれの場所にあると早めに勧告警戒を発信します。そして、追跡・監視をし続けなければなりません…。これは私どもが約96時間前いつもしている状況報告です。その後、72時間前に、国内のある特定地域に脅威がでてきてから以降に、私どもは「周知段階」に入り、48時間後には「警告段階」、24時間後には「警報段階」に入ります。
「周知段階」とは、私どもがハリケーンを密接に観測し始める段階で、ラジオやテレビを通して情報が流布しはじめます。そして、特定情報も提供し始めます。このとき、市民防衛チームは、災害プランについて議論し、最新情報をアップデートし始めます。
米国には、この周知段階が存在しません。米国では、36時間前にハリケーンの「警戒体制」となり、24時間前に「ハリケーン警報」が出されます。ですが、米国では、この段階で人民を動かすことがとても難しいのです。というのも、フロリダ州沿岸や東海岸等のように、多くの産業もあり、通常人口密度がとても高い領域で動かねばならないからです。
時には、人々は誰もが高速道路の上にいるため、この段階で動くことに苦労します。材料の買出しに店に車ででかけるか、もし、車が一台あれば、より安全な場所にたどり着こうとして、車の中にいる。というわけで、この周知段階がなく、人民の移動時間もずっと少ない…
ハリケーンがキューバから48時間であるとき、私どもは警告段階で登場しますが、米国では、ハリケーンの警戒体制があっても、私どもは米国のように36時間前ではなく、48時間前にこの警戒を発します。そして、精神的、物理的に、兵站的にすべてが準備される。そして、物事はシンクロします。同時に、私たちは私たちのテレビでの情報周知の頻度も増やす。
また、心理的な一面もあります。例えば、私はふつうテレビ・スタジオにいて、気象通報を与えますが、そうすれば、人民はまだ何も特別なことが進行していないとわかります。ですが、カメラがここ、ハリケーン探知センターの測候所にあれば、何かが起こりだしていることがわかります。
とはいえ、私どもが24時間前の「警報段階」に登場するときには、ほとんどすべてが既に準備されているのです。そして、その後に、復旧がある。それはもう片方のもので、ハリケーンが通りぬけ、ダメージがわかった後、私どもは状況を標準に復旧するために働き始めます。まず、医療施設、そして、サービス…。
キューバでは、米国とは対照的に国民が気象学者をとても尊敬していることも指摘されるべきですね。米国では、テレビの気象レポートは、その伝える情報以上に、リポーターがどう見えるかになっている。ところが、キューバでは、ハリケーンがやってくると言うときに、誰もが耳を傾けている。
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| キューバをハリケーン・チャーレイが通過中。すでに警報段階に入っている |
例えば、フロリダのハリケーン・チャーリーでは何が起きたでしょうか。気象映像は正確で、画像もとても良く、全国ハリケーン・センターも良い仕事をしました…。問題はどのように情報が提供されたかです…。映像はとても良かったのですが、中央に線が引かれていたので、それほどクリアーではありませんでした。私どもは中央に線を引きません。というのも、中央に線を引いて、これがハリケーンの軌道です、と言っても、それが本当でないからです。それは予想にすぎず、真実ではないからです。この地域はさほど深刻に叩かれることはありません、とは言えます。ですが、そうした決定的な線をひくことはできません。
それで、何が起きたのでしょうか?。線はタンパを通っていましたが、テレビの気象リポーターは「タンパを抜けるがそれは遠い」との情報を与えている。タンパには危険があるのです…。ですから、タンパの近くに小さな町があり、そこにはたくさんの移動住宅がありましたから、それは危険で27人が死んだのです。私が言っていることは、映像が市民防衛プログラムと同じほど重要だということです。ですが、あなたは、世界で最良のハリケーン映像を持っていても、引き出しの中にそれを張り付けることができます。そして、だれも何が起こっているかを知らない…。市民防衛プランがなければ、人民は何が起こっているかを知らず、危険について知らず、選択肢がない。それは悪いことです。
2004年の頭にハバナと西部地域を通過したハリケーン・チャーリーでは4人の命が失われました。何が起きたのでしょう。
まず、このハリケーンでは、ほんのわずかな命しか失われなかったことをまず申し上げたいと思います。2001年のカテゴリー4のミシェル・ハリケーンでは5人、そして、首都を通り抜けたカテゴリー3のハリケーン・チャーリーでは4人が命を落としました。ですが、彼らは危険を避けようとしなかったので、命を落としたのです。つまり、すべてがよく準備されていたのに、こうした人々は個人的な行動で、問題を回避しようとしませんでした。避けられたのに自分たちを危険にさらしたのです…。
私はマタンサス州のコロンの女性の事例を覚えています。ハリケーン・ミシェルで彼女は親類の家に避難しました。なぜ、親類の家に避難したのでしょうか。友人か親類の家に避難することはいつも望ましいのです。見知ったところなら、より快適な感じで滞在できるからです。つまり、彼女は倒壊する危険のある自宅近くにある安全な状態の家族の家に避難していました。ですが、ハリケーンの最中に、その貧しい女性は、喫煙家だったので、タバコを全く持っていなかったことに気づく。それで、タバコを手に入れるために自宅に戻り、家屋が彼女のうえに倒壊したのです。
ハリケーン・チャーリーでは、ハバナの別の女性の事例もあります。彼女の住居は良好だったのですが、建設中の建物が隣にありました。壁はできあがっていましたが、まだ危険性がありました。それで、家族、その女性と夫と2人の子どもは、避難場所に移りました。ですが、避難場所にたどり着いたときに、夫が家に1瓶のラムがあることを思い出す。それで、自宅に戻って、ハリケーンを見ようとフロント・ポーチの上に座って、ラム酒を飲んでいたのです。ですが、隣の工事中の壁が崩れ、その女性は生き埋めとなり死んだのです。ですから、こうした人々は危険なときに、自分達がずさんな行動をしていることに注意を払わない。ですから、私どもは防止プランを完璧にするには、人民教育で先を見通さなければならないのです。メッセージはクリアーでなければならず、人命を失うことに通じることはしてはなりません。
これはツーリストにとってもかなりの挑戦だと想像します。バケーション中の人々は、ハリケーンの経験がなく、外に出かけて写真のようなものを撮りたがるかもしれませんからね。
防止プランはツーリストにとっても同じです。危険な地区からは移され、同クラスのホテルかさらに良いホテルに泊まることになります。
予防と気構えで、明らかに教育はとても重要です。キューバの子どもたちはハリケーンについていつから学び始めるのでしょう。
学校では、5年生と6年生で、地理と気象学を学んでいるときに、ハリケーンとその予防について学びます。そして、その後、高校では、ハリケーンが何であり、それがどう働くのかについてさらに正式な教育があります。ですから、とても若い年齢のときから、子どもたちはハリケーンが何であるかを自覚しています。もちろん、教育が全くなかった以前とは全く異なっています。私がとても幼いときにハリケーンがあって、ただドアや窓を閉めて待っていただけだったことを覚えています。そして、人民はどう準備するかのノウハウを知りませんでしたから、人命が失われていた。ですが、今は、ハリケーンについての意識があるのです。
ハリケーン・チャーリーとイワン以来、この意識は、ここ、キューバではとても高まっています。それ以上のハリケーンは今年、あるのでしょうか。
おかげ様で、ありません。キューバに脅威を引き起こすハリケーンは形成されていません。
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