2008年8月1日 本文へジャンプ


植林で地区再生



2008年8月1日 ハバナ


 毎朝、マリオ・ベリスは、キューバの首都の低所得地区、ポゴロッチの通りを擦りぬけてミルク店へと向かう。ベリス氏がそこで働いていることを知っているだけの人たちは、年齢相応の表情をしたこの針金のように痩せた、針金状の男性が、地元の再植林の暮らしと精神であることに気づかない。

サントヨ川沿いに植えられた竹


 ベリス氏は、友人たちからは「環境ボーイ」と呼ばれているが、イスラ・デ・ポルボというスラム街のボロ家に住んでいる。

 だが、環境グループが結成されたのは彼の裏庭だったし、グループはいま森林再生だけでなく、地元流域の水管理、ゴミ処理、環境問題の住民教育にも携わっている。

「まず取り組んだのは、前はゴミ捨て場になっていた神聖な森ポゴロッティを再生することでした」

 氏は語る。10年も森林再生に努力した末、いま、近くの石灰坑からの埃を防ぐ障壁として役立ち、地区の公園としても機能する大きな森林地帯となっている。

 古いゴミ捨て場の森林再生を記念するため、コミュニティでは、まだ若い木の下で宗教儀式を毎年、実施している。セイバに供え物がされ、踊る人々がいる。

 アフロ・キューバに根差すアニミズムは、ポゴロッチに多い黒人住民たちの間の主な信仰だ。

 再植林プロジェクトは、コミュニティのイニシアチブだが、地元当局や都市の「グリーン・ベルと」の一部として環境管理を担当の機関、「ハバナ首都公園」や支援も受けている。首都公園はアルメンダレス川の両岸に広がる7 km2の広さを持ち、アルメンダレスはハバナ最大の河川だが、フロリダ海峡に流れ込む前に、森がほとんどない人口密度が高いムニシピオを抜けていく。

 アルメンダレス流域は、全国流域委員会が1997年に創設された後、キューバで最優先した8地区のうちの1つとなっている。だが、不十分な下水設備インフラや220万人もの処理排水による汚染問題を抱えている。そして、このアルメンダレス川の支流のひとつがポゴロッチの南側を流れるサントヨ川なのだ。

 その川岸は以前は野放図な伐採でむき出し状態になっていたが、今ではマリオ氏らグループの植林で、強健な竹が生い茂っている。

「竹を植えるよう提案したんです。その根が不純物を濾過するからです」

 マリオ氏は技術コースも高等教育での林業講座も受講したことが一度もないのだが、土地の近くで暮らしてきた経験があり、彼自身の家族のようにそれを愛している。

 氏は、まず植林に参加するよう、川岸に沿って狭い菜園を耕す人々を説得した。そして、その後に首都公園からのアドバイスやスペインのNGOからの資金で、バリオに隣接するサントヨ川の再植林を達成したのだ。
 竹の根は川岸に沿って土壌侵食を防ぎ、日陰が蒸発を抑える。地面に落ちる笹の葉がスポンジのように雨水を吸収し、結果として氾濫のリスクを減らす。

 科学技術環境省は、2010年までの環境戦略で、有機廃棄物源のすべてを特定し、年あたり少なくとも1%の汚染を削減することとしている。当局は、さらに2015年までに国土の25%から29%以上まで植林された地域を増やす計画を立てている。

 ポゴロッチ地区は1911年に誕生しはじめたが、主に他州からの移住者が暮らす3つの貧民街を含め、今では5 km2四方に2万6800人以上が居住している。

 住宅不足は、キューバの全国的な問題だが、この地区もごみ処理で困難に直面し、多くの廃棄物処理場が自然に発生した。

 ゴミ処理の問題は、地区総合転換ワークショップが懸念し続けていることだ。ワークショップとは、1990年以来、コミュニティの参加と地元機関の協力で、物質的、社会的、文化的な状態を改善するために働いているコミュニティ組織である。

「ゴミを収集が遅れれば、環境グループはムニシピオのサービスと話します」

 そうベリス氏は語る。

 地区の約170世帯はリサイクル・プロジェクトにかかわっており、政府が短期的には解決できそうにないが、問題についての意識を高めることが期待されている。

 2006年4月に全国統計事務所が発行した環境統計概要によれば、キューバは毎年の都市の固形廃棄物で約2400万m3を発生させており、うち40%はハバナによるものだ。科学技術環境省の環境戦略は、家庭、病院、産業源の廃棄物の70%を今後3年以内に全国的に適切に収集・処理・処分することを目指している。

 ベリス氏は、2007年にパーマカルチャーの講義を受けた。パーマカルチャーとは、テラスやバルコニーのような狭い土地を肥沃にするために家庭廃棄物をリサイクルして使うテクニックだ。同氏は、氏の自然を保護する仕事が生きる、このささやかな地区内でこの知識を広げたいと語った。 ただミルク業者としてだけ見られるならば失望するのだが、ベリス氏はこう語る。

「まさに少しだけでも皆がやれば、世界は美しくなります。私は、神聖な森のため、私の環境のために生き、死にたいのです。たとえ貧乏ではあっても、こうしたことのために働いているのです」


 Patricia Grogg, Reforestation Renews a Barrio, Inter Press Service, Aug 1, 2007.