広範な討論で声に出された提案


2007年10月11日ハバナ ラウル・カストロ首相代行が推進する大衆討議は、パンドラの箱のように、数限りない問題に火を灯した。人々は、公式の協議課題で短中期的な解決策の提案が実現することを待ち望んでいる。

 カストロの7月26日のオープンな批判演説に焦点を合わせ、日常生活に影響する課題についての議論は、キューバ共産党(PCC)、若者共産党連盟(UJC)の草の根組織で8月に始まり、その後、全国の革命防衛院委員会(CDR)や職場へと広げられた。

「最終ミーティングは10月前半の2週間にされるはずです。そして、結果がとりまとめられるでしょう」と消息筋は言う。各ミーティングでの提案や結論は、社会の関心や期待の概要をまとめるため、照合・分析されることだろう。

 このミーニングには海外のプレスが入ることはできない。だが、参加者たちの報告によれば、タブーとなる議題はなく、主に強調されているのは、賃金の低購買力、住宅や公共交通の不足、高い食品価格といった経済問題だという。

「私の学校では、こうした問題について話しあっていますが、私たちも教育の質の改善に向けた提案をしています。会議は、ただ不満を口にするだけではなく、実践的なイニシアチブを生み出しているのです」と、ある小学校の教頭は言う。

 それ以外の参加者は、私有財産への規制や海外旅行、雇用規制への不満が出されていると語る。

「私は家と車を所有していますが、書面上だけです。なぜなら、もし、それを販売したくても、販売できないからです」と退職した建築家は不平をこぼす。

 ラウル・カストロは、2006年7月31日以来、療養中のフィデルの後を一時的に埋めているが、このラウルが7月26日の革命記念日で行った演説での「ミーティングは深く自由な雰囲気で主要課題に誠意をもって徹底的な討論を」という勧めをファリシテートするためにガイドラインのリーフレットが対処する。ラウルは、演説で人々の日常生活を苦しめているモノ不足や困難を認め、それが迅速に解決される可能性はないが、賃金増加であれ価格下落であれ、解決策は、生産性の向上にあると述べた。ラウルは、以前には適切だったが、今となっては時代遅れとなった概念や手法を転換することが必要だと語る。また、農地を生産的にし、農業を活性化するため、必要に応じて構造的、概念的な改革を導入することについても語った。

 政治学者でテマス誌の編集者であるラファエル・エルナンデス氏は、フィデル・カストロが長年にわたり、ある種の「瞬時のコンセンサス」を命じてきたが、その後はたとえ誰が後任となるにせよ、人民の支持を享受し、下からの政策方針を開発しなければならないだろうと語る。

 ほとんどのキューバ人から支持されるプログラムが作れるよう、キューバ社会の要求が、この討論の結果、明らかにされると信じている人々に対し、ある程度は氏も同意する。その70%は1959年の革命後に生まれているのだ。

 それ以外のアナリストは議論で提示される「知識」に対して下線を引く。人々の暮らしの質の改善も同じく「戦略」であると考えるある研究者は「国が抱える実際の問題についての情報が不足していることが、ある日、戦略の誤りという深刻な結果を引き起こす場合がある」と語る。

「社会正義に基づくプランは、経済的なベースのうえに確立され、持続可能である限りは、広く適用できましょう」とテマスの最新版「キューバの社会主義の転換シンポジウム」で、社会学者のアウレリオ・アロンソ氏は述べている。「経済的な自給が不可欠です」とアロンソ氏は主張する。

 一方、大学学生連盟のカルロス・ラヘ・コドルニル会長は、明らかに景気回復の成果が見られる以上は、それがキューバの各家族の物的福祉に反映されなければならないと語る。 ラヘ氏の意見は「90年代の危機の時代には、集団で抵抗する感覚があり、人々もモノ不足が理解できました。ですが、今は財源が増えているのが目にでき、全員で分配するという論理を支えることが困難となっています。なぜなら、全セクターが平等ではないからです」というものだ。

 だが、解決策はすぐ近くにあるようには見えない。キューバ中部のサンタ・クララ市の陵に埋められた伝説的なゲリラ、チェ・ゲバラのボリビア暗殺の40周年の記念で、ラミロ・バルデス情報コミュニケーション大臣は月曜日に述べている。

「私たちが、この議論に望むのは、生産力が泥沼に落ち込むこととなった前例踏襲で教条主義的な官僚的なメンタリティーから逃れ、創造的で解放的な焦点の開発するのを助けるということです」

 バルデス氏は、革命コマンダンテの地位を受けた3人のゲリラのひとりだが、資源もそうだが、問題は、思想と意識により解決されると指摘する。

「一度にすべてがやれるわけではありませんが、また、いわれたすべてのニーズに即時対応できるわけでもありません」と語る。

 マヌエル・クエスタ氏は、穏やかな異なる見解を持つ連合アルコ・プログレシスタのスポークスマンだが、一方では、議論は「社会的精神療法」として機能し、もう片方では「人々が、彼らの意見が聞かれると感じ始めるムードを作った」と語る。

「私は良いほうに考えます。市民の声を聞くのは政府にとってもポジティブですから」と氏は語った。


【用語】
テマス(Temas)
大学学生連盟(FEU)
アルコ・プログレシスタ(Arco Progresista)

【地名】
サンタ・クララ(Santa Clara)

【人名】
ラファエル・エルナンデス(Rafael Hernández)
アウレリオ・アロンソ(Aurelio Alonso)
カルロス・ラヘ・ (C Carlos Lage Codorniú)
ラミロ・バルデス(Ramiro Valdés)
マヌエル・クエスタ(Manuel Cuesta)

 Patricia Grogg, Cuba: Social Beefs, Proposals Voiced in Widespread Debates, Inter Press Service, Oct 11, 2007.