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2008年1月9日 サン・アンドレス


伝統技術と科学的なノウハウとを結びつける農業プロジェクトを通じて、小規模農家は伝統的な土地との絆を強め、食料生産での意志決定で、地方自治を奨励している。

2000年からスタートした地元農業改革プログラムは、キューバ農業の代替手段となっている。今、キューバでは国内需要を満たすため毎年15億ドル以上の食料が輸入されているが、国内農地の約半分は耕作されていないのだ。

「農民たちが農政で発言権を持てることが、その目的です。農民たちがより活発に声をあげ、改革に直接かかわるとき、国がどれだけ進歩できるかをすばらしい事例として示したいのです」

 そう語るのは地元農業改革プログラムのリーダー、ウンベルト・リオス博士だ。博士は、農業技術研究所の研究者で、その立ち上げからイニシアチブを推進してきた。

「さらに分権化された革新的な制度を発展させることが必要です。そこで鍵となる主体は、私ども科学者ではなく、農民自身なのです」

 博士によれば、研究成果を普及し、幅広く利用できるようにする意志不足の結果、科学研究所内を巡っていただけだという。

「農民たちに普及員は技術を教えるとされていますが、キューバでも海外でも機能していません」

 地元農業改革プログラムの経験がそれを示しています、と博士は言う。

「実験やそのプロセスをデザインし、科学情報を利用できるようにするのが農民たちであるときに、土地は実を多く結び始めます」

 ココの愛称で知られるペドロ・フェリペ・ゴンサレス氏(78歳)は、多様な種子品種を取り入れてから、43haあたりの収量を270から324キンタール(約1万4500kg)までマメの収量を高めた。

 氏は、ハバナの125キロ西部のラ・パルマ出身だが、遺伝的改良プログラムの先駆者の一人で、そのプログラムが地元農業改革プログラムにつながった。氏は約3カバジェリアの農地で、50種ものマメ(一時期は200種)を栽培しているが、そのマメが豪雨に見舞われた他の地域を助けた。

「わしらが主に頑張っているのは、種子を広めることです。なぜなら、それがわしらの戦いだからです。ある農民が種子を失っても別の農民が彼に提供できます」

 農業科学技術研究所の研究者アニア・ヨングさんはこう語る。

 「参加している農民たちは、コミュニティでそのノウハウを伝えて、社会的な認識を得て、自尊心を高めています」

 当初は疑問視され、解決には多くの投入資材が必要だとの考えもあったが、ニーズは、新たな種子を取り入れ、革新的な技術で解決するというように変わってきている。

 ヨングさんによれば、プログラムでは、いわゆる「多様性フェア」で種子をわかちあい、無料でそれらをわかちあうのが必要なだけだ。

 「参加者はどう実験しようがまったく自由です。何が最良の結果になるとしても、彼らは、技術を取り入れ、その特定の状態にうまく適合させます」

 この7年で、地元農業改革プログラムは国内14州のうち、9州で8,000人の農民が加わるまで発展してきている。数的には国内の小中規模農家の2%だが、次の5カ年でそれを10%まで引き上げるのが目標だ。

 農業科学技術研究所は、大学、研究所、地元NGOや国際NGO、開発援助機関、そして農業と環境関係の当局から支援を受けている。

 モチョこと、マリオ・ガルシア氏は、農業科学技術研究所とサン・アンドレス山地の農業部から招待されて、中部ビジャ・クララ州を訪れるまでは、これほど多くの種類の野菜や穀物があるとは思ってもみなかった。

「私ら小規模農民はとても用心深いですから、実際に目にしなければ信じません」

 ラ・パルマの農村部、サン・アンドレスに戻って、氏は目にしたことを話したが、だれも信じなかった。

「彼らは、私を気が狂った老人と呼びましたが、ですが、狂人の後に続くほうが、正面にある馬鹿を押すよりも良いのです」

 氏は8歳の時からの根っからの百姓で69歳になる。今では、小さな農場で何十種ものサツマイモやmandioca、マメ品種を保護しているだけではなく、表流水の流出を遅くし表土の浸食を抑えるための、等高線耕作やスロープに沿った耕作といった技術のプロモーターにもなっている。

「私らには、種子プロジェクトがありますが、土地を保全しなければそれはやれません」

 土壌研究所の統計によれば、キューバの土地のほぼ半分は非生産的で、ほとんど肥沃ではない。加えて、農地は、土壌浸食、排水不良、湿度不足、有機物不足といったファクターにも影響されている。

「一番、重要なことは、私どもが地元住民と協働していることです。たとえ、研究者がいなくなった後でも、仕事が続けられるよう、地元レベルで住民をエンパワーする発想がなければなりません。こうした経験は、環境により優しいやり方で、外部投入資材に依存せず、どうやって生産を高めるのかの方法を人々に教えられます」とリオス氏は多様性の保全や実験が小規模農家の所得を向上させている点を強調して語る。

 プロジェクトに参加者することでどれほど暮らしが改善されたかの一例は、サン・アンドレスの小規模農家、アグスティン・ピメンテル氏(56歳)だ。氏は先駆者の一人で、農業科学技術研究所の支援で、エンドウマメ(cowpeas)、ダイズ、ソルガムで家畜飼料を生産している。それらは、地区では以前には知られず、地力が低い土地であるにもかかわらず、当局はタバコ栽培を優先していた。

 家畜飼料や種子と関連したイニシアチブで学んだおかげで、氏は豚をより早く太らせることができ、かなりの収益をあげている。養豚協定の一部として国から提供される飼料に頼らずに、氏の豚は半年で最大116㎏まで育つのだ。

「家畜飼料需要は高まっていますが、キューバは、ラテンアメリカで最良の状態にあります。なぜなら、ここには化学物質を使わずに有機栽培される豆、エンドウマメやダイズがあるからです」と、ピメンテル氏は言う。

「私たちは気候とノウハウで幸いでしたが、その可能性は利用されません。土地の大半が遊んでいるからです」


 Dalia Acosta,:Innovation Gives Boost to Small Farmers,Inter Press Service,Jan 9,2008.