
兄ほどのカリスマ性はない。とはいえ、ラウル・カストロは、ごく普通のキューバ人には比較的一体感をいだきやすい個性の持ち主で、新たな国家元首としてフィデルの後継者になる予定だ。だが、ラウルが社会主義体制の存続を望むとすれば、経済や政治改革を推し進めなければならないだろう。
この「改革」は、有名となった2007年7月26日の演説でラウル・カストロが、国の緊急課題を議論しあう集会を開くようキューバ人たちに求めたことから始まっている。当時ラウルが伝えたのは、「以前に機能していたものは、今となっては必ずしも意味をなさず、すべてが改革の対象となる」いうことだった。
新たな国会は「複雑な段階」に直面しており、ひとつしかない政党の国会や州選挙の後、ラウルは1カ月前に、「大きな決定は暫定的に」と述べた。それは、経済、法、そして、政治改革さえ組み込んではいるが、もちろん、政府の最高レベルで促進される改革には自ずから範囲があるし、現段階ではキューバ型社会主義モデルを構築する中で設定されている。
「ラウルには改革のセンスがある。多くが今のままでは残れないだろう」と52歳の引退した教育関連の労働者はコメントする。だが、さほど楽観視しない別の人物は、ラウルが経済改革を求めていることは認めつつも、以前の強硬な政策で首相代行はその役割を果たしたと語る。
前にあるものがなんであれ、静かに待つというのが、キューバの傾向だが、米国にあるキューバからの亡命人社会では、ラウル・カストロ率いる政府にどんな改革ができるのか、と疑問視している。マイアミ大学の歴史研究者、ジャイム・スチリキ氏は「真の構造改革は期待できまい」と語る。
ラウル・カストロ将軍は、国防大臣、第一副大統領、共産党第二書記長だが、この日曜日に開かれる新議会の最初の国会で、議長に選ばれる唯一の候補者であるように見える。
ラウルに近い、カルロス・ラヘ副議長(56歳)は、医師で、共産党若者連盟の元会長で、1990年代に導入された経済改革に深く関わり、いくつかの国際会議でフィデル・カストロの代役さえ務めたこともある。
2006年7月31日で腸の緊急的な外科手術で一時的に弟に権力を委ねた後、病のフィデルは、国家評議会議長で再選されることを認めず、軍の最高司令官も辞任すると火曜日に発表した。だが、共産党第一書記の地位には言及せず、「ただ望むことは、思想の戦場で一人の兵士として戦うことだ」と声明で語った。そして、フィデルは新聞紙上のコラムで書き続けている。
「当てにすることができる兵器工場のまさにもうひとつの兵器、私の声はたぶん聞いてもらえるのではないか」
カストロの辞職発表後、ただ一人の手に国や政府、共産党のトップの地位が集中していたこれまでの制度の改革の可能性を含めて、憶測が広まっている。
権力分散には憲法改正が必要とはなる。兄フィデルが病となって以来、ラウルが行っている集団指導体制は、キューバにとっては大きな変化で、多くの改革が必要とされる現在の指導体制を理解する一部となろう。
アナリストは、キューバの現実について、様々な世代や政治的な見通し、人々の要求や希望を取り込み、今の政治的階級で、バランスやコンセンサスを求める政府モデルを達成することが、現在の課題だと語る。
ラウル・カストロが7月26日の演説で国内にある問題について議論することを人々に依頼して以来、開催されたオープンな会議や人民集会で、130万を超す提案が集められた。
様々な情報筋によれば、懸念は、多くの物品が兌換ペソで販売されており、普通の庶民の手にはとどかないといった事実を含め、賃金の実質的な価値、住宅問題や「商業」の統治制度上の規制、住宅の販売や建物の建築の規制、公共交通の危機、教育やヘルス・サービスの質と広範に及ぶという。
それ以外に出された懸念は、民間企業や自営業への規制、外国人観光客にだけ開放され、キューバ人が国内のビーチ・リゾート・ホテルに滞在できない事実、そして、海外旅行への規制だった。そのリストには、農業制度をさらにリストラすることの必要性も含まれ、これについては、政府は既に前進しており、1990年代に緩和された経済的手段のいくつかの復活を求めている。これらは、90年代の深刻な経済ききの解決策として導入された地方分権化で、再度、過度な中央集権化に立ち返ることに抗議している。
とはいえ、公開討論で述べられた大多数の「改革要求」の提案は、「現行の社会政策の存続を支持するでしょう」
と全国性教育センターのマリエラ・カストロ所長は語る。所長は、ラウルの娘だが、こうした公開討論が「恒久的な機構」となることを目にしたいと付け加える。
ラウル・カストロにより召集された会議は、電子メール、ブログやインターネット・サイトを通じてなされた討論で補完され、それを通じて、多くのキューバ人たちが、現政治制度内で改革を行うことを支持する見解を示した。
バプテスト教会のライムンド・ガルシア司教は、反射と対話のためのクリスチャンセンターの事務局長だが、これ以外の大きな挑戦は地元の解決策を模索し、様々な市民社会セクターを有効に参加させるために「対話のためのスペース」を作ることだと語る。
そして、フィデル後のキューバの主な政治・経済ガイドラインを承認するため、2002年以来延期されている第6回共産党大会が可及的速やかに開催されなければなるまい。キューバはこのほぼ半世紀、ワシントンとの矛盾に巻き込まれ、この状況は必然的に政治や日常生活にさえ影響しているが、このすべては、米国での選挙の年の間での出来事となる。
「キューバが近代化しなければならないことを理解するセクターが政府内にはあります」と反体制指導者のマヌエル・クエスタ・モルア氏は語り、「コモンセンスの変化」と氏が呼ぶ、住宅、食料、賃金等の必要性にふれている。そのいずれも社会福祉と関係するものだ。
木曜日の発表について、温厚な反体制であるアルコ・プログレシスタのスポークスマンは、フィデル・カストロが「適切な時に正しい決定をとった」と述べ、その決定について「勇敢である」とし「国が必要としており、求めている改革への道を舗装した」と語った。
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