2008年2月20日 本文へジャンプ




2008年2月20日 ハバナ  

ほとんどのキューバ人たちは、カストロ政権以外の制度の下で暮らしたことが一度もない。だが、国民の四分の一は、基礎的物資が手に入らないといった日々の心配から革命の成果への熱意が湿った時期、過去20年の経済危機の中で育っている。

国家元首を退任するとのこの火曜日のカストロの発表で、いま70歳や80歳代の誰が、長期に続いた共産党の指導者の後任となるのか、そして、社会主義への人民の支持がどう果たされるのかとの疑問が、とりわけ、若者たちの間で再燃している。「歴史的な世代は、手にした権力を手放そうとしません」とハバナ在住の司書、ヤディラ・バルディビア(28歳)さんは言う。
「権力のある地位についている人は、ただ何かをやっているふりをするよりも、むしろ、我が国の問題解決に必要な政策をして欲しいと願っています」と彼女は言う。

「私たちは、政権に多少は新鮮な空気を入れるために別の世代の人を選出すべきだと思います」

 緊急の政治的議論が必要だと信じているバルディビアさんはそう語る。

「最も論理的に考えれば、歴史的世代に権力を託すべきです」と、退役軍人のルベン・ヒメネス(64歳)氏は語る。

「我々の指導者は準備ができてはいますが、今、米国からの脅威がある中で、弱みと見られる手段は断じて講じるべきではありません」

 だが、ミリアム・クルス(59歳)氏は、おそらく、高齢と若い指導者との組み合わせになるだろうと語る。

「優秀な若い世代がいますから、ミックスされると想像します。さもなければ、革命が機能していなかったということになりましょう」

 2006年7月31日に緊急の腸の外科手術でカストロが一時的に引いた後、フィデルの弟ラウルに率いられる暫定政権が立ち上げられたが、その政権の平均年齢は63歳で、全員が1959年の革命以前の生まれだ。17カ月ほど後、カストロは、火曜日に発表された声明でキューバ国家評議会議長と軍の最高司令官を辞職したと説明した。キューバ憲法では、それは、同一人物が付かなければならない地位だ。だが、カストロは、共産党書記長の地位については言及しなかった。その決定は次回の党大会まで延期されるであろう。声明でカストロは、地元新聞のコラムを通して自分のアイデアを出すことに専念すると述べ、社会主義体制が続くことを信じていると述べた。

「キューバは、革命の初期にまだ若かった老人たちをまだ頼ることができる。彼らは、我々と共に革命を組織、導く複雑でほとんど不可能なアートを学んだのだ」とカストロは言い足す。

 国会議員の17%はキューバ革命で転覆した資本主義制度下で暮らしていたが、60%以上は1959年以降の生まれだ。カストロがその年に反乱軍を勝利へと率いたとき、残りはまさに子どもだった。

「今は、そのことを考えません。すぐに変化があるとは思いませんが、本当に気にしていなんです」とある20歳の大学生は言う。

「我々は若年たちの間の政治的無関心を懸念しなければなりません」と、高校の数学教師セサル・メンデス氏は示唆する。

「若者たちの間のこの無関心ぶりは、この数年でわれわれ社会主義体制について起きた兆候なのです」

 リカルド・アラルコン国会議長は、ハバナにあるコンピューター科学大学の学生たちとこの1月にミーティングした中で、1959年以前の資本主義制度の否定的な面を今の若者たちに納得させることが難しいことを認める。というのも、若者たちは、ただ年寄りたちから何度も繰り返された「いつものもの」としてそうした議論を書くだけだからだ。

 ミーティングでアラルコン議長が数人の学生から問われたのは、家計収支を合わせるのを困難としている二元通貨制度、海外旅行の規制や外国人旅行者だけしか宿泊が認められていないホテルの規制、インターネットへのアクセスの規制といったきわどい問題、そして、大衆と政府とのより開かれた意見交換の必要性だった。

「もし、何人かの学生から議論の種となる提案が出されたならば、社会主義体制を破壊するのではなく、より良く構築するために、僕らは内からそれをやります」

 共産党の機関紙グランマのウェブサイトの録画インタビューで、コンピューター科学大学の学生、エリエセル・アビラ君はこのように語っている。これは、あまりにもずけずけとモノを言うので彼が逮捕されたとの噂を否定するために載せられたものだ。

 2005年11月17日、ハバナ大学での学生へのスピーチで、フィデル・カストロは「革命がそれ自身の誤りの結果、自滅できる」と警告した。カストロは、不正や闇市を摘発し、キューバの主な援助先であり、貿易パートナーであったソ連や東欧社会主義圏が崩壊した後、1990年代前半に生じた経済危機の中で広まった格差を解消する努力を求めた。

「国内外の移動に制限を加える法律は、改革されるべきです」とバルディビアさんは主張する。

「経済に応じた新たなガイドラインのもとで機能するやり方で内政や政府を運営し、メディアもリアルな社会議論をリアルに反映するべきです」

 ラウル・カストロのもと、農業のような主な経済部門の開発を強化し、不動産や他の商品の売買と関連した長期の規制が撤廃され始めているが、アナリストは、その改革を加速化することを示唆する。フィデル・カストロのカリスマ性が演じてきた重要な役割を指摘しつつ、「新たな指導者が直面している最大の挑戦は、人々の間の統一性を高く保つことです。フィデルがしてきた責任を果たそうとすれば、誰であれその責任は重いのです」とヒメネス氏は語る。

 カストロが引退したとのニュースを耳にした後、ヨアニ・サンチェスさん(32歳)は、「たとえ疲労困憊して倒れたとしても、私はひとつの時代が終わった象徴とされていることがわかります」と彼女のブログ、ヘネラシオンに書いた。サンチェスさんは、言語学の学士だが「新たな段階で私たちの願望や希望が反映されようが、あるいはさらに50年も今の状態が続くとしても、考えることに価値があるのだ」と書いた。


 Dalia Acosta, Socialism Through the Prism of the Generation Gap Feb 20, Inter Press Service, 2008.