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2008年6月20日 ハバナ

 ラウル・カストロのもとでも、キューバは相変わらずだが、同時に変わりつつもある。半世紀も以前の革命以来の社会主義の道を完成させるため、ラウルは「改革されるべきものはすべて改革されるだろう」と口にする。


 期待や予想された改革のほとんどはいまだに実現されてはいない。とはいえ、お膳立てはされている。平等主義の名のもとに数十年も規制され、教育水準が高いこの社会にとっては刺激的すぎた条項のいくつかが緩和されつつあるのだ。

 ディグナ・マリアさんは「やっとそれ以外のラテンアメリカ人とやっと同じようになったと感じる」と語る。携帯電話を持て、五つ星ホテルに泊まり、コンピューターを買えるようになったからだ。

「このどれも私には手にする余裕はないかもしれません。ですが、そうする権利は得ているんです」

 そうマリアさんは断言する。もちろん、国際観光客用ホテルにキューバ人が宿泊することを規制してきた規制が撤廃されたことを「上面だけの改革さ」と主張する人々もいる。だが、彼女は反論する。

「だって、その禁止の理由が理解できないんですもの」

 マリアさんの発言は、まだキューバにはなじみのない新たな動きをどう受けとめるかの反応でもあり、そこには、将来への不確実性や矛盾や希望が入り混じっている。社会主義体制に賛成するかのか、反対するのか。根本的な改革に関心を抱くセクターの中ではフラストレーションもある。

 2008年の3月と4月にかけてなされた政府の決定で、兌換ペソ(CUC)でしか使えないショップで販売されている携帯電話、コンピューター、オートバイ、DVDプレーヤー他の家電製品を買うことが認められた。

「それらは、とりわけ、誰もをうんざりさせる規制でしたから、ラウル・カストロが規制を撤廃した事実は、多くの人々から自由化や弁明として理解されました」と、1959年1月1日に政権をとったフィデル・カストロの反乱軍のベテランは、ハバナの847キロ東方のサンチアゴ・デ・キューバから語る。

 多くは、海外旅行、自宅、自家用車の所有、自営業のさらなる規制が撤廃されることを望んでいる。自営業で認められる職種は限られ、経済筋の情報によれば、時々には営業を実現不可能にさせてしまうほどの規制なのだ。個人の海外旅行をしたくても、友人や外国の関係者からの招待状や当局の出国許可が必要だ。付随する条件から実際には旅行できないケースも多い。

 この4月には、医師や軍関係者、そして、大学を卒業したばかりの者には2年間の社会サービスの義務が課されるが、この義務をまだ終えていない者は除外される。だが、それ以外にはこの規制を取り払う改善策が力を持ちつつあるとの噂も執拗に流れた。

 移住問題の情報筋によれば、この例外が規制緩和をするにあたって手続きを複雑化させた。とはいえ、数十年も効力を発揮してきた規制の柔軟な対応が議論されていることそのものが、まさに重要な改革と見なされているのだ。1120万人国民に必要なこうした改革は、130万人が提案している一部でもある。この提案は、2007年7月26日にすでに首相として行動していたラウル・カストロが行った重大演説に端を発する。ラウルは、政府自ら人々を集め討論することを呼びかけたのだ。

 出された懸念の中には、公共教育の質の低下があった。それは、以前はアンタッチャブルなテーマだったが、4月前半に開催された第七回キューバ作家芸術家協会(UNEAC)の大会で討議された。その後、ルイス・イグナシオ・ゴメス教育大臣は、4月末までに解任されている。また、これ以外の時代の変化を象徴するものには、6月4日のホセ・バラゲール厚生大臣による性転換手術の自由化を含め、性転換者のための総合医療基準の承認がある。

 ラウル・カストロは、傑出した組織調整力で知られ、慎重な人物ではあるが、2007年7月に政府の主要プログラムを発表している。フィデルは、病から回復はしていたが、この時点でラウルは81歳となる兄のフィデルに代わっていた。

 今週は、6月25日(水曜日)からのタバレ・バスケス、ウルグアイ大統領の公式訪問がある。そして、キューバ革命の歴史的な指導者、カストロは、政治からまだ完全には退いていないことを示した。バ大統領は、ラウル・カストロとの公式会談を行い、ラテンアメリカ医科大学を訪れ、2,000人のウルグアイ人に無料で目の手術をしたキューバの医師に感謝を述べ、さらに、フィデルと2時間20分による会話を行った。

「フィデルは元気でぴんぴんしている。キューバとラテンアメリカのための重要な戦略を考え、執筆し、創造している」

 ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は、火曜日にカストロを急訪問した際にこう語っている。会見のビデオ画像や写真には、世界の食料価格の高騰の影響について話すカストロ兄弟やチャベスが写っており、彼らは、それを「戦略的課題で国家安全保障の問題」と称した。

 この問題はラウルの最優先事項でもある。軍事戦略家であるラウルは1990年代の経済危機の最中に人々の食料を保証する手段を講じ、「豆は銃よりも重要だ」と論じたことがある。

 2007年7月の演説では、ラウルは農家の所得が低すぎ、国内食料需要を満たすだけの十分な生産がなされていないことも認めた。今年の食料輸入経費は19~20億ドルに登るであろう。

「必要があらば、どこであれ構造・概念の改革を導入しよう」とのラウルの公約と一致し、農業生産性を高めるため、農業や家畜部門では改革がなされており、ミルクや肉の農家からの国の購入価格の引き上げから始まっている。

 改革は進行中で、まだその範囲がどこまで及ぶかはわからない。わかっている限りでは、地方政府へ権限を委譲し、新たなマーケティングの確立や小規模農家への遊休地のさらなる貸与を含むであろう。

 賃金では、2008年2月の労働省規則で、生産奨励ボーナスを伴う、生産を奨励するために成果主義に基づく給料の改革が全国営事業に広げられた。規則が目指すのは、財やサービスの質を改善し、輸入品を代替し、輸出を増やし、国庫歳入を増やすと同様に「生産力の向上と経費節減、エネルギー浪費を減らすこと」と説明された。

 5月には、成果主義ではカバーできない労働者の55%以内の賃上げと年金生活者や低所得世帯への援助額の20%以内のアップも実施されている。

 2009年末に開催が予定されている第6回共産党大会は、とりわけ、この暫定的な解決策に取って代わる、前向きの経済戦略を決定するため、いま進行中の改革の重要なマイルストーンと見なされている。

 国会は、フランクに議論しあうことを学びつつある社会の中で、違いにさらに寛容となり、違いを恐れることなく、多様化に向けた新たな道を切り開くであろう。

「以前は、人々が表通りでその現実について、これほどあからさまに口にすることがありませんでした」

とある地元のライターは語った。



 Patricia Grogg, Past, Present and Future Changes, Inter Press Service, Jun 20,2008.