
2008年8月21日ハバナ クレソンやキャベツ等の葉物野菜が、ハバナの東部、アラマルで1970年代と1980年代の地方市場に現れたとき、地元住民は「これはチリ人たちのための草だ」と言ったであろう。
当時、南米南部から何千人もの亡命者たちがハバナから15km離れたアラマルでは暮らしていた。キューバ人たちの連帯感は、独裁国から逃れた彼らがキューバの暮らしに適応する助けにはなっていたが、彼らは、地元の食事にも慣れなければならなかった。それは、ロースト・ポークや黒豆、白米、揚げた食用バナナ、そして、わずかしか生鮮サラダのない食事だったのだ。当時のキューバ農業は、高度に機械化され、化学合成農薬や化学肥料、化石燃料他の投入資材に依存するものだった。専門家によれば、海外からの補助金を受け、生産性も低く、生産のほとんどは大規模国営農場に集約されていた。
アラマルの人口は約10万人だが、この町で暮らすエバ・ペレスさんは、「人々は野菜を食べる習慣がありませんでしたが、今は違います」と語る。彼女は、無農薬・無化学肥料栽培の野菜を見つけることができなかった当事を想起しつつ、「人々は野菜を食べるメリットがわかっています」と言う。
ペレスさんは、UBPCs のひとつ、アラマル・オルガノポニコが運営する店舗の価格を見る。2007年に、アラマル・オルガノポニコは、300トン以上の野菜、3,536kgのスパイスやハーブ、318万本の野菜苗、果樹等のそれ以外の苗を3万6000本以上生産している。その協同組合を0.8haの土地に4人の地元住人が立ち上げたのは1997年のことだが、今農場は11ha、129人のメンバーを抱え、うち36人は女性だ。そして、生産量も収益も年々のびている。
多くのアラマルの住民にとって、このプロジェクトの最大のメリットは、ゴミ捨て場が活気のある農地に転換されたことだ。
「このような多くの土地が打ち捨てられていたのです。例えば、スポーツ複合施設を造る構想はあったとは思いますが、それは建てられませんでした。人々は、そこにありとあらゆる種類のゴミを捨て始めたのです。ですが、今は、あなたも目にできるでしょう。どこもかしこも緑です」と、10年前に協同組合に参加したイベテ・バロッソ(40歳)さんは言う。バロッソさんは、化学の技術者で、自宅近くにあるプラスチック工場で最初は働いていたが、今は止め、もっと所得を得ている。
「都市農業で、多くの女性がこうした仕事に参加するようになったのです」と、アラマル農場プロジェクトの肯定的な面を説明しつつ、彼女は言う。バロッソさんによれば、地元住人への雇用創出と同じく、組合は消費者がより健康的な食事をする一助にもなっていると言う。
「ここで栽培されたものは全部が健康的です。化学物質もまったく使っていないからです」と、有機物を満たした小トレイに種子を撒きながら、コメントする。
70カ国以上に人道救助を行っているドイツの開発協力NGO、アグロ・アクションの支援によって、アラマル農場では、真夏の数カ月の間でも、レタス、きゅうり、ビート、豆を栽培する技術や設備を手に入れられた。ドイツの団体の支援のおかげで、組合には施設があり、そこで自家用や他の農業者への販売用の苗を育て、作物の栽培や有機肥料生産のための様々な潅漑施設や、生鮮野菜を栽培するハウスもある。その一部は、兌換ペソで販売されている。
また、この海外援助では、協同組合が流通業者に頼らずに農産物を販売できる小規模な直売所や農場のメンバーがトレーニングを受け、他の農業者や協同組合と経験をわかちあうためのセンターにも資金を提供した。
「この海外援助が私たちに決定的な後押しをとなりました。協同組合の生産のニーズに重点をおいたこの協力なくしては、この技術は得られなかったでしょう」農場のミゲル・アンヘル・サルシネス組合長は言う。
ドイツのアグロ・アクションは、この15年、キューバで活動しているが、食料安全保障で分権化を誘起するグローバルな努力の一部として、多くの都市農業プロジェクトを支援し、地理的・政治的な距離に橋を架けている。組織の仕事では、緊急的な援助もなされるが、環境的・社会的に持続可能な方法を用い、グループが自らの努力で食料問題を解決するプロジェクトを通じた人々の自助という原則に基づいてなされている。
今のキューバ農業の主な生産単位は1993年に創設されたUBPCs、1960年代にまで遡るCCSsと1976年に創設されたCPAsからなっている。CCSsでは、農業者たちは独立経営を行うが、投入資材の購入や機械を共有のためにグループを組み、CPAsでは、農業者たちは集団で耕作を行う。キューバを援助し、メインの貿易相手であったソ連や東欧社会主義圏が崩壊した後、経済危機とその結果として、農業投入資材や工業化された農業モデルを支えるうえで欠かせない機材不足に対応することを目的とした改革の一部として、UBPCsは登場した。無料での土地の無期利用権をUBPCsのメンバーは取得し、彼らは自分たちのリーダーも選ぶが、リーダーは、定期的にメンバーへのアカウンタビリティの責務も負う。
いま、大規模国営農場の代替手段として、240万ha以上の農地がこうした様々な協働生産単位や自営農家によって耕作されている。食料増産の緊急的な必要性から、例えば、遊休農地を生産者に配布すると発表する等、政府は農業部門の新たなリストラを実施している。
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