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2009年1月20日 サン・ホセ・デ・ラス・ラハス


キューバ中部のエスカンブライ山地のトペス・デ・コジャンテスで、オダレィ・アロチェ(42)さんが、彼女の家から380kmも西にあるサン・アンドレスの女性農家がしていることをみならうおうとすると、隣人たちが彼女は気が狂ったと口にした。だが、彼女はそれでも止めなかった。


 最初に旅から1年以上たつと、アロチェさんは地元コミュニティのリーダーとなっていた。彼女の斬新なアイディアは称賛され、この村の経済や環境を改善する一助となり、それ自身が新たな農業技術を解き放ったのだ。

 農業技術研究所の専門家が提唱しているジャガイモ生産プロジェクトの一貫として、アロチェさんは地元農業改革プログラム(PIAL)に参加している。

「たとえ、夫がそれを支持しなくても私はそれを受け入れました。夫はそれは難しいと言ったのですが、私たちは42種類のジャガイモを植え、家で多様性のフェアを開催したんです。そこでは農民たちは自分の好きな品種を選びました」

 地元農業改革プログラムとは、キューバの文脈において、食料安全保障と食料主権を支える戦略として、農業の多様性を促進し、経済、社会、環境益を社会のために生み出すうえで、農民たちの貢献や能力を認め、それを活用する農業のイノベーション制度を強化することを目的に、2000年に農業技術研究所によって立ち上げられたものだ。今では、そのプログラムは14州のうち、9州で5万人が恩恵を得ている。

 各事例は地元農業改革センター(CLIA)を通じて動いており、農民たちが中心となって、革新的な技術に興味を持つ地元主体のネットワークも形成している。

 地元農業改革プログラムのコースを受講した後、アロチェさんは土壌保全プロジェクトを提案した。というのも、トペス・デ・コジャンテスでは土壌劣化が著しいからだ。そして、地区の農場の土壌浸食を防止するためにマイクロ融資を借り入れた。アロチェさんのプロジェクトに他の人々が興味をいだくだけの最小限の融資が借りられたのだ。

 土壌研究所の統計によれば、キューバの表土の約半分はその生産力が低く、農地は土壌浸食、排水不良、低い保水力や有機物含有量不足の影響を受けている。

「ゾイラやマリアから学んだことに基づいて、いま私たちは、野菜の保存に取り組んでいます」

 アロチェさんはそう言う。地元では伝統的にトマトが栽培されてきたが、それよりも野菜を栽培した方が有用なことを彼女たちは数人の地元農家に納得させたし、缶詰めにして保持する技術の専門家を連れてくる約束もした。

 サン・アンドレスからやってきた2人の農民、ゾイラ・パラセンシアさんとマリア・バリドさんは、地元農業改革プログラムに女性たちを参加させるパイオニアで、①トレーニングとコミュニケーション、②研究、③家畜生産、④種子と多様化、⑤統合的農業マネジメントと5つのプログラムにジェンダーの見解を組み込んだのだ。

「私は、プロジェクトで目が覚まされたんです」

 パラセンシアさんは2009年1月13日~15日に開催された第二回全国、地元農業改革プログラム大会の一セッションでそう語った。プラセンシアさんはいま42歳だが、48人の男性と2人の女性からなるCCSの代表だ。
「女性たちが参加するための運動を作り出さなければなりません」

 会議での討論の場でスイスの開発協力機関の全国プログラムのグラシエラ・モラレスさんは言う。モラレスさんは、地元農業改革プログラムが投げかける女性たちのリーダーシップで、ただ単に男女平等の達成するだけでなく、農村の家族モデルのさらに広い変化を呼びかけた。

 キューバでは農村女性は国民の11%強となっている。全国的には、労働力の52%、国の技術者や専門家の65%が女性だ。

「地元の農民たちは、私が良いアイデアをもたらしたといま信じてくれています。そして、マイクロ融資のための次のプロジェクトをプレゼンするため、彼らは私を選びさえしてくれたんです」

そう、アロチェさんは言う。

「それが暮らしの改善につながるから、食物保存に参加すると女性の農業者たちは言います」

 現段階では、地元農業改革プログラムはスイス開発協力機関とドイツ最大の開発人道援助機関であるアグロアクションから支援を受け、大学、研究所、国内外のNGO、開発援助機関、農業と環境当局からも支援されている。

「私どもは、農業をまさに男性のためのものだと思っていますが、それは神話です。女性こそがイノベーションに最も関心を持っています。彼女たちを主役にしないのはアン・フェアでしょう」

 地元農業改革プログラムのウンベルト・リオス代表(46歳)は、全国会議でこう述べた。

「地元農業改革プログラムが地元の家族と協働しなければ、それ自体が支えられません」と氏は「革新的な家族というアイデア」の普及を望み、こうも言う。

 わずか数年で、地元農業改革プログラムはそれが展開されている地区で意義深い成果をあげている。収量の急増、作物の多様化、有機肥料の活用は、いずれもその生産増が緊喫に求められている農業での最近の成果だ。経済省によれば、2008年にはキューバは2007年よりも8億3900万ドルもさらに輸入食品に費やした。8月と9月の3度のハリケーンで打撃を受け、農業生産は2007年の18.8%よりもはるかに低く、2008年にはたった1.6%しか成長しなかった。

 トペス・デ・コジャンテス丘陵の彼女の自宅でアロチェさんは次のプロジェクトを計画している。在来種の鶏を育てることだ。彼女は、すでに誰から卵を買うのかをわかっており、地元の農民たちが加わるよう説得している。



 Patricia Grogg, Women Farmers Bring Innovation to the Mountains, Inter Press Service,Jan 20, 2009.