2005年に、キューバはコンピュータのOSを無料ソフト用に切り替えると主張した。だが、この転換は公的政府機関よりも熱心な小人数の人たちの努力によりそうだ。
キューバの多くのパソコンは、違法コピーしたマイクロソフトのウィンドウズだ。ライセンス許可のない海賊版を使っている。
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「ですが、いまだに改革への抵抗が大きいのです」
ハバナ大学数学・コンピュータ科学学部で、フリーウェアやリナックスのユーザーを調整しているユディビアン・アルメイダ・クルス教授は語る。教授の見解では、米国の経済封鎖からライセンスを無視せざるをえない。だから、フリーウェアを活用することへの関心が低いのだ。
「フリーウェアについてもっと話しあい、自分たちが何を使っているのかを正確に知り、必要なソフトに適合させていくことが必要なんです」
教授によれば、ワシントンとの関係が正常化されれば、キューバは何百万ドルも支払わなければならなくなるだろう。だが、そのことをさておいても、IT産業を発展させるには、国際市場で認められるライセンスを持つことが必要だし、今のところ、その条件を満たしているのはフリーウェアだけなのだ。
「僕らはキューバには開発権があるとの原則からウィンドウズを使い始めはしました。ですが、現在ではその代替え手段があるのに、どうしてそれを使い続けなければならないのでしょう」
2007年の2月にハバナで開催された国際ITイベントで、リチャード・ストールマン氏は、フリーウェアへの切り替えを勧める機会を得て、フーベン・レベルデでこう述べている。
「社会的な惰性が主なネックですが、キューバには大きな問題と戦う経験があります」
2005年5月、社会のコンピューター化推進事務所のロベルト・デル・プエルト所長は、政府が、中央の管理事務所がフリーウェア、とりわけ、1991年にフィンランドのリヌス・トルバルズが作成したリナックス・カーネルを用いたGNU/リナックス・システムへの切り替えを準備したと発表した。その2年後の2007年7月には、情報コミュニケーション省のホルヘ・ルイス・ペルドモ副大臣は「フリーウェアを用いることは、技術的な主権を達成する戦略の一部であり、国家安全保障の柱だ」とフーベン・レベルデで語った。
ペルドモ副大臣によれば、ウィンドウズから徐々に乳離れするには、トレーニングだけでなく、多くの資材もかかる。
1990年代の半ば以来、医療情報電子ネットInfomedやハバナ大学はリナックスを使っているが、今のところ、全コンピュータにGNU/リナックスを採用しているのは、税務署だけだ。
「オーダーメイドのアプリケーションが最大の問題です」と、アルメイダ教授は言う。
こうしたプログラムは特定の課題解決のために作られており、ウィンドウズ上で走る傾向がある。おまけに、国の教育機関で広く用いられているマルチメディア機器の多くもそうなのだ。
「ですから、専門家たちの間ではリナックスのようなOSを広めることへの全員の承諾が得られないのです。僕らは、ウィンドウズを使い続けなければなりません」
現状維持を望むITの専門家は「別のやり方にするとは気が狂っている」と述べるのだ。
キューバには、青年共産党同盟が組織し、新技術の知識を大衆に普及する若者コンピュータ・電子クラブが約600以上あるが、約4,000人がそこでリナックスOSの教育を受けている。政府は、情報やコミュニケーション技術の個人的な利用よりも、医療、教育、文化・科学的センター等にコンピュータを導入し、データベースを構築する社会的利活用を優先しているのだ。
「若者クラブは、フリーソフトを広めるうえでとても役立っています。ラテンアメリカ全域のフリー・ウェア導入フェスティバルをキューバで組織するため、フリー・ウェアのユーザーたちとも協働しています。キューバ内にもフリーウェアを好み、その利用を促進するグループがあるのですが、それは全く制度化されていません」と、アルメイダ教授は言う。
「多くの人々はリナックスを学ぶことに興味は持っていますが、それでも、真剣に受け止められる運動にはなっていません。私たちはフリーウェアの哲学、協力の思想、そして、情報の自由を強調しなければなりません。キューバ革命の思想は、これとマッチしているのに、どうして知的開発の分野で、より緊密に協働できないのでしょうか」
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