2007年5月17日 本文へジャンプ
キューバのパソコン

キューバのパソコン事情

 何年もの熟慮した末、ハバナ大学は、そのコンピュータ・ネットをフリーウェアに切り替えるとの最終決断はした。だが、実際のところ、そのOSのほとんどすべてはウィンドウズで動いている。

 2008年に教授やコンピュータ関連のスタッフを集中教育し、翌2009年にはリナックスOSを導入する。これが、大学委員会が採択した計画だ。リナックスとは1991年にフィンランドのリヌス・トルバルズが作り出したリナックス・カーネルを使うソフトのことだ。

「もちろん、これは長期的なプランです。ウィンドウズからリナックスに急に切り替えることでのとまどいは避けなければなりません」

 ハバナ大学の数学コンピュータ科学部のユディビアン・アルメイダ・クルス教授(27歳)は語る。

 事実、転換の戦略は数段階からなり、まずは、インターネット・エクスプローラーをモジラ・ファイヤーフォックスのようなブラウザに切り替えることで、これは、2007年の1月5日から始まっている。そして、マイクロソフトのオフィスの代わりにオープン・オフィスを使うためのトレーニングを行い、最終的には特許のあるソフトがなくなるまで続く。

 フリーソフトウェア運動を立ち上げ、パブリック・ライセンス(GPL=General Public License)を作り上げた米国のソフト開発者で活動家であるリチャード・ストールマン氏によれば、フリー・プログラムは、以下の4条件がある。①いかなる目的にもプログラムが使える自由、②プログラムがどう動くのかを研究し、ニーズにそれを合わせる自由、③相手の助けとなるように再コピーできる自由、④プログラムを改良し、全コミュニティに益あるようにその改良をリリースする自由だ。

 アルメイダ教授は、コンピュータ科学やコンピュータ演習室のスタッフに教える人から始めることが論理的だと語る。

「というのは、彼らが最も改革に抵抗力する人たちだからです。これとは対照的に、学生たちは授業で決められた科目内容を受け入れなければなりません。今は、ほとんどがウィンドウズを使った授業となっていますから、コンピュータ・コースのカリキュラムは改訂される必要があります」

 教授は、ハバナ大学のフリー・ウェアやリナックスのユーザグループを調整しているが、フリーウェアへの転換が1月5日に認められた後、数学部がその授業計画を変えはじめているという。

「フリー・ウェアが大学のコンピュータ全部にインストールされれば、それ以外のソフトの使い方を教える意味はなくなりましょう」

 キューバでは2005年5月に政府の中央管理事務所から着手し、フリー・ウェアに転換するとの発表がなされた。この転換を進めるため、教育、正義、内務、高等教育、軍、関税サービス、コンピューター・キューバ協会事務所、コンピュータ科学大学(UCI)、ハバナ大学やホセ・エチェベリア大代表を含め全国ワーキング・グループが立ち上げられた。だが、全コンピュータにリナックスOSを採用しているのは、税務署だけだ。

「全国グループは提案はします。ですが、転換を実施する法律はないのです」

 アルメイダ教授は言う。

 2008年4月10日、教授は自分のウェブサイトに、エクアドルが国の中央公的事務所をフリー・ウェアに転換させるためのラファエル・コレア大統領の法令を掲載した。

「この運動の目的は、2007年6月にチリで開催された第九回イベロ・アメリカの公的管理と国家改革に向けた閣僚会議で採択されたイベロアメリカ電子政府憲章で推奨された主権と技術的な自治に到達することにあります」

 フリー・ウェアが認められることはハバナ大で簡単ではない。とアルメイダ教授は言う。「大学では社会科学他の科目の学習指導要領の方が新情報やコミュニケーション技術よりも優先されています。大学教授たちが最も改革に鈍いのです。というのも、特許のあるソフトを使い慣れているからです」

 教授によれば、彼らは、フリーウェアはウィンドウズのような市販プログラムよりも質が低いと反対しているという。そして、技術的主権等を見落とし、結論のでにくい議論がされている。

 米国の経済封鎖のため、キューバにある約38万台のコンピュータの圧倒的多数は、ウインドウズOSの違法コピーで動いており、ライセンス料を全く支払わないプログラムの海賊版を使っている。

 全国統計事務所(ONE)が実施した情報と通信サービスへのアクセス調査によれば、6歳以上のキューバ人の33%が2007年に少なくとも一回はコンピュータを使っている。そして、研究からは、家庭でのコンピュータ・アクセスは全体の5.2%しか占めず、コンピュータは郵便局と新技術の知識普及のために若者共産党同盟が組織する若者コンピュータ・電子クラブで頻繁に使われていることがわかった。

 アルメイダ教授の見解では、フリー・ウェアを使えば、ワシントンとの関係が今後正常化されれば、無料で使えなくなるプログラムにハバナ大学が依存しなくてすむことになる。

「しかも、それは、キューバの高等教育の基本目標のひとつである知識の社会主義化を促進するでしょう。長い間、なんら決定もされないまま、この問題が議論されてきましたが、プランの始まりはかなり重要な前進なのです」



 Patricia Grogg, Technology-Cuba: University Opens Doors to Free Software, Inter Press Service, May 17,2008.