1999年7月
農民参加型種苗開発

はじめに

 非正規の種子セクターでは、農民たちの方が、育種家よりもむしろカボチャの多様性を維持、発展させ、高めて豊かにする能力があります。このセクターは、開発途上国の低所得条件のもとでの種子管理でとても重要な役割を果たしているのです。

 このモデルを用いることで、所得が低い農場で、カボチャの収量維持にどんな要素が影響を及ぼしているのか、それを特定することは興味深いことです。とりわけ、キューバでは、種子生産が経済危機の影響を受けているからです。

材料と方法

 キューバの在来種(landrace)から選抜されたマルカ(Marucha)とフィフィ(Fifi)系統が二つの種子管理制度のもと播種されました。キューバの種子企業で頻繁に用いられている正規モデルでは、品種の種子は、数期の間は隔離、すなわち、1000m内にカボチャの遺伝子型(genotypes)がない状態で増やされます。この実験では、マルカとフィフィ系統は、2期の間 (冬、夏)、異質な花粉(extraneous pollen)の混在を避け別々に播種されました。

 非正規なモデルは、農民たちの間でのふつうのアプローチで、自分たちが保存したカボチャの種と並べて、それ以外の農場のカボチャも栽培します。この実験では、マルカとフィフィ系統は、以前に評価選択された8種類のカボチャの在来種の間で育てられ、その種子が保存されました。

表1 夏期と冬期の2つの増殖系統(lines multiplied)の収量減
播種期 収量(t/ha)
Marucha Fifi
夏期 正規モデル 5.17 3.06
非正規モデル 7.95 4.14
収量減 35% 26%
冬期 正規モデル 3.20 1.10
非正規モデル 5.93 2.63
収量減 46% 58%

 この2つのモデルをシミュレートすることで得られたマルカとフィフィの種子が、低投入の栽培条件下で、サン・ホセ・デ・ラス・ラハス(San Jose de las Lajas)の夏と冬の間に、乱塊法設計(random block design)で比較されました。

結果

 正規セクターで用いられた隔離アプローチ(isolation approach)では、マルカとフィフィの双方の収量が減り、その収量減は25~58%でした(表1)。冬の作付け期に見られた大きな収量減は、水のストレスのためかもしれません。この結果は、正規モデルの種子増殖(seed multiplication)では、近親交配(inbreeding)、すなわち、同型接合性(homozygosity)がより起きていることを想定させます。これに反し、非公式モデルでは、様々な種子が農民たちによって導入され、この起源のあるマルカとフィフィの相互受粉(interpollination)が、同型接合性を高め、結果として、低入力条件下のもとでカボチャの収量増をもたらしたのかもしれません。

 キューバでは経済危機が続いているため、カボチャの育種で、植物育種家(breeders)が非正規の種子セクターにかかわることが不可欠になっています。そしてまた、植物育種家は、その育成経過で農民たちと育種家が果たす潜在的な役割を再考する必要があるのです。

 Humberto Rios Labrada, Yunaima Perera Ibarra y Antonio Fernandez Almirall, Effectiveness of the Informal Seed Sector for Increasing Yield in Pumpkins Developed under Low Input Conditions, Cucurbit Genetics Cooperative Report No. 21, July 1998.
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