2005年2月 本文へジャンプ


サルーを楽しむ



彼はいま


 ガルシア博士は、ハバナのホアキン・アルバラン外科病院の集中治療の専門家で、今、アテローム性動脈硬化症の修士プログラムを学んでいる。






ガンビアでの自分を変えた経験

 私はボランティアでした。というのも、アフリカを訪れ、アフリカの状況がどうなっているのか。そして、それが米国の黒人の暮らしにどう影響したのかを理解したかったからなのです。また、自分の専門性も高めたかったので、赴くことを決めました。

 医師として私の所作は、この経験後に変わりました。専門家の観点からすれば、一番大切な変化は、患者とのコミュニケートの仕方だと思っています。言語が通じない中で、非言語的なコミュニケーションがある程度必要で、とても多くの情報を伝えられるジェスチャーの大切さがわかるのです。ですから、私はそうしています。

 また、これとは別に、すでにキューバには存在しませんが、将来また目にすることになるかもしれない熱帯病で得られた莫大な経験です。というのも、世界がますます小さくなり、人民は他の人民と多くの関係を持ってきているからです。直接経験することは、教科書で見る病気を治療することとは違うのです。混乱してしまいがちなマラリアの急性患者、脳マラリアのようにです。

 私は、キューバの医師は素晴らしい科学教育を受けていると思います…。そして、素晴らしい科学教育を受けた世界中の他の国からの医師もここで目にしました。信じられないほどヒューマニスティックに満ち溢れ、他人を助けるためにすべてをささげることを望んでいる世界中の他国から医師たちも目にしました。ここで彼らと会い、私どもが一人ではないということは、とても喜びでした。

ガンビア医科大学


 以前にも他の専門家がいましたが、ガンビアの医療制度に多くのキューバの医師たちが投入されはじめたのは、1999年の統合医療プログラム(Comprehensive Health Program)が導入されてからです。このプログラムを継続させるため、私どもの政府との協定によって、医科大学を創設することが決められたのです。別の同僚と私は、学校で最初に臨床医学を教えました。

 この学校の開設はガンビアの人民たちにとり、とても重要な業績だったと思っています。ガンビアは、とても小さく、貧しい国で、海外から何らかのトレーニングは提供されてきましたが、植民地支配のもとに長くおかれてきました。独立後には、彼らは海外で医師を養成してきましたが、ガンビアの専門家が国内の病気や健康上の課題にふれる経験をしつつ、養成されるのは初めてのことなのです。卒業する医師たちにとって、治療する自分たちの人民のこと、最も重要な病気、環境と衛生状態、そして、この国、彼らの国家の一部でもある一人ひとりの人民の見解を理解することはとても重要です。

医科大学のカリキュラムについて


 このカリキュラムは基礎科学についてはキューバのものとまさに同じですが、臨床部分ではイギリスや西アフリカの教育モデルに基づいています。それは、コンフリクトするものではありませんが、時には統合するのがとても困難なプロセスです。つまるところ、学生たちは両制度から、最も多く、最良のものを得るわけですから、とても生産的なのだと思います。将来的には、彼らは「ガンビアの医学教育」を手にすることでしょうし、国内の問題に対する新たな異なる手法を手にすることでしょう。

ガンビア医科大生について


 ガンビアの医大生は傑出しています。彼らはとても厳しい時期を潜り抜けてきました。もし、作り出すことが困難なものがあるとすれば、それは医学校や教師に動機を与える学生たちです。国を去り、ロンドンや米国で学ぶチャンスがあったのに、彼らは、この地にとどまり、医学校の強化を助けることを選んだのです。

「君たちこそが、このプロジェクトの真の所有者であり、君たちこそがプロジェクトの精神であり、そして、僕らがここにいるのもそのためなんだ」

 私は、そう思いますし、いつも彼らにそう言っています。

ガンビアでのキューバの医療チームについて


キューバの医療チームは、実際にガンビアの医療制度のあらゆる場面に存在しています。私どもの主なミッションは、ヘルスケアと予防です。最も孤立した集落、最もアクセスが困難な村で働く医師たちがいます。コミュニティに住み込み、コミュニティの健康問題に対応する医師たちなのです。大から小まで、全ヘルス・センターや救急センターには医師がおり、赤ちゃんを分娩し、ワクチン接種プログラムやマラリア予防を支援しています。国民のほとんどは、医療費が高過ぎるため、民間病院にはかかれません。そして、病院にはごく少人数の医師しかいない時もありました。ときには、必要なサービスを提供するため他国からボランティアがやって来たこともあります。

 彼らはほとんどが大病院で働いていましたが、ひとたびキューバの医師たちはやってくると、人民たちはもっと医療にアクセスできるようになったのです。国全体で、突然に医師にかかれるようになったのです。

 道路事情が最悪で、交通システムも古くさいため、ガンビアではタイミングがとても重要です。そして、ガンビアでキューバの医師が保証しているのは、多くの患者が医療サービスにアクセスできることなのです。もちろん、私ども、その医療制度に新たな要素、予防という要素を取り入れました。

キューバの医療制度の哲学について


 キューバの医師たちは、他の人々を助けることは重要であり、最も人民の役に立つところにいることが大切だと思いつつ成長します。そして、それ以外のキューバ人たちが、必要とされている地へとおもむき、そのために命ですら捧げていくことを目にします。私どもは人民の命を救うためにここにやって来て、私たちの命を捧げているのです。

 キューバでは、すべてが医療と関連しています。テレビやラジオはいつも健康と関連したメッセージを放送していますし、教師、高齢者クラブとどこにでも健康と関連したメッセージがあります。これが、世界のそれ以外の国以上のことをもたらすことができていることなのです。ほとんど金銭をかけずに、とても良い結果をもたらしています。

キューバの医療モデルのガンビアとの関連性について


 先進国の健康問題への対応策の経験は第三世界国とは大変に異なり、しばしば非実用的です。ガンビアにはイギリスと同じだけの資源がありませんから、イギリス医療の取組みの後に続くことはできません。ガンビアには米国が手にしている技術資源がありませんから、米国医療の取組みに続くことができません。ですが、ガンビアがキューバのパブリック・ヘルスの経験に続くことはもっと簡単です。なぜなら、それは物質的な欠乏に基づいてデザインされているからです。

 重要なことは、ガンビアがおかれている状況とまさに同じ深刻な物質不足の中で、人的資源を最大限に活用することで、キューバで達成されたことなのです。

ガンビアでのさらなる協力と統合の必要性について


 様々な国際機関、NGO、キューバの医師との協力体制があります。とりわけ、TBプログラム、マラリア・制御プログラム、HIVエイズ患者ケア・プログラムにおいてです。ですが、さらに多くの協働ができると思うのです。さらに協力を統合できますし、おそらく、各対応者が提供できるものを見るための様々な組織と集団でのワークセッションを持てます。つまるところは、ガンビアの健康指標を改良するという同じ目標を私ども誰もが持っているからです。医療制度を補助する様々な組織や医療制度そのものの統合が、まだ必要とされている仕事です。みな一生懸命ですがバラバラに働いています。 私どもが一致することもありますが、もし、協働するならさらに良い成果が獲得できるでしょう。

 Dr Joaquin Garcia, Deputy Director, Cuban Medical Team, The Gambia, Further Interview Excerpts from, SALUD!,February, 2005.