キューバについて多くある御質問

キューバは本当に本に書かれているような理想郷なのでしょうか

 本を読ませていただいてからは私もいろんな方にキューバについて話すようになりましたが、むやみに熱くなる私に否定的な忠告をしてくださる方もいます。
 しかし、私自身は欠点ばかりをほじくり返して、よい芽までつぶしてしまうような態度がもっとも嫌いなので、吉田さんの本に出ていた情報をきっかけにして自分なりにキューバを見てみたいと思っているのですが、実際のところはどうなのでしょうか。

お答え

 いいご忠告だと思います。完全な理想国家なんぞ、この地球上に存在するわけがないじゃあありませんか。持続可能な開発を目指してどこまでキューバが本気で取り組もうとしているのかについては、まだ議論が必要です。
 カストロをはじめキューバの閣僚は、環境よりの発言をすることもありますが、キューバ人は基本的に実践主義者ですし、閣僚や政治局員の誰しもが高い環境理念を持っているのかどうかは疑問がある。そんな実情をアジア・アフリカ研究所の新藤通弘先生はコメントしてくれています。
 第二は、一般庶民の意識です。私は、キューバ人民の中で暮らした体験を持っていません。正味滞在期間も一月をちょっと越えるだけです。加えて、外国から有機農業を取材に来たという記者(ぺリオディスタ)という立場で遇され、研究者や農家と接していますから、当然キューバ側も、こちらが喜ぶような優等生的な発言をしたり、優良事例だけしか見せてくれなかったということもあるでしょう。「なんだ、全然キューバの庶民生活事情を理解していないじゃないか」という批判もあるのではないかと思います。
 第三は、私が本を書くのに用いた情報源の問題です。私は、スペイン語が出来ないために、情報ソースは英語文献に限られてしまいました。そして、キューバの有機農業やエコロジーを紹介している英文は、たいがいNGОが発信源ですし、団体のメンバーには1960年代のカウンターカルチャー運動に参加したりしている世代もいますから、チェ・ゲバラやキューバ革命に青春時代の思い出を引きづっていたりもしています。
「おお、我らのキューバは、やっぱりエコロジーでも革命をしてのけてくれた!」という思い入れで必要以上にキューバを高く評価するというバイアスがかかっている可能性もあります。
 私自身は以下のようなプロセスが誰にでも必要と思っています。
 
1キューバはカストロの独裁国だと思っている。
2その意外な環境保全への取組みや社会的平等性・公正性に驚かされ、社会主義国の理想を実現した国だとベタぼれする。
3しかし、以外にちゃらんぽらんなところがあったり、人民が自由でない面が目に付きだし、熱が冷める
4しかし、よくよく考えると、人民の自由のなさもアメリカとの戦争中であることからやむをえないことであると見えてくる。また、ちゃらんぽらんさもラテン流の良さであることが見え、むしろ日本とは違う価値観で世界を見なければならないことがわかってくる
5やっぱり差し引きで考えるとすごい国だし、参考になる国だとまた再評価したい気分になってくる。

 私も以前は2だったのですが、いま3〜4の間といったところでしょうか。
 行ったことがない人はほとんど1で、ちょっとかじった人、あるいは私の本にだまされた人は2です。5の人がもっと増えることが本当の国際交流につながりましょう。

とにかく、キューバに行って農業体験をしてみたいのですが

 28歳の男性です。約一年前ぐらいから自然農業に興味をもちはじめ、そこで、インターネットで自然農業について検索しているうちにキューバが自然農業の先進国だと知りました。
 自然農業が一部の人、一部の地域だけのものでなく、街全体のものとなっているところが現実にあるというのを知り、大変うれしくなりました。キューバというのは、なにかわたしの頭の片隅にぼんやりとあった世界に非常に似ているような気がしています。ぜひともここで、農業にたずさわり、この世界を味わってみたいという気でいます。自然農業の知識や経験を積むにはもっと他の方法があると思うのですが、私はまず始めに、都市型自然農業というのが成功しているというキューバに行き、そこでの生活を体験してみたいと思っています。とはいえ、知人もなにもいない知らない土地に、どのようにアプローチしたらいいの全くわかりません。何かアドバイスをいただけませんでしょうか。

お答え

 このようなご相談を色々な方からお受けします。
 貴兄がどの程度の能力や経験をおもちであるか不明ですが、まず、日本で何らかの研修を積み、農業の実情をある程度理解しなければ外国に行っても見えるものも見えてきません。
 また、最低でも英語はできないと現地との交流もできませんし、キューバであればスペイン語が必要です。
 それが、ない若しくは不十分な場合はコストで補うことが必要になるということです。
 もちろん、若さというのはひとつの特権であり、色んな挑戦ができることであります。私の知人の女性でもスペイン語が全くできないままキューバに現地に飛び込み、一年の留学から帰ってきた人間がいます。
 ですが、訪れられる側からすれば、外国人が訪れてくれるのは励みになるというメリットがある反面、基本的に農家は農作業をしているわけですし、研究者もそれが本務ですから、単独の個人の視察があまり多いと現地からすれば迷惑をかけることにもなります。
 とりあえず、何が知りたいのか、なんのためにキューバに行くのか、ある程度問題意識を煮詰められてからでも良いのではないでしょうか。

キューバに長期滞在したいのですが

 私は海外協力活動に従事しています。そんな折、耳にしましたのがキューバでの国家プロジェクトとしての有機農業の試みです。持続型の開発、東洋医学を取り入れた医療制度など、ますます興味は深まります。是非キューバにいってみたいと考えています。つきましてはキューバでの長期滞在の方法、関連機関へのコンタクトなどはどうすればいいのでしょうか。

キューバに留学したいのですが

 はじめてお便りします。私は上智大学のスペイン語学科の4年生です。キューバに前から関心があり、ぜひ行きたいと思っていました。 この前初めてキューバ大使館に行ったところ、キューバの経済制裁後の取り組みを知り、またCasa de Cubaのサイトを見てますます興味を持ちました。  そのような取り組みをぜひ自分の目で見てみたいと思っています。またできればですが留学も考えています。もし、そのような情報をお持ちであれば、教えてください。

お答え

 長期滞在はいくつか条件があります。基本的に外貨を獲得することを目指すため、外国人はホテル滞在となり、それも一泊30〜80ドルとかなり高めです。また、国内を移動するためにはバスや列車等色んな交通機関がありますが、車をチャーターするとかなりかかります。農業を見るためにはこうした条件も必要になります。
 さらに、語学の問題があります。英語は一部のインテリはできますが、研究者や農家は基本的にスペイン語です。通訳を雇うとこれもいくらかかります。また、農業やそうしたジャンルへのテクニカルタームを備えた人物を選ぶことも必要でしょう。

 スペイン語がおできになる方の場合は問題がないと思えますが、テクニカルタームとかがある程度知っておくことが必要でしょう。インターネットでスペイン語でキューバのサイトを調べれば、有機農業に関するレポートはでていますから、 それを読むことで基礎単語をマスターできるはずです。

 一番、手っ取り早いのはツアーに参加されることです。一週間とかそのツアーに同行することでかなり、リーズナブルなコストで効率よく色んなものが見れるのではないでしょうか。初めての国であれば、とりあえず、一週間とかツアーに参加して、それから現地で気の向くまま滞在されるとかをなされば、リーズナブルなコストで効率よく色んなものが見れるのではないでしょうか。

 例えば、以下の団体が年に一〜二回、観光ではないかなり専門的な視察ツアーを企画しています。

 日本キューバ科学技術交流委員会(03-5541-5391 担当:佐生=さそう)
 104-0032 東京都中央区八丁堀2-1-9 第一カワナビル
 Tel: 03-5541-5391 Fax: 03-5541-5397

■日本キューバ科学技術交流委員会とは
 日本とキューバの科学技術の交流をめざし1986年に設立。現在会員数は著名大学の農学・医学関係の教授・講師を中心に50名弱の会員です。農業関係では日本大学の都留信也教授、東京大学の山崎耕宇教授も会員になられております。これまでに農業研究者や医師を現地に派遣し、キューバに対して的確なアドバイスを行ってきました。現在はキューバ日本科学技術交流委員会とフィンレイ研究所とともにハバナに科学者・研究者向けの日本語教育センターを開設。現在3名のボランティア日本語教師を派遣し、運営協力を行っています。言葉の壁にはばまれてきた両国の科学技術分野での交流は、これによって大きく発展することが期待されています。

キューバに留学したいのですが

 ただ、留学する場合ですが、具体的にどのような方法があるのでしょうか。旅行では行った事がある人は多くても、さすがに留学となると、あまり聞いたことがありません。ハバナ大学の短期の授業に参加していた方によると、事前にいろいろ申し込むよりも、現地に直接行って交渉した方がいいという意見があったのですが、本当なのででしょうか?また、それは旅行者向けプログラムなのか、留学生用のものなのか、かなり不安があります。留学となると、滞在は別と書かれていましたが、ホームステイなどが、可能なのでしょうか?

お答え
 基本的に日本で調整しないと現地に行って交渉できないことがあります。ホームスティももぐりで安いところもあるようですが、今年になってから体制側がかなり厳しくなっている(アメリカからテロ支援国家としての攻撃が高まっているため)ので、当局の手入れがあるなどリスクもあります。在日本キューバ大使館の方と相談されるのが一番いいと思います。

日本語では以下のような情報サイトもあります。
http://cuba2000.freeservers.com/spanish.htm

が、ここでの情報については私は責任は負えません。