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九月。日差しはまだまだ夏を忘れてはいないけれど、風は確実に秋のものになってきているそんな日。
私は平日は毎朝6時には起きる。高校時代から私は朝の早いほうだったのだけれど、今ほどではなかった。
まあ、それも平日に大学の授業を集中的に取ったわけだからだけど。
けれど、結局土日も朝は早いわけで。
なぜって?
お姉さまがいつまでもスヤスヤと寝ているからだ。
お姉さまは夜寝るのが遅い。
まるで寝ることを恐れているかのようだ。
いや、実際お姉さまは寝ることが怖いのだろう。
ときどきあの人のことを夢見てしまうから。
夢のなかでお姉さまはあの人と幸せなひと時を過ごしているのだろう。
けれど、夢は何処までも夢でしかなくて・・・・・・。
目覚めたら、そこにあるのはいつもと変わらない現実。
お姉さまにとって最愛の人がいないいつもの日常。
・・・・・・
お姉さまは時々、いつまでも夢の中にいれたらいいのに、とおっしゃる。
現実から逃げてしまいたいのだろう。
そんな時きまって私は怒りを感じてしまう。
二年がたとうとしているのに
知らせの一つもよこさないでいるあの人に。
いつまでもお姉さまの心にしっかりと居座っているあの人に。
そして、いつまでもあの人をまっているお姉さまに。

そろそろ朝食の準備をしなくてはいけない。
お姉さまは朝が遅いので当然のように私が朝食を作らなければいけない。
朝食はトーストにスクランブルエッグ、ベーコンだ。
お姉さまを起こして一緒に食べようかとも思ったけれど、お姉さまの幸せそうな寝顔を見るとそのまましばらく寝かしていてあげようと思う。
きっといい夢を見ているんだろう。今しばらくその世界に浸らしていてあげたい。
それに、どうせお姉さまは朝食を食べることは無いから・・・。
私がどんなに言おうと食べようとはなさらない。
ただ、あの人が好きだったブラックのコーヒーを飲むだけだ・・・。

小さな窓からはまだ夏の力強い日差しがさしこんできていて、台所全体を白く染め上げている。
流しの蛇口から、ぽた、ぽた、と規則的に水滴が落ちる。
私と、お姉さまの朝。この家の朝。

朝食をたべおえると食器を流しへともっていき、大学へと行く準備をする。
そろそろお姉さまをおこさなければいけない。

寝室へ行くとお姉さまはまだ寝ていらっしゃた。
「お姉さま。そろそろおきてください。
「ううん・・・・・・。もうすこしだけ・・・・・・。」
「だめです。おきてください。」
そう言って体を激しくゆすると
「わかった。わかったから。」
「まったく、そんなんじゃいつまでも一人じゃ暮らせませんよ。」
「あら、だからこそあなたがいてくれるんでしょ?」
まったく、そんなことを笑顔で言われたら何もいえないじゃないですか。
「わたしはそろそろいきますから。」
「うん。いってらっしゃい。」
お姉さまは布団から両腕を出して私の頭全体を抱きしめて、それからおでこに口付けをしてそういった。

空はもう秋の空で・・・
もうすぐ冬がやってくる。
そろそろ何かを終わりにしなければいけない。
そう思いながら私は秋空の下、大学へと歩いていった。

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〜一息〜
今回もメチャ短いです。すみません。
しばらくの間は短いのを2,3日に一本ぐらいupしていこうかなと思っています。

今回は可南子をかいてみました。こんなの可南子じゃない、はい、まったくそのとおりだと思います。
基本どのキャラもキャラぶち壊しで書くことになるとおもいますがお付き合いしていただければありがたいです。
次は聖様を書こうかなと思っています。