「六日前に景に何があったのか・・・教えてちょうだい」
「何・・・って?」
ポカン、とした顔。この子がこういう顔を素直に見せるのは珍しいわね
いつも肩肘を張って、周りに気取られないようにして。そうしている必要が・・・この子にはあったから
「あの子がはるかに何かするとは思わないし、貴女が景に何かするとも思わない。けど・・・」
「・・・・・・あいつに何かあったのか」
この子の氣が
・・・激しく、揺らいだ。
ふたりの、ものがたり 最終話
私は浦島 舞那
現浦島流当主浦島ひなたの正統後継者にして『浦島』随一の氣の使い手・・・・・・らしい。
周りは私をそう評価するのだけどそれは私の本質ではない
本質としてあるべきなのは景梧の妻として、この子の姉として、そして景と可奈子の親としてだと思う
姉としてこの子の迷いを知ることができたのが特に重要ではないと思っていた私の『力』
・・・これはまた気の利いた皮肉ね。不快ではないけど・・・
「・・・心当たりがあるようね」
「え、あ・・・・・・うん・・・」
「・・・ふふ」
「・・・なんで笑うんだよ」
「泣きそうな・・・哀しそうな・・・」
「!?」
「・・・そんな顔よ。いつものあなたとはかけ離れた表情ね」
「・・・・・・」
「それに氣もね・・・グニャグニャに歪んで子供みたい」
「・・・やめろよ」
「・・・そうね。ごめんなさい」
「・・・・・・」
「あなたがそんな顔をするのは本当に・・・何回かしか見たことがないから」
「・・・そう?」
「・・・ええ。特に私は・・・ね」
「・・・・・・」
「あなたがウチに来たのは・・・私が19歳の時だったかしら」
「・・・そうだったかな」
「・・・そう。あなたの一番近くにいることができていれば・・・」
「・・・昔の事だろ」
「そうね・・・それでも、謝らせて頂戴。自己満足にしか過ぎないけれど・・・」
「・・・・・・」
はるかは重い表情で頷いてくれた。そんな事を言われるとは思っていなかったのでしょうね
はるかがウチに引き取られてきたのは冬の寒い日・・・それはよく覚えている
両親の死因は交通事故。それで生前よく交友があったウチの母さんが引き取ってきた、と言う訳
この子にも親戚はいた。だけど、はるかを引き取りたいと言う家はついに現れなかった・・・そうだ
詳しくは知らないし・・・そんな話聞くのもごめんだけれど。
・・・・・・胸糞悪い
私はその時には『浦島』で働いていた。忙しくて忙しくて家に帰ることもできない日々
・・・そのせいで絶対に淋しいだろう幼かったはるかに、話一つしてやることもできなかった
一気に周りから温かさを失ったはるかがどんなに淋しいか位・・・よく考えればわかったはずなのに
もちろん母さんも父さんもはるかを大事にしていた
それでも・・・それでも。
一番年の近かった私が接するのとは違う。私は確かにこの子にとって支えになり得たのに――――――
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・後悔・・・自分に対する嫌悪・・・・・・
そんな、誰かを傷つけてしまった人特有の――――本当に優しい人特有の――――そんな『氣』がはるかから漏れ出ている
・・・・・・表情を見ればその位はわかるのだけどね
「・・・ねえ、覚えていて?」
「・・・何を?」
「景が生まれた日よ」
「もちろん」
「私は嬉しかったわ。景梧もそうだろうし・・・母さんも。だけど一番嬉しがっていたのは・・・はるかではないかしら」
「・・・そうだったか?」
顔を赤くして恥ずかしがるはるか。顔を俯けて髪で顔を隠していても耳たぶが真っ赤だから丸わかり
・・・・・あの日のはるかは忘れられない
・・・生まれて数時間の保護容器の中にいる景をいつまでもいつまでも見つめる、はるか
その目は・・・そうね。宝物を見る目、とでも言えば近いのではないかしら
こっちが喜ぶよりも数倍喜んでくれているように見えた・・・懐かしいわね
「貴女は景をずっと気にかけてくれていたわね・・・ずっと・・・近くで」
「あ・・・まあ・・・・・・うん」
コポコポコポ・・・・・・カチャ、カチャン
「ありがと」
お茶を注いで店の和菓子と一緒にはるかと私の前に出す
私と景梧の部屋。もう春なのだから暖かくなってもいい頃なのだけど・・・まだまだ寒い
寝る前に消したストーブをつけてしばらく経つが暖かいとは言いがたい室内でお茶を啜りながら話す、私達
景梧の豪快ないびきと歯軋りが時折聞こえてくる。うるさい。明日はお仕置きデーに決定。
・・・それはともかく
「貴女は意識していなかったかも知れないけど・・・優しい・・・優しい目だったわ」
「・・・・・・何が?」
「・・・景を見る目、よ」
「・・・・・・」
俯いてお茶を啜るはるか・・・特に恥ずかしい話でもないはずなのに顔が赤いのはなんでかしらね?
・・・ふふふふ
「・・・景は気づいていたかどうかわからないけれど・・・ずっと・・・ずっと・・・守ってあげようと、してくれていたんでしょう?」
「・・・・・・」
「あの子が優しくなれたのも・・・あなたのおかげね」
「義姉さんが育てたんだろ」
「私は背中を押しただけよ・・・育てたのはあなた」
「・・・大したことはしてない」
「厳しく、強く。温かく、優しく。そうやって接する事を『育てる』というの。それならあなたは立派に育ててくれたじゃない」
「・・・・・・」
「・・・それでも、私たちは人間よ。誰かを傷つけることも・・・あるの」
「!!」
ビクン、とはるかの体が跳ねる。と同時に『氣』が哀しみに染まる
優しい・・・優しい、子
「・・・聞かせてくれないかしら。無理にとは言わないけれど・・・」
私が昔できなかったことを・・・してあげたい
神経を張り詰めさせて、他人に負けないようにして、弱みを傷の中に隠して
周りを知らない大人ばかりに囲まれた環境で育っていく中でこの子は強くなって、沢山の傷を受けてきた
私は少しでもこの子に接して、それで気を紛らわしてあげる事しかできなかった
それは救う事とも導く事とも違う応急処置的なものでしかない
だからこそこの子は景の前でだけ、この子自身として振舞うことが出来るのかも知れない・・・それこそ子供のように
甥と叔母として。姉と弟として。友達として。幼い時から共に過ごした二人の間でだけ、許された特権
「私はあの子ほど優しくはないけれど・・・ね」
「・・・・・・」
迷っている色。じくじくと傷口から漏れる血の様にはるかから漏れ出している『氣』の・・・色
時計が時を刻む。ゆっくりという訳でも速いという訳でもなく・・・ただ一定のリズムで
時が流れることで人の心は落ち着いていくもの・・・それははるかも当然そう
いつもの・・・少なくともここ数年見慣れた『はるか』の色に変わるのにそう時間はかからなかった
決して他の誰でもない、はるか自身の澄んだ・・・美しい色に
「・・・六日前に」
「・・・ええ」
「私はアイツを・・・傷つけた」
「・・・・・・そう」
「・・・ごめん」
「私に謝ってもしょうがないわ・・・それよりも何故そう思うかの方が気になるの」
「え?」
「なぜあの子を傷つけたと思うの?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・泣かせた」
「え?」
「アイツを・・・泣かせたんだ」
「・・・・・・」
次は私が沈黙する番だった
・・・・・・景がこの子の前で泣いた?
・・・まさか。でも・・・だとするならやはり私のさっきの考えは当たっている
・・・そこに至る過程は知らないけれど
「・・・・・・」
「・・・本当?」
「・・・・・・・・・うん・・・」
湯飲みを握り締めて俯く、はるか。
・・・・・・本当・・・らしいわね。まだ信じられないのが半分だけど
「・・・・・・そう」
「ごめん・・・義姉さん」
「泣かないの」
「・・・泣いてないよ」
「泣いてるわよ」
「――――泣いてないってば!」
バッ、と顔を上げてこっちを睨むはるか――――確かに、涙は流していない
「・・・!・・・・・・ごめん」
「・・・泣いているじゃない」
「・・・・・・違う」
「・・・涙っていうのは・・・ただの排泄物。哀しい時はもちろん・・・・・・痛くても、嬉しくても、面白くても出るの」
「・・・・・・」
「だからそんなもの関係ないの。今あなたは泣いているのよ・・・・・・心から」
「・・・・・・そう・・・かな・・・・・・そうかも・・・知れない」
「・・・覚えていて?」
「・・・今度は何?」
「あなたが中学二年生の・・・冷たい雨の日」
「・・・・・・うん」
「・・・驚いたわ。いきなり轟々と降る雨の中に飛び込んで行ってしまったのだもの。不機嫌そうに貴女の名を呼んでいた景は忘れられないわ」
「・・・え」
「あなたが居なくてむくれてしまっていてね・・・。私より・・・母さんより・・・貴女がいなくてはいけなかったのね」
「・・・ただ不思議だっただけだろ。あんな雨の時になんでいないのか」
「本当にそうだと思う?花を手向けた時にさえ寒い寒いってそればかり言っていた景がそれだけであんな雨の中に飛び込むって?」
「・・・・・・」
「・・・あの子にはわかったのではないかしら」
「・・・・・・」
「あなたが何を必要としているか・・・そこに居て欲しかったのではないかって」
「・・・まさか。小学校に上がったばかりの景太郎が」
「・・・私は・・・いえ、母さんも間違っていたのよ。あなたは本当に独りだけでいたい訳はなかったのに」
「・・・・・・」
コポコポコポコポ・・・
お互いの湯飲みに新しく温かいお茶を注ぎながら、話を続ける
ずっと・・・ちゃんと話せなかったこの可愛い妹と
「・・・年はとりたくないわね。表面に惑わされて・・・本質を見失う」
「・・・・・・」
「景の方がよっぽどすごい。・・・それが例え自分の為だとしても・・・正解を見つけ出してしまったのだから。あんなに簡単に」
「・・・・・・」
「寒い訳でも、淋しかった訳でも、哀しかった訳でもなく貴女と手を繋いだ景は泣いていた・・・何故だかわかる?」
「・・・ううん」
「・・・貴女が泣いていたからよ」
「・・・・・・!」
「痛くて、苦しくて。貴女から伝わったそれらが・・・あの時の景には受け止め切れなかったのね」
「・・・・・・」
「景は言っていたわ・・・景に知られたら怒られてしまうのでしょうけれど。・・・まあ自分では覚えていないかも知れないわね」
「何?・・・・・・私の事?」
「ええ・・・あの雨の日、家に帰ってから景に言われたの」
「・・・何て、言ってたんだ?」
「『おねえちゃんが泣いてたのに、なんでお母さんとおばあちゃんはいっしょにいてあげないの?』って」
「・・・!!」
「『おねえちゃんは温かいよ。ぼくは温かいの好きだよ。だからおねえちゃんも温かいのたぶん好きなのに雨の中でさむいって泣いてたんだよ』・・・って」
「・・・・・・まさか」
「本当よ・・・驚いた。嬉しかった。私の生んだ子がそんな事を考えてくれるなんて・・・・・・母さんも・・・泣いてた」
「・・・婆さんが?」
「『簡単な事じゃったのになあ』って。私は母さんが泣くのを見たのはそれが最初で最後」
「・・・・・・」
「人前では泣かない。それが当主には必要だから・・・そう言ってた母さんが・・・ね。よっぽど、申し訳なかったのね」
「・・・・・・申し訳ない?」
「あなたに、よ」
「・・・・・・」
「絶対に忘れられない。あの時の景の言葉と表情・・・あんなに怒った景はあの時以来見たことないわ」
「・・・怒ってた?」
「涙をぼろぼろ零しながら私にぶつかってきてね・・・それでさっきの事を言ったの。貴女がいなかったから思い切り泣きながら、ね」
「・・・私がいても泣く時は泣いてたよ」
「本当に?あの時以来、そんな事があって?」
「・・・・・・・・・」
「無いと思うわよ」
「・・・・・・ああ。そうかも・・・知れない。でもなんで義姉さんが知ってる?」
「言っていたもの、さっき私達にあの言葉を言った後に」
「なんて」
「『ぼくは泣かない、おねえちゃんが泣くの、いやだもん』って」
「・・・・・・!小学一年の子供がか!?」
「年齢は関係ないわ。実際やって見せたのではなくて?・・・・・・ついこの間までは」
「・・・・・・ああ」
「・・・・・・いい男だと思わない?小学生でそんな事を言うなんて、ね」
「・・・・・・あ、ああ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・好きな娘はいるのかしら」
「ブハッ!!・・・ごほっ、さ、さぁ・・・な」
「へぇ〜・・・・・・・・・ぷっ、うふふふふふふ・・・・・・♪」
「な、何だよ!」
「眉間のしわ。そんなに眉根を寄せる話だったかしら・・・?」
「な、うぁ・・・・・・別に!」
眉間をごしごし擦ってまだ熱いはずのお代わりのお茶を飲み干すはるか
・・・・・・ああ可愛い
この子も満更ではないようね。結構結構。
でも・・・まさかとは思っていたけどねぇ・・・景もいい趣味してるわ。皮肉じゃなしに
可奈子との修羅場はかぶりつきでみせて貰わないとね・・・ぷぷ
やっぱり私はいい性格してるわね・・・自分で言うのはなんだけれどね
・・・まぁ、あの子もそれ位気づいているかも知れない。それに対する答えはもう決まっているようなものだし・・・不憫、ね
「・・・ところで・・・姉さん」
「・・・え?何?」
俯いて和菓子を爪楊枝で突付きながらはるかが訊ねて来る
「さっきの・・・景太郎の事なんだけど」
「ええ・・・どうかした?」
「最近景太郎に何かあったって・・・そんな感じの事言ってたじゃないか」
「・・・ああ・・・言ったわね」
言っていいのかしら・・・第三者が触れる事ではないと思うのだけれど。まあいくら事実を言っても、心が全部見えた訳じゃないし・・・少しならいい・・・かしら?
第一、ここ最近は景の『氣』は全然読めなかった。無意識なのか意識的なのか、無色透明なものしか纏っていなかったのよね
・・・悟りでも開いていたのかしら
「教えてくれないか・・・義姉さん」
「私はあの子から何も聞いていないから、あの子の様子だけならいいけれど」
「・・・頼む」
・・・景はこの子に惚れているとすれば話は見えるのだけれど・・・この子がここまでする理由は見えないのよね
泣かせたとしても、普通なら一言謝れば済むのだし
この子まで景に――――――なんて事は・・・まあ・・・ないのでしょうし
・・・それならそれで話は面白くて大歓迎なのだけれど・・・・・・遊ぶネタが増えるし。
・・・我ながら非道だわね
「景の顔は・・・さっき見たわね?」
「・・・痩せてたな」
「・・・そう。食欲が出ないって、言っていてね」
「・・・そうか」
「あと、夜もほとんど寝ていなかったみたいね・・・。店番ではいつも以上にぼーっとしてくれるし」
「・・・・・・」
「・・・まぁ、私がちゃんと知っているのはこんな感じかしら」
「・・・ああ。ありがとう」
親としてできることは一刻も早い和解だけかしら・・・?
他に・・・何か、ないかしら・・・・・・
!
「もう三時・・・か・・・今日は、泊まるのでしょう?荷物もちゃんとあるみたいだし」
「・・・うん。頼めるかな」
何でこんなにしおらしいのかしら・・・?まあいいけど。私の仮定通りなのかもしれないし
「それじゃ、部屋はこの隣・・・っと・・・お風呂は朝でもいいかしら?さっき抜いてしまったの」
「うん。来る前に入った」
「そう。それで、一つ頼みがあるのだけど?」
「何?」
「さっき景が落とした眼鏡をね、届けて欲しいの」
「!え、あ・・・・・・もちろん」
「・・・・・・どうかした?」
「い、いや、何でもないよ・・・行って来る」
「荷物は置いておくわね」
「あ・・・ああ」
ッガラ・・・・・・スパン!
・・・ふふふ
「ああ・・・疲れた。・・・お仕置きデーはまた今度かしらね」
景の眼鏡にありったけ込めた『力』・・・景の部屋に入れば解放されて景に吸収されるはず。言ってみれば即効性の栄養剤といった所
・・・妹を・・・息子を手助けするのが、あまり必要ではないと感じていた『力』・・・か
「皮肉なものね・・・・・・本当に」
・・・・・・不快では、ないのだけれどね。
・・・全く
相変わらず意地悪なんだからな・・・姉さんは
あんなにからかわなくてもいいじゃないか。こっちは真面目なのに
・・・・・・
・・・・・・
さっき聞いたアイツの――――景太郎の・・・言葉
――――『おねえちゃんが泣いてたのに、なんでお母さんとおばあちゃんはいっしょにいてあげないの?』
――――『おねえちゃんは温かいよ。ぼくは温かいの好きだよ。だからおねえちゃんも温かいのたぶん好きなのに雨の中でさむいって泣いてたんだよ』
――――『ぼくは泣かない、おねえちゃんが泣くの、いやだもん』
あの時
この話を聞いた時・・・姉さんの前なのに涙が出そうになった
嬉しかった。大好きなアイツを傷つけて、泣かせた私が――――そんな私が
アイツに・・・そんな事を言ってもらっていたなんて
・・・景太郎
景太郎・・・お前はなんで
なんでそんなに優しくなれる・・・なんでそんなに――――――
「私を・・・気にかけてくれる・・・?」
幼い頃から・・・アイツが生まれた時から一緒だった
アイツが中学入学の時に京都に戻ってからもアイツは私に会いに来てくれていた
春休み。夏休み。冬休み。アイツは必ず遊びに来てくれた
・・・私が
アイツに惹かれたのは――――――いつだろう
・・・・・・
・・・・・・うーん
・・・生まれた時から?・・・まさか
・・・保育園?・・・いやいや・・・それはないだろう
・・・わからん。決定打はない。
とりあえずアイツが高校入った頃にはもう・・・・・・だったような気がする
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・そういえば
雨の降る霊園――――あの時はさすがに参った
しゃがみ込んで泣く私の所に駆けつけてくれたのが・・・冷たい雨の中を走って来たずぶ濡れのアイツだったんだからな
泣きそうな顔で
髪は額に張り付いて
いつも無邪気な黒瞳は崩れそうに歪んで――――――
私は
私はただ哀しいと・・・思っていただけだ。少なくともあの時はそうだと思ってた
だが・・・アイツが言ったのは違うことだった
「・・・・・・誰かに居て欲しかった・・・か」
そう・・・そうだったんだろう。何と言い訳しようが、私は小学一年のガキに頭を抱えられて泣いてしまっていたんだから
私にもわからなかった事にアッサリ気づいて・・・それは多分正しいと言える事で
すごいな・・・お前は
「私を、泣かせたくない・・・」
・・・そんなお前を泣かせた私は・・・どうしようもないな
そんなに傷ついて見えたんだろうか・・・アイツの胸にもたれて泣く私は
・・・あ〜・・・恥ずかしすぎる
・・・どうか忘れていてくれますように
今歩いているのはレジの後ろ。もう少しで景太郎の部屋に・・・
コトリ
ん?・・・何だ・・・?
――――――!!
その、和菓子屋としては比較的広いと言える商品置き場・・・その真ん中に立っていたのは
「・・・・・・景太郎?」
・・・・・・景太郎だった。もう・・・起きてきたのか?
・・・だが何だこの・・・違和感は
「そうだよ、姉さん・・・・・・ところで今日はどうして来たの?」
「ど、どうしてって・・・」
そのままツカツカと歩み寄って来る景太郎。その足取りには微塵の躊躇もなくて――――
「俺に、会いに来たの?」
「・・・・・・!!」
なんで・・・・・・
「そうだよね、俺はずっとずっと苦しくて・・・それでも我慢したんだもの」
「けい、たろう・・・?」
ケイタロウのクチからツムがれるコトバ
その意味が脳に伝わる直前
近づいて来た景太郎の・・・その眼が常夜灯に照らされて私の目に入った瞬間
・・・・・・私は全力で横に跳んでいた
――――ガガガガンッッ!!
私の顔と喉の位置に違わず飛んで来た四本の棒手裏剣が後ろの柱に刺さる
「・・・可奈子か」
「もう我慢できません。あなたは・・・死になさい」
景太郎そっくりの顔と声
だけどそれは温かくも穏やかでも泣きたくなるほど愛しくもなんともない
コイツに狙われる理由なんて一つしかないし、聞くまでもない
だが負けてやる気も、譲る気もない。ましてや死ぬつもりなんか微塵も
だが気にいらない
その――――
「そのツラを・・・・・・やめろ!!」
バリッ・・・ゴキッ、ゴキン!ゴリゴリ、バキッ・・・ベキン
可奈子が存外素直に仮面を剥がす。と同時に間接を外し、また入れなおして骨格を元に戻す
「何だったんだ?今の出来損ないのオモチャは」
「・・・あなたが」
「無視か」
「傷つこうが、再起不能になろうが、死のうが。私は何の関心もありません」
「そうだろうな」
「さっきまではまだ・・・あなたには敬意の様なものも或いは・・・あったのかも知れません」
「敬意、だと?」
「はい。理由は言いたくありませんが」
「・・・はん」
「ですが今のあなたは許せません。兄さんが――――」
「・・・景太郎が?」
「・・・・・・話は・・・お終いです。聞きたいなら私を倒しなさい。出来なければ死ぬだけです」
「・・・気になる所で止めやがって」
しっ、と言う息吹の後に飛来する棒手裏剣を走ってかわしながら店の外に出る。狭い所であいつと闘うのは不利
内ポケットから、尻ポケットから、腕に巻かれたバンドから次々と指の間に手裏剣が現れて私に向かって放たれるのを跳んで避け続ける
尽きて数が少なくなり始めた時に飛んで来た一本に狙いをつけて手を突き出す。相対速度を合わせるように引き込んだ手の中に絡めとりその勢いのまま可奈子の足を狙って投げる
カキィン、と乾いた音がしてそれが地面に落ちる。弾いたのは何時の間にか可奈子の手に握られた細身のナイフ。飛び込んでくる。
「歩く武器屋め・・・」
一人ごちてから私も地面を蹴る・・・その距離で私に勝てると思ってるのか?
喉、目、心臓、肝臓。あらゆる急所を迷い無く突いてくる可奈子の攻撃を触れさせた手の感覚で読む
喉を狙って右手で突きこんだナイフに合わせて可奈子の右斜め下に上体ごと右足を踏み込む
下がろうとした可奈子を追い右足を軸にして体を左回転させ、腰を沈めながら思い切り左足を可奈子の両足の間の地面に叩きつけ重力を自分の力にする
そのまま左肘を外側から横隔膜に叩きつける――――――李氏八極拳 外門頂肘
ズダァン!!!
攻撃音では無く、震脚の音と共に可奈子が舞う。咄嗟に左腕を肘と体の間に挟んで自分から後ろに跳んだか――――上手くなったもんだ
店の前に敷いたタイルが割れてしまったが・・・まあ気にしない様にして
「痛つっ・・・ぅあ・・・・・・!!」
呻いている可奈子に近寄る。手加減したとはいえ気絶はすると思ったが・・・タフさにも磨きがかかったか?
「さて」
襟を掴んで体を起こしてやりながら問う。これ以上は無意味だ
「さっきの続きを聞かせてもらおうか」
「・・・はっ」
「・・・何だ」
「これで勝ったと・・・お思い・・・ですか」
「な――――」
可奈子の頬が不自然に膨らんで・・・そうか、含み――――――!!
プッ!!
「つぁ・・・!!」
耳に強制的にピアス穴をあけられた。裁縫針位の針が耳に突き刺さっている・・・顔を回して避けられたのは・・・まぐれに近い
それを引き抜きながら、問う
「・・・含み針か」
「・・・ええ・・・もう動けません」
「もう無いのか?隠し芸は」
「・・・残念ながら」
「・・・そうか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・なんて顔をしているのです」
「・・・あ?」
「勝ったのだから嬉しそうにすればいいでしょうに」
「・・・お前は」
「・・・?」
「お前は・・・私だ」
「・・・何を藪から棒に」
「アイツに雁字搦めにされて・・・もう逃げられないお仲間という訳だ」
「・・・はっ。そんな面白い冗談は久々に聞きます」
「茶化すな」
「・・・・・・」
「お前は私になり得た。逆にもな」
「慰めは結構です」
「違う。私は――――」
「・・・・・・?」
「お前が羨ましかった」
「・・・・・・は・・・何を言うかと思えば」
「聞け。お前がどう思うかは知ったこっちゃ無いが嘘じゃない」
「・・・・・・」
「お前はいつもアイツの傍にいて・・・それだけで私はお前に嫉妬していたんだ」
「・・・・・・」
「詳しくは言わんが、な。お前が私を殺そうとすることも、憎むこともよくわかるという事だ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「聞かせてあげます。兄さんが私に打ち明けた事を」
「随分なサービスだな」
「・・・聞きたいのなら黙りなさい。私があなたを殺そうとしたのはそのせいなんですから」
「・・・ああ」
「あなたが母さんとどんな会話をしてきたのかはわかりませんし、知りたくもありません。・・・・・・ですが」
「・・・・・・」
「あなたの顔が・・・許せなかった」
「・・・何?」
「笑って・・・にやけていたあなたの顔。兄さんがこの六日間どんなに苦しんだか・・・・・・それを知っていて・・・この衝動を抑えつける事ができなかった」
「・・・にやけて?」
「母さんがあなたにとってどんな愉快な話をしたのかは知りませんが、出てきたあなたはにやけていました」
「・・・・・・」
「兄さんの様子を聞きましたか」
「・・・飯を・・・食わなかったそうだな。後は・・・よく寝れなかったとか」
「・・・それだけですか」
「・・・私が聞いたのはな」
「大概にしなさい」
「・・・何?」
「大概にしなさい、と言ったんです・・・・・・その程度だったらどれだけよかったか!!」
「・・・!」
「何も味がしないと!何も飲みたくないと!!目の前で苦しんでいるお兄ちゃんがどれだけ辛そうだったか!!!」
「――――――!!」
・・・そんな
アイツが・・・そんなに傷ついていた・・・・・・なんて
「・・・いいご身分ですね」
「・・・・・・」
「兄さんを一人でほっぽった挙句、そうして神妙な顔をしていればいいのですから」
「・・・・・・!!」
「・・・私が変えてあげられればどれだけ・・・よかったか」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
景太郎
景太郎
景太郎景太郎
けいたろうけいたろうけいたろう
景太郎――――――――――――――――――!!!!
「泣かないで下さい。子供ですかあなたは」
「・・・・・・っ・・・・・・お前に・・・言われたくないな」
「・・・・・・何を」
「闘っている最中ずっと泣いていた奴に言われたくない」
「・・・ふん。フられたのは私です。好きにさせて下さい」
「・・・一番手強い奴が自分から消えてくれるか」
「・・・気休めはやめて下さい」
「本気で殺すつもりもないガキが。アイツの鈍さを忘れたのか?」
「・・・・・・殺すつもりでした・・・何をたわけた事を」
「本気ならあんなに弱くはない」
「・・・・・・!!余計なお世話です!」
「・・・簡単に諦めて後悔するのはお前だぞ」
そのまま背を向けて景太郎の部屋に向かう。可奈子はあのままでも平気だ
気を使うのも使われるのもごめんだ・・・アイツもそうだろうからな
もう一人の私だ・・・わからない訳が・・・ない――――――――――――
「だから・・・あなたは・・・・・・・・・・・・嫌いなんです」
止め処もない涙が流れるままに一人で呟いてみます・・・あの・・・憎い人に
時折見せるあの人と同じ表情
眼も
雰囲気も
普段はピタリとも合致しないそれが時折・・・凶悪に似ている。まるで一卵性の双子のように
憎みきれないあの人
・・・・・・卑怯者。
あなたが下手に慰めようとしなければ私はこのままでもよかったものを・・・ただこの世の全てを諦めれば良かっただけなのですから
「・・・・・・敵を増やしましたね・・・おばさん」
とりあえず母と決闘することを覚悟で必要なものができました・・・この怪我では今日明日は無理でしょうが
「・・・・・・・・・・・・転入届け、か」
お兄ちゃん・・・・・・貴方が気づいてくれないなら気づかせてあげます
・・・・・・お覚悟を・・・・・・愛しいお兄様
・・・ところで春から行く予定でまだ一回も行っていない学校に提出する必要はあるのでしょうか
ガラッ・・・・・・・・・パタン
よく、眠ってる・・・景太郎
年季の入ったベッドの縁に眼鏡を引っ掛けて、その横にペタンと座る
「景太郎――――――」
そんなに・・・苦しんでたなんて
ごめん・・・ごめんごめんごめん・・・景太郎
景太郎
景太郎
景太郎
ごめん、許して・・・景太郎
許して――――嫌わないで
布団の上に出ていた景太郎の手を握って祈り続ける
さっきはあんなに安らいで景太郎の手を握っていたはずの私の手は・・・今は震えが止まらない
「ごめ・・・そん、そんなに、苦しむ・・・なんて・・・・・・」
・・・止まらない・・・止まらない涙
景太郎の手を濡らして・・・布団に染み込む
お前はあんなに私の事を気遣って
ガキの頃から心配してくれてたのに
私はそんなお前を――――――――――――!!
・・・温かい
さっきよりも血色がよくなった景太郎の手を握り締めながら・・・冷たい涙を流し続ける
「ひっ・・・う・・・・・・けい・・・・・・」
私はこんな奴じゃなかったはずだ
余裕があって
オトナで
そんな奴だったはずなのに
少なくともあの娘達の前じゃそうだったはずだ・・・それがなんだ、これは
七つも下の甥の手を握るだけで涙が溢れるなんて
こんなの私じゃない
こんなに恥ずかしいマネはしない
――――――それでも手は離せない。どうでもいい。コイツの手が温かいのが全部悪いんだ
「ん・・・」
「!?」
――――起きた。景太郎が・・・このままだとこのみっともない顔を見られる
・・・いいや
少し位・・・いいよな・・・・・・景太郎・・・・・・?
「・・・けいたろ・・・・・・」
「・・・・・・ねえさん?」
「・・・・・・・・・ごめんな・・・ごめん・・・ごめん・・・!」
「・・・・・・なんで・・・泣いてるの?」
「・・・・・・え・・・」
「・・・泣かないで・・・ねえさん」
ス・・・と今まで抱いていた手が離れて
涙を・・・拭ってくれた
「――――――――――――!!」
この・・・バカァ・・・!
「ひ・・・ぅ・・・うわああああああぁぁぁ・・・!!」
景太郎の胸に縋りつく
もう
もう
どうでもいい
「ごめ・・・けいたろ、わたしが・・・ひっ、う・・・あぁぁ・・・!!!」
「・・・どうしたの・・・?」
景太郎の手が私の頭を抱く
あの――――――冷たい雨の中の・・・ように――――
なんで
なんでコイツだったんだろう
なんで底抜けに優しくて
なんでこんなに鈍いヤツを好きになったんだろう
なんでこんなに好きなんだろう・・・我慢できないんだろう
なんでこんなに優しいヤツを傷つけてしまったんだろう
わかってたのに
コイツはそんな奴だって
誰かが苦しんでいれば例えそれが自分を傷つけたヤツでも・・・その傷つけられて、まだ血が流れる手を伸ばしてやるような奴だって――――――
「お前を・・・お前が・・・ひっ・・・ふぅぅ、ごほっ・・・ごほ」
何を言ってるのか全然わからんな・・・・・・この、ガキめ
「俺のせい・・・だよね。ごめん・・・姉さん」
「違う!!・・・バカ・・・・・・この・・・バカぁ」
「・・・ごめん」
バカ・・・バカバカバカ
大バカ野郎
「私がお前を・・・傷つけたんだろうが」
「え・・・?」
「だから・・・・・・お前は、苦しんで・・・」
「・・・違うよ」
「・・・・・・」
「俺が苦しんだのは・・・自分のせい」
「・・・なんで」
「姉さんを・・・・・・」
頭を抱く力が、少し強くなって
――――――――――――そして
「・・・・・・好きに、なったから」
・・・・・・?
は?
「・・・何?」
「姉さんが・・・ずっと好きだったんだ。小さい時から・・・ずっとずっと」
とりあえずまともに話ができなくなりそうな発言は頭の端っこにのけておく
「・・・・・・」
「夢を・・・見たよ」
「・・・・・・夢・・・?」
私の髪を撫でながら・・・ゆっくりゆっくり・・・・・・景太郎が話す
「うん・・・・・・保育園の時の・・・赤くて・・・・・・すごく綺麗な・・・・・・・・・夕焼けとか・・・」
「・・・・・・?」
「小学校の時の・・・・・・雨の霊園とか・・・・・・姉さんの・・・事」
「!!」
覚えていたか・・・ああ・・・・・・恥ずかしい
「?どうかした・・・?」
「いや!なんでも・・・ない」
「・・・?それで・・・俺はそれをずっと見てるんだ・・・皆の隣で」
「・・・・・・」
「覚えてたこと・・・忘れてたこと・・・思い出したこと・・・・・・たくさんあった」
「・・・そっか」
「俺は・・・フられちゃったけど」
「?」
誰に?
「思い出したんだ・・・自分の、一番大事な・・・・・・・・・忘れちゃいけない気持ち」
「・・・景太郎」
「姉さんに助けてもらった事・・・抱き締めてもらった事・・・楽しかった事・・・悔しかった事・・・受験で絶対負けないって思った事・・・その理由も・・・全部全部」
「・・・・・・ああ・・・そうか」
「・・・うん・・・だから、聞いて欲しいんだ・・・姉さん」
「・・・ああ・・・聞かせてくれ」
景太郎は私の顔を胸から離して私の肩を掴んで
あの・・・優しい優しい笑みを浮かべて・・・・・・そして
こう・・・言った
「ずっとずっと・・・ねえさ・・・・・・・・・はるかさんが・・・・・・・・・誰よりも、一番――――――――――――――――――好きだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ・・・ご、ごめんね・・・迷惑だって・・・わかってたんだけど、その・・・」
・・・この・・・・・・・・・・・・大バカ野郎
「・・・だまれ」
「・・・えっ・・・・・・ねえさん・・・・・・ぅむっ!」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
温かい
温かい景太郎の
――――――クチビル――――――
「ふっ・・・・・・ぁむ・・・ねえさん・・・」
「ちがう」
「え、むぅ・・・!」
「っは・・・・・・はるかさん、じゃないのか」
「む、ふぁ・・・え、じゃあ・・・・・・ぁ、むぅ・・・」
「少し・・・・・・だまれ・・・バカ」
歯が当たる・・・カチッ、という音
唇が相手を求める音
静かな部屋に韻々と響くそれらは・・・いつもの私の夢と同じ
だけど目の前の景太郎の
熱に浮かされた様な眼は
戸惑った情けない声は
心地いいコイツだけの温かさは
泣きたくなるくらい私に押し寄せる安心感は
それが・・・いつもの優しい夢なんかじゃなく紛れもなく現実だと・・・本物の景太郎だと・・・教えてくれて
私の背中を押すのには、充分すぎた――――――
「・・・初めて、か?」
「・・・・・・もちろん」
「・・・私もだ」
「・・・え」
「何だその意外そうな顔は」
「だって・・・ぅんむっ・・・!」
「だまれだまれバカバカバカ・・・この!」
「ふぁ、むうぅ・・・・・・は・・・はるかさん・・・?」
「私も・・・好き、なんだ・・・・・・・・・・・・・・・ずっと・・・前から・・・・・・景太郎が」
「さ、さっさとやっちゃいましょ!」
「今回はウチにも微妙に責任あるさかい・・・しゃあないわなぁ」
「何が微妙によ!この張本人!」
「お二人とも、今は掃除が先決です」
「そうじそうじーー!!」
「ちょっとカオラ、ホコリ立つからあんまり騒いじゃダメだよ〜・・・」
「まあはるかさんが帰ってくる前に『日向』綺麗にしといた方がええからなぁ〜・・・どらどら・・・」
「そこ!それがわかってんならキッチンの後ろの酒瓶を漁らない!」
「ひぃ!・・・なる東大落ちてから怒りっぽなったなぁ・・・」
「なんですってぇぇぇぇ!!」
「すんませんすんませんいやぁぁぁぁ堪忍んん!!」
「はあ・・・全く・・・」
「おーー?これなんやーモトコー?」
「ん?なんだスゥ」
「なんや紙がイッパイ落ちとるでー?」
「FAX用紙だな。台から落ちてしまったのだろう」
「そうですね、まずこれをまとめて・・・」
「『From ばーちゃん to けーたろー』・・・なんやこれ?」
「さあ・・・何かな?」
「ふむ・・・・・・『浦島 景太郎』?・・・・・・浦島・・・景太郎・・・・・・だと?」
「・・・モトコー?」
「おろ・・・素子どないしたんや?」
「わからへんー・・・モトコがこれ読んだら固まってもうたんや」
「えっと、読みますね?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「・・・で、なんて書いてたの?しのぶちゃん」
「えっと・・・・・・その」
「?・・・・・・何?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひなた荘のオーナーがひなたお婆ちゃんから男の人に代わる・・・・・・そうです・・・」
「・・・それはつまり・・・管理人も変わるってこと?」
「ここにそれらしいこと書いとるで・・・?」
「ほっかーそないな手紙かいなーー!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あや?みんなーどないしたん?」
「「「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!??」」」
「・・・・・・景太郎さん・・・・・・あの人、か・・・?」
えんど・おぶ・すとーりーず。
終わりましたね〜・・・ああ幸せになってよかった(約二名)。・・・続くんですかね?
これからどうしようか考えてます(笑)番外でも書こうかしら。ああ未定。
それでは、また次のものがたりで・・・ 凍火