第1話「決意」 ディレクターズカット版

はるか昔あるところで若者がいた。

彼の名はアルフレッド・ボンバーヘッド。父は幼いころ亡くし、女手一つで育てられてきた。穏やかな村で平和に育ち世間一般で言う好青年である。五年前から母が営んできた本屋を継ぎ、アルフレッドが中心に本屋を経営してきた。あまり継ぎたくはなかったが他に就職先もないし特にやりたいこともなかったので流れに任せた。しかし三ヶ月前のある日彼の母が突然亡くなってしまった。

 

そして今日、彼は自分の将来について考えていた。母が亡くなった時のショックは大きかったが自分のやりたいことをやるチャンスでもあった。母が遺した本屋をたたみ、旅に出ることをアルフレッドは決意したのだった。

まずアルフレッドは自分の店の常連である村長に許可をもらうため村長宅に出向いた。

 

アルフレッドは村長宅の玄関の前に立ち深く息を吸った

「よし・・・」

強く拳を握り締め扉をノックした。

「村長、アルフレッドです。お話があり参りました」

返事がない。

しょうがないのでアルフレッドは自分で扉を開け中に入った。

村長の家といってもそこまで大きくはない。もちろんお手伝いもいない。なにせ小さな村だ。

「お邪魔します」

前にも来たことがあったので居間まで行ってみた。

村長は普通に居間いた。どうやらHな小説を読んでいるようだ。しかも音読で。

「あの〜」

「ん?・・・・ア、アルフレッド!?」

「村長・・・・」

村長は本を慌てて隠すと笑顔でこちらを向いた。

「どうしたんじゃ?急に」

「あ、話があって来たんですが・・・」

「おお、そうかそうか。で、話とは?」

「実は・・・・」

アルフレッドは心して話を切り出そうとした。

「実は店をたたんで旅に出ようと思うんです!」

「・・・・」

村長から答えがない。それもそうだ村長は再びHな小説を読み出している。

「おい!!じじい!」

「ん?あ、どうした?アルフレッド」

「いや、ちゃんと話し聞いてくださいよ」

「あ、ああ、すまんすまん。それで?」

「だから、本屋をたたんで旅に出ようと思うんです」

「ああ、いいぞ・・・・・・って、え!?なんだって?いや、駄目じゃよ!」

「え、そんな・・・・」

アルフレッドは思わぬ答えに戸惑ってしまった。

「村に本屋はおぬしのところしかないんじゃぞ」

「どうしても駄目なんですか?」

村長は少し間をあけてこう答えた。

「確かおぬしのところに古文書があっただろう」

「ええ、一応」

その瞬間アルフレッドは村長が次になにを言うか悟った。

「それをわしにくれたら旅を許可しよう」

予想通りの要求だ。確かに村長は以前からそんなような素振りを見せたことがあった。というか危うく盗られそうになったこともあった。アルフレッドは少し顔をしかめるとこう言った。

 

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