第4話「旅立ちの準備」

「これからはアルと呼んでくれ」

「そ、それじゃあ・・・」

 

♪たたらたらったった〜

 

どこからか聞き慣れたメロディが流れてきたが、二人は無視した。

「このことは他言無用だ。村の連中に知られると厄介だ。明朝、準備をして来てくれ」

いつのまにかアルフレッドの口調が変わっていたが、村長は流した。そんなことはどうでもいいほど心躍っていた。

「わかった」

村長は返事もそこそこに飛び出していった。

アルフレッドは大きく溜め息をつき、煙草に火をつけた。その姿はまるでジョン・トラボルタの様だ。

「独りで行くより楽しいかもしれん」

アルフレッドは呟くと、重い腰を上げ、準備に取りかかった。気が付くと日が暮れかかっている。床には吸い殻が散乱していた。

 

 

薄暗い納屋に行き、ラバの背中に鞍を乗せた。今まで貯めておいた一ヶ月分の食糧と手製の寝袋、祖父から貰った短剣をくくりつけた。

〈この村ともおさらばか〉

アルフレッドは哀愁を感じながら、藁の上にごろりと寝転ぶとそのまま眠ってしまった。

翌朝、気が付くと村長が納屋の戸口に立っていた。

 

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