第6話「ドラゴンボールを求めて」

「村の裏手にバード山って山があるんです。そこには七つ集めると願いが叶う魔法の球が隠されている・・・」

「ふむ、聞いたことあるぞ。その昔、その球を使って世界の王になった者や大金持ちになったものがいるらしいな。あくまで噂じゃが」

「その魔法の球を手に入れに行くんです!」

「願いは決まっておるのか?」

「そんなの決まってるじゃないですか〜」

そう言いながらアルフレッドはニヤリとイヤらしく笑った。

「ハッハッハ!お主も好きよのお、越後屋」

「いえいえ、お代官様ほどではございません」

「ハッハッハッハ!!」

二人は目を合わせると、高笑いをした。

ラバで移動しているアルフレッドにとって、村長が馬で来たのは全くの誤算であった。その敗北感から言葉遣いが元に戻っていた。

 

そんなコントをしているうちにブルックベリー村まで着いてしまった。村の入口に看板があった。

《観光都市 ブルックベリー村》

「俺、村を出たことないから分かんないんですけど、ブルックベリーって観光都市なんですか?」

「いや、少子高齢化のあおりで村民もほとんどブルックベリーを出てしまった。昔はウチの村より栄えておったんじゃがのう。今では人口20人ほ

どの小さな村じゃ」

「いったい政府は何をやってるんだか・・・」

アルフレッドは呆れながら言った。

「ナニを」

村長が下ネタでカブせてきた。

「お主も好きよのう、越後屋」

今度はアルフレッドが代官役である。

「いえいえ、お代官様にはかないません」

「ふっふっふ」

「わーはっはっは!」

いつしかアルフレッドと村長は太い下ネタという糸で繋がっていた。

 

村の入口の畑で作業している老婆がいる。アルフレッドは早速魔法の球のことを聞いてみた。

魔法の球を得るには村の長老たちと知恵比べや力比べ、願いの理由などを話し、認められないといけないらしい。

手順に従い、アルフレッドと村長は知恵比べをすることになった。二人はバード山の中腹にぽつんとある小屋に入った。

「待っていましたよ。私が知恵の長老、房州です。我々と知恵比べをして勝ったらドラゴンボールを差し上げます」

隣に座っている男が喋りだした。

「俺は坊や哲だ。ルールは簡単、アリアリのワンツーで半荘四回の二人の合計。つまり完全なコンビ打ちだ。お前らが勝ったらドラゴンボールを

やる。俺たちが勝ったら百万ゼニー頂く」

「ひゃ、百万ゼニー!?そ、そんな法外・・・」

驚くアルフレッドを制して村長は言った。

「よろしい、この勝負お受けしましょう」

四人が卓につき、一回目の半荘が始まった。

 

親:村長

南家:坊や哲

西家:房州

北家:アルフレッド

 

 

東一局は動きなく、終盤に入っていた。

「ポン!」

テンパイを焦ったアルフレッド(北家)がまず動いた。

村長(親)は国士無双をテンパっていた。

〈ハイテイはワシのツモ。しかも「中」ワシの上がり牌じゃ。親の役万ならこの半荘は頂きじゃわい〉

しかし、ハイテイは「東」であった。房州がすり換えたに決まっていた。

〈おのれ〜。房州め〉

二局目は坊や哲が親である。

サイの目は「二」

〈しまった!〉

村長は房州と坊や哲が積み込んでいることに、今気付いたのだった。

牌を取り終わったところで房州が喋り出した。

「哲、早く切れ」

「すいません、ちょっと待って下さい・・・あ、上がってる!」

「何!?」

声を上げたのはアルフレッドだ。村長はこうなることを予測していた。房州と坊や哲は狡猾そうに笑っている。

「親の役万は四万ハ千点だったな」

村長はアルフレッドをトイレに連れていった。

 

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