第17話「幕切れ、そして未来へ」

ついに伝説のドラゴンボールをそろえることができた。

みなの緊張はピークに達していた。

思えば長かった。村を出て1日半・・・いや、別にそんな長くはないか。

とにかく1年ぐらい旅していたような気がする。

邪魔だった村長も今は骸と化している。

アルフレッドはドラゴンボールを7つまとめて床に置いた。

「ドラゴンボールよ、願いを叶えたまえ」

そういうとドラゴンボールは白く輝き始めだんだんとドラゴンボールの上に人の顔が浮かび上がってきた。

「な、なんだ!?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは言った。

すると浮かび上がった顔はこう答えた。

「私はドラゴンボールに宿る神。魂寿(コンジュ)です」

「こ、魂寿?」

「そうだ、彼が願いを叶えてくれる。ちなみに不死身にはなれるが死者は蘇らんぞ。」

山本さんはそう言ったが村長を生き返らせるつもりは誰もなかった。

「おい、願いは何にするんだ?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはアルフレッドに聞いた。

「・・・」

「どうした?決めてないのか?」

「いや・・・じゃあ、願いを言うぞ」

アルフレッドは腹を決めた様子で言った。

「いかなる願いでも叶えてやろう。さあ、言え」

アルフレッドは意を決して願いを口にしようとした瞬間・・・

「うぐっ!」

突然山本さんが胸を抑え倒れてしまった。

「おい、大丈夫か?」

すぐさまエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが駆け寄った。

「どいて!」

看護婦が来て蘇生に試みる。

必死の救命活動が続く。

「山本さん!山本さん!」

「ヤマモート!だいじょーぶですか?」

ギャンビットも声をかける。

 

数十分後・・・

懸命の救急活動は空しく山本さんは逝ってしまった。

「ご臨終です」

看護婦は山本さんに一礼する。そうすると看護婦はアルフレッドたちにも一礼し、山本さんを引きずって部屋から出て行った。

皆は暗かった。一日に人の死を二度も見てしまったのである。

「二人の死を無駄にしてはいけない。」

「ああ、そうだね」

アルフレッドはドラゴンボールのほうを見ると魂寿が消えていた。

「あれ?」

「なんで消えてるんだ?」

よく見るとドラゴンボールの一つが割れている。

「あ!!」

「oh!割れてますね」

どうやら先ほどの山本さんの騒動で割れてしまったらしい。

「おいおい、どうすんだよ」

「・・・」

皆やりきれなさを隠せない。

 

「よし!」

アルフレッドはポンっと手を叩き言った。

「もう済んだことを悩んでもしょうがない。今は切り替えて次の旅に出よう」

「ああ、そうだね」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは大きく頷いて笑ってみせた。

「そーデース。いつまでもくよくよしてちゃいけません」

「なにか、行くあてはあるのか?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは聞いた。

「実はここより東に魔法の村、トレッドストーン村があるんだ」

「トレッドストーン村?あの伝説の?」

「そう」

「でも実在しないって聞いたよ」

「いや、そうでもないんだ。そこの村民は遠くの人と話ができる小さな箱や動く絵、さらに馬のいらない馬車などを持ってるらしいんだ」

「まさか〜」

「本当なんだ。文献によるとそれはその村の人が作ったものではなく異世界から持ってきたものらしい」

「異世界?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンも興味を持ったらしく真剣に聞いた。

「ああ、なんでも『チキュウ』ってところらしい。彼らの村にはそのチキュウってところに繋がる穴があるらしい」

「おいおい、なんでそんないいネタ早く言わないんだよ。さっそく行こう!」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは完全に乗り気である。

「YES!僕も賛成デース」

「よし、じゃあ、さっそく東にあるといわれるトレッドストーン村へ!」

アルフレッドはニッカリ笑ってそう言った。

こうしてアルフレッドたちは次なる旅に出発した。

 

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