第19話「昇降機」

アルフレッドとエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはトレッドストーン村を目指すためついにトレッドの樹海へと足を踏み入れた。

入ってから数十分後・・・

「ずいぶんとすごい霧だな」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンの言うとおり周りには濃い霧が立ち込めていた。

「今頃言うのもなんだけどエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは分かって進んでるの?」

「え?アルフレッドは知ってるんじゃないの?」

「・・・・」

「・・・・」

「おいおい、だって先に歩いていたじゃないか」

「アルフレッドがトレッドストーン村に行こうって言ってただろ」

こんなところで喧嘩しても意味はない。

「分かった。ごめんよ。とりあえずこの状況を何とかしないと」

「ああ、私こそ済まなかったよ。でもこれじゃあどうしようもないなぁ」

「エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは方位磁針は持ってないか?」

「いーや」

「・・・」

しばらく沈黙が続いた。二人は黙ったまま歩き続けた。

しかし、意外と早く村への手がかりを見つけた。

小さな石造りの建物だ。外観から見る限り数人は入れるぐらいの大きさで取っ手のない扉がついている。

「いったいこれは何だ」

「さあ、いままで見たこともないな。文献ではこのことは書いていなかったな。しかし、トレッドストーンとこの建物に書いてある。確実にこの村の

ものだ」

「なあ、ここに何か書いてあるぞ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは扉の横を指差した。そこには「下」と書いてある。

「下?なんだこれ?」

「おい、あんまりうかつに触らない方がいいぞ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが注意する。

「まあ、大丈夫だって。爆弾ってことはないだろうし」

アルフレッドは「下」と書いてあるところを調べ始めた。

「ん?これ動かせるぞ」

アルフレッドはそう言い、「下」を押し込んだ。すると「下」が光った。

「な、なんだ。光ってるぞ」

石造りの建物から低い音が鳴り始める。

「だ、大丈夫かな・・・」

「おいおい、自分で大丈夫って言っただろ」

しばらくその低い音が鳴っていたが少しするとその音が止んでチンっと言う音が鳴った。ゆっくりと扉が開く。中には何もない。

「何だここは?」

「これって本当にトレッドストーン村に関係あるのか?」

「ん〜分からんが」

そう言いながら中に入っていく。

「ずいぶん殺風景な家だな」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンも入ってくる。

「ここにも何か書いてある」

またエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが見つけた。

そこには「上」「下」「開」「閉」と書いてある。

「今度はたくさん書いてあるな」

「そうだな」

アルフレッドは迷わず下を押した。

「何も起こらないな」

アルフレッドは首を傾げた。

「わかった、『閉』を押すんだよ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはアルフレッドを押しのけて「閉」と押した。すると扉は思ったとおりに閉まった。

「うまくいったな。これはもしかしたら村への入り口かもしれない」

アルフレッドは不安半分期待半分といった気持ちだった。

再び先ほどの低い音が鳴り始めた。

「ん?これはもしかして下がってる?」

「確かに変な感じだ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは武道家ということもあってこういう感覚は鋭いのだろう。

チン・・・・同じ音が鳴る。

扉がゆっくり開く。

そこには先ほどの光景はなかった。

アルフレッドは驚きながらもゆっくりと外に出た

「ここが・・・」

「トレッドストーン村か」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンも続く。

ついに謎の村、トレッドストーン村が姿を現した。

 

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