第21話「我生粋の玄人なり」

夜が明けた。

前日に大恥をかいたのでいつまでも寝るわけにはいかなかった。

まだ、村が活動を始める前に朝食にした。

朝食は芋を簡単にふかして食べた。シンプルでかつおいしい食べ物だ。

だんだんと村の人が見られるようになってきたので寝袋など片付けてまた村を見て回ることにした。

「おい、アルフレッド。これ見ろ。そこに落ちてたんだ」

「ん?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが渡してきたのは広告のようだ。

『トレッド旅行会社 現在チキュウ行きチケット大特価中 480万ゼニー』

目的であるチキュウについて書かれている。

「おいおい、480万?」

「しゃれにならんぞ」

「とにかくこの村では金がないと何もできないな」

「ああ、そうだな。しょうがない、また、麻雀で稼ぐか」

そういうとアルフレッドはそれっぽい村人を探し話しかけた。

「なあ、雀荘はどこだい?」

村人は首を傾げた。

「ジャンソウ?なんだいそれ?」

「麻雀ができるところだよ」

「マージャン?」

「麻雀を知らないのか?」

「いや、生まれてこのかた聞いたことないね」

「そ、そうか。手間かけたな」

不思議そうに二人を見ながらその村人は行ってしまった。

「なんてこった」

「どうするんだよ。仕事なんてやりたかないよ」

「わかってるって、そんな寄り道はしていられない」

「これだけ大きな村ならカジノがあるんじゃないのか?」

「カジノはレートが高いからリスクが大きすぎるよ」

「でも、前に進まなくちゃいけないんだろ?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが目を見て言った。

「ああ、そうだな」

「よし、昨日の宿屋にあったはずだ」

二人は昨日の宿屋向かった。

昨日のジェントルマンが宿屋の前に立っている。

「いかがなさいました?」

こういう人と話すのは緊張する。

「あ、カジノに行きたいのですが」

そういうとジェントルマンは二人の姿を見て言った。

「申し訳ございませんが、お客様の服装では・・・」

確かにここの村民は皆貴族のようなきれいな服を着ている。

「当ホテルには洋服店もございます。そこでそろえたらいかがでしょうか?」

アルフレッドは少し悩みながらもそうすることにした。

ついにその宿屋(ホテル)足を踏み入れた。

中には先ほどのようなジェントルマンが大勢立っている。

ジェントルマンは店まで案内してくれた。そして少し二人で服選びをし、懐の具合を考えカジノに入れそうな服を買った。

残金は9万ゼニーほどだったが1万5千ゼニーまで減ってしまった。

服の内訳はエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンの服が7万、アルフレッドの服は5千ゼニーだ。彼女は動きやすさや見た目にこだ

わったためこの値段になってしまった。

「よし、とにかくこの1万5千で何とかするしかない」

アルフレッドは残った金を見つめポケットに入れた。

「チキュウへの第一歩、行くわよ」

二人はついにカジノへの扉を開けた。

 

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