第25話「マックスマイルだYO」

大の男たちが紙のように飛ばされていき、なんとかその奇妙な集団を退治することができた。的確に急所を狙ったので怪我はしていないが当

分起きないだろう。

他にも多くの人が取り囲んではいるが襲い掛かってくる気はないようだ。

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはアルフレッドを起こし立ち上がらせた。

「いったい何なんだ。この町は」

「ああ、肩がぶつかっただけでこの騒動だ」

今は周りの視線が痛いので移動することにした。

しばらく移動するとあまり見られないようになった。

「なんか腹が減ったな」

アルフレッドが腹に手を当てて言った。

「そうだな。ガイドには何か書いてあるか?」

「う〜んと、速くておいしい『マック』がお勧めだって」

「なんだかわからないがとりあえずそのマックに行ってみよう」

二人はしばらく歩いてみたが全然その『マック』という店は見つからなかった。

仕方がないのでアルフレッドは意を決してチキュウの人に聞いてみることにした。

チキュウの人はどんどん歩いていってしまうので聞くタイミングがつかめない。

「おい、あそこでさっきからうろうろしている人に聞いたらどうだ?」

「ああ、そうだな」

その人はスーツにものすごいハイカラな髪の色をしている。

そういう種族なのだろうか。

「あのー」

「はい?」

「ちょっと聞きたいことが・・・・」

「なんですか?」

男は無愛想に返してくる。

「マックという店を探してるのですが」

「え、マック?あそこにMって書いてあんだろ。あそこだよ」

軽く不思議そうにアルフレッドを見てさっさと行ってしまった。

確かにMというアルファベット文字が大きく書かれている看板がある。

「あのMって書いてある店だって」

「え?さっきからよく見かけたけどこれだったのか」

「まあ、いいよ。疲れたから早く入ろう」

店の前まで行くと数人並んでいる。そのままアルフレッドたちもつられて並んだ。

しばらくして自分たちの番が来た。

「こんばんは、お持ち帰りですか?それともこちらで食べますか?」

「ここで」

「・・・」

「・・・」

「あの、ご注文は?」

「え?あ、お勧めで」

「は?お勧め・・・ですか?」

「ええ」

アルフレッドはマイペースだった。

「・・・」

「・・・」

「では・・・こちらのたまごタブルマックのセットはいかがでしょうか?」

「それ二人分?」

「いえ、一名様分ですが、後ろの方もご一緒ですか?」

「ああ、じゃあそのなんとかってやつ2つで」

「かしこまりました。1200イェンになります」

「は!?1200イェン?」

「はい、そうですけど」

ものすごい高さだ。ゼニーに直すと12億だ。食事と言うレベルではない。もしかしてチキュウではこれが普通なのかもしれない。5万イェン持っ

てることだししょうがないか。

しぶしぶアルフレッドは会計を済ませた。

「ありがとうございます。少々お待ちください」

そういうと店員は忙しそうに用意し始めた。

なんだか忙しい店だな・・・

料理が運ばれてきた。

これが12億ゼニーの料理か、見たこともない容器に包まれているがいい匂いはする。

それを持って2階にある席に座った。

「あ〜疲れた〜」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは大きく手を伸びた。

「なんだかわからないことだらけだ」

「まあ、いいってことよ。さあ、食べよ」

そう言うとエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはそれを口に入れた。

「ん?これは・・・・」

アルフレッドも口にしていた。

「〜〜〜」

「なんだか結構うまいぞ。いや、こんなおいしいもの食べたことない」

「ああ、さすがチキュウだ」

二人は3分足らずですべて平らげてしまった。

「いや〜おいしい」

「でも、これさ」

「ん?」

「12億は高いよな」

「ああそうだよな」

「・・・」

「・・・」

「まあチキュウに慣れれば高いと感じなくなるんじゃない?」

「あ、ああ、そうかもな」

食事も済ませて二人はマックを出て物音がしたので細い路地に入ってみた。

するとそこには先ほど退治した変な帽子の集団の頭領っぽい人がうろうろしていた。

騒ぎを避けたかったので二人はこっそり通り過ぎようとしたが

「おい、貴様ら!」

顔をしっかり覚えられていたようだ。

拳銃を構えこちらを睨んでくる。

「手を上げろ!」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはまた斧を取り出し倒そうとしたのでそれを制止しやる気がなさそうに言った。

「なあ、おっさん。あんたらが悪いんだろ。明らかに先に手を出してきたじゃないか」

「何!?喧嘩の原因が何であろうと公務執行妨害だ」

「なんだそれ?」

「罪状だ、罪状」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはもう飽きていた。

「もう、いこうぜ。アルフレッド」

「そうはいかんぞ!」

頭領が大声を出す。

「わかったわかった」

アルフレッドは頭を掻きながら鞄から金色に輝く杯を取り出した。それはブルックベリー村の最後の試練で使われた聖杯だった。何かに役に立

つだろうと思い派手なものをいくつか取ってきたのだ。

「これやるから」

「・・・・」

頭領は目の前にある聖杯を見つめている。

「ほら」

アルフレッドは無理矢理頭領に押し付ける。

「え、あ、はい」

「それでもういいだろ?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは早く済ませたかった。

「ん?え・・・・もう、騒ぎは起こさないように・・・」

そんなこと言いながら頭領は聖杯を大事そうに抱えている。

「じゃあ、行こうぜ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはそういって歩き出した。

「ああ」

アルフレッドも続く。

「おい、ちょっと待ってくれ」

再び頭領が呼び止めた。

 

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