第27話「僕の打つ道」
なれない乗り物だったため入るときに頭をぶつけてしまった。
二人は乗り込むと前の席に座っている男が話しかけてきた。
「どちらへ?」
「とりあえず動かしてください」
「いや〜せめてどちらのほうか言ってくださりませんと・・・」
「じゃあ、真宿をぐるぐる回って」
「は?・・・はあ・・・」
中途半端な指示だったため前に座ってる男は不思議そうに丸いものをまわし始めた。
すると低い音とともに鉄の箱は動き始めた。
「おお!」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは感嘆の声を漏らした。
「すごいな〜」
「お客さん、もしかして車に乗るのは初めてなんですか?」
「そうなんだ。すごい乗り物だな」
「そりゃあ、いい記念ですね〜」
数分後・・・
「・・・」
「・・・」
「なんか飽きたな」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが言った。
確かに目的地があるわけではないので乗るだけではすぐ飽きる。
「そうだなあ〜、じゃあどっかで稼ぐか?」
「いい案だな。こっちは物価が高いからレートも高いはず」
「おじさん、じゃあ雀荘に行ってくれ」
「はいよ」
数分後・・・
「1060イェンです」
「うわ〜きっついな〜おじさん」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが不満を漏らす。
「な〜まけてくれへん?」
珍しくエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが色目使いをする。
「え、そんな、まけるって・・・」
「お・ね・が・い・・・」
「じゃあ、660イェンになります」
おじさんは何事もなかったかのように言い直した。
アルフレッドはなれない硬貨確かめながら支払いを終えた。
「さて」
アルフレッドは高い建物を見上げると2階の部分に『雀鬼』と書いてある。
「ここっぽいな」
二人は階段を上り殺風景な鉄扉を前にして言った。
「アルフレッド、麻雀なら大丈夫なんだよな」
「もちろんさ、レートが高けりゃ丸儲けさ」
そう言い、アルフレッドは重厚な鉄扉を開けた。
中にはジャンパーを着たおじさんが何人かいる。
立っていると受付と書いてあるところにいるおじさんに尋ねられた。
「あんた、初めてかい?」
「ああ」
「料金は一時間500イェンだ」
予想はしていた。一時間で500イェン以上の利益を上げればいいことだ。
「ほらよ」
アルフレッドはポケットから500イェン硬貨を取り出しおじさんに渡した。
そして、店内を見回して煙草ふかしながら喋っている年配の男たちに目をつけた。
アルフレッドはその男たちに近づくと
「打たないか?」
男たちは少し目を合わせ
「ああ、いいぜ」
のそのそと立ち上がり男たちは卓についていく、そしてアルフレッドも同じように座る。
座ってみてはじめて気付いた。
卓は普通の卓と何か違う。
慣れた手つきでボタンを操作すると卓の真ん中が開いた。そして牌を入れていく。
「お、おい」
「あんだよ、兄さんも手伝えや」
全部の牌を入れ終えて再びボタンを押すときちんと積まれた牌が出てきた。
「な、なんだこれ!?」
「おいおい、自動を知らないのかい?」
男の一人が聞く。
「これ積み込んでないだろうな?」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが言ってくる。
「何言ってるんだい、自動で機械がやってるんだからそんなことできるわけないだろう?」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンがアルフレッドを見てきた。
アルフレッドは「大丈夫だ」と目で合図した。
勘ではあるがアルフレッドは男たちは嘘を付いてないと思った。
しかし、これではありがた迷惑だ。アルフレッドの得意分野は積み込みである。
「レートはまず1点1イェンだ」
(やはり高いな・・・・)
「じゃあ、始めますか」
アルフレッドが必死に対応しようと考えているときに対面に座る男がうっすらと笑っていた。