第29話「寿司と生きる道」

懐も温まりチキュウの絶品料理「寿司」を作っている「寿司へぇ」に行くことになった。

数分歩くとこのチキュウならではの雰囲気を醸し出している高級そうな店があった。

店に入ると今まで見たこともない女性がいた。

「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

「ええ」

アルフレッドは徐々にチキュウに慣れつつあった。

「個室にいたしましょうか?」

「一番いい所で」

「かしこまりました」

チキュウがいくら物価が高いといっても100万イェンあれば問題はないだろう。

その女性に案内され二人は部屋に入った。

「落ち着く店だな」

「そうだな。こういうところに住んでみたいよ」

二人が部屋を眺めていると白い服を着た中年の男が入ってきた。

「私がこの寿司へぇ第7代目当主、蘭堂 宗助です」

「ああ、よろしく」

「へい、今回は私が握ります」

「握る?なにをだい?」

アルフレッドたちは寿司を知らなかった

「へい、寿司ですけど」

「握って作るものなのかい?」

「へい、お客さんは寿司を食べたことがないのかい?」

「ああ、聞くのも今日がはじめてでね」

「そうですか、なら今日は腕を振るいますよ。へい」

そういうと蘭堂は準備をし始めた。

「おい、アルフレッド、握るなんて不潔じゃないか?」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが心配そうに聞いてきた。

「たしかにな。まあ手もちゃんと洗っているみたいだし食ってみればわかるよ」

「へい、寿司が初めてなら最初はおまかせでいいかい?」

準備を終えた蘭堂が言った。

「ああ、頼む」

蘭堂の前には生の肉がいくつも並んでいる。魚肉だろうか・・・

蘭堂は大きな丸い容器に入っている米を一握り取り、薄く切った生の魚肉を合わせた。

そしてそのままアルフレッドたちの前にある板にのせた。

「へい、お待ち」

「・・・」

「・・・」

「え?これで完成かい?」

「へい、そうでけど」

ずいぶん簡単な料理だな。二人は顔を見合わせた。

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは恐る恐る口に運んでみる。

「う!」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが声を漏らす

「うまい!」

「ほ、本当か?」

アルフレッドも続いて口に運ぶ。

口の中に生の肉が溶けていく。

昇天しそうだ。

「ぜ、絶品だよ。大将」

「へい、ありがとうごぜえます、へい」

「これは何なんだ?」

「へい、これは大トロですね。寿司の代表的なネタです」

「そうなのか」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはもう一つも食べていた。

「大将、いい腕してるね。この握り具合は熟練だね」

「へい」

「よし!」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはなにか思いついたようだった。

「今のを50個」

「そうだな、腹いっぱい食おう」

「へい!毎度」

そういうと蘭堂はものすごい速さで握り始めた。

それに負けじと二人も次々と口に入れていく。

1時間後

「ふーおいしかった」

アルフレッドはおなかをさすりながら言った。

結局何度も追加していったいいくつ食べたかわからないほどだった。

「じゃあ、お勘定」

「へい」

蘭堂が数字の書かれた紙を渡してくる。

360000イェンと書かれている。

「すごい高さだな」

「さっきの一ついくらなんだい?」

アルフレッドが蘭堂に聞く

「へい、3000イェンです」

さすがチキュウの絶品料理、値段も桁外れだ。

「なんかすごい減っちゃうな」

「まあ、しょうがないよ。食っちゃったんだし」

そういうとアルフレッドは36万イェン分を数えて蘭堂の差し出した。

「へい、ありがとうごぜえます」

「さて、店を出るか」

「だな」

そういって立ち上がると

 

パンッ!!

 

銃声が響いた。

「な、なんだ!?」

「へい、何が起きたんだ!?」

蘭堂も混乱している。

「音は店の奥からだ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは落ち着いている。

「行こう!」

「ああ」

二人は個室から飛び出した。

 

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