第33話「裏切り者」
戸を開けると誰もいなかった。
両替所にも誰もいない。
「様子が変だ」
アルフレッドが辺りを見回しながら言った。
「とにかく外に出よう」
外に出るとそこにあったのは変わり果てた町だった。
「な、なんてことだ」
近くに人が倒れている。ドン・ガバチョだ。
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが起こした。
「おい、何が起こった!?」
「う、、、、」
ドンは苦しそうにしている。
「カ、カウボーイ姿の・・・」
アルフレッドたちは顔を見合わせた。
「ギャンビット・・・」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンがつぶやいた。
「いったい村に戻って何が起きたんだ・・・」
「そいつはどこに行ったんだ?」
エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンがさらに聞いた。
「やつは・・やつの連れをチキュウに送ったあと・・・どっかに行っちまった」
「なにか言ってなかったか?」
今度はアルフレッドが聞く。
「た、確か・・・『こっちは片付けておく。お前はチキュウで例の物を調達してくるんだ』と言っていた」
「きっとそれが村長だ」
「おい、その例の物については何か言ってなかったか?」
「支配に必要なものとは言っていたが」
「とにかくもう一度村長に」
「ああ」
二人はドンをそのままにして再びチキュウへの扉をくぐった。
急いで大通りに出て先ほど車から降りたところに向かった。
先ほどの状況とあまり変わっていない。
ピラフが見知った男と話している。
警察の頭領ムラマツだ。
「おい」
ピラフたちがこちらを向く。
「どうした?今仕事中なんだ」
「いや、こいつと知り合いなんです」
「ええ?じゃあ車から逃げた二人ってのはお前らか?」
「ああ、急いでたんだ」
ムラマツは困った顔をした。
「困るよ〜いくら他のところから来たって言っても」
「とにかく今は大変なんだ!」
ムラマツはアルフレッドたちの表情から深刻さを読み取った。
「面倒ごとか?」
「そうなんだ。ここに村長が気絶してたはずだけど」
「殴り倒した梅ヶ崎親分なら病院に搬送されたぞ」
ピラフが答える。
「じゃあそこに連れてってくれ」
「いったい何なんだ?」
「もしかしたら多くの死人が出るかもしれない」
「な、なに!?」
「だから村長、いや梅ヶ崎を止めなきゃいけないんだ」
「よし、着いてきな」
ムラマツが車へ走り出した。
「アルフレッドさん、俺も着いていかせてください。迷惑はかけません!」
「ああ、助かる」
四人は車に乗り込むとムラマツは急いで発進させた。
「その病院はどのぐらいで着く?」
「すぐ近くだ。数分で着く」
道が空いてたこともありあっという間に着いた。
受付のところに行きムラマツが聞いた。
「先ほど老人が搬送されたはずなんだが」
「その方なら今第1手術室でオペをしています」
「ありがとう」
ムラマツは案内板を見てすぐさま廊下を走り出した。アルフレッドたちも後を追う。
少し行くと第1手術室と光っている扉があった。
ムラマツは拳銃を構え扉を蹴破った。