第37話「ティーンコマンダー」

17階に上がると今までと違う雰囲気の部屋だった。

インテリアがモダン風に統一され綺麗だった。

「今までと少し違うな」

「ああ」

村長が次の階段を見つけそこへ向かおうとしたとき物陰から一人の男が姿をあらわした。

「待ちたまえ」

三人がいっせいに振り向いた。

「ただでそこは通さない」

その男は10代ぐらいだろうか、顔立ちも男前だった。

「貴様がここの番人か?」

「そうだ。僕はギャルビッシュ・毛(もう)少佐だ」

「な、なに!ギャルビッシュじゃと!」

村長が一番早くリアクションした。

「村長、知ってるんですか?」

「ああ、若輩ながらあの凶暴生物カメを倒し多くの軍からスカウトを受けた生ける伝説じゃ。確かギャンビットが裏で10億ゼニーの金を使い獲得したと聞いていたが」

「じゃあ、実力はあの天武長老より?」

「おそらくは」

「ちっ、強敵だな」

アルフレッドは少し身構えながらギャルビッシュを見た。

「どうやら僕のことをご存知のようですね。なら話は早い、おとなしく死んでくださいよ」

そういうとギャルビッシュは不敵に笑った。そして胸ポケットから葉巻を取り出し慣れた手つきで火を点けると煙を吐き出しながら言った。

「さあ、お仕置きの時間です」

未成年のくせに恐ろしいほどの風格をかもし出していた。

「ギャンビットだかギャルビッシュだか知らないが煙いんだよ!」

今まで黙っていたエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが大声を出した。

「おい、気をつけろ。今までのやつと違うぞ」

アルフレッドがエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンをなだめようとしたがエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは聞かなかった。

「ふっ、まずは貴女からですか」

「あたしで終わりだよ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはあくまで強気だ。

「ならば僕は左手だけで戦いましょう。貴女ごとき本気を出すまでもない」

「はいはい」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはどんどん前に進む。

「はっはっはっ!なかなかの度胸だ。サービスです。一発先に打ち込んできなさい」

ギャルビッシュは依然と余裕そうである。

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうよ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンはにやっと笑うと電光石火のごとく左ジャブを繰り出した。エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンの左拳はギャルビッシュの鼻の下、急所である人中のクリーンヒットした。

一瞬で意識を飛ばされたギャルビッシュはその場で崩れ落ちた。しかも口から泡を吹いている。

「じゃあ、行こうぜ」

「ああ」

アルフレッドはいつものことなのでそれに驚きもせずエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンの後について行った。

村長は意識のないギャルビッシュ金品をあさり自分のポケットに詰め込んでいた。

「この若造め」

そういうと村長は手に握り締めている宝石を見てにやついた。

「村長、早く行きますよ」

なかなか来ない村長にアルフレッドが呼びかけた。

「ああ、すまんすまん。ちょいと事後処理をな」

「村長、まだ手グセの悪さは直ってないんですか」

アルフレッドは自分の本屋で万引きされたことを思い出した。

「まあ、いいじゃないか」

村長に罪悪感はなさそうだ。

(この糞ジジイが・・・・)

「おい、置いてくぞ」

しびれを切らしたエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが階段の少し上で言った。

「ああ、すまない」

アルフレッドはそういいながら小走りでエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンのところに行った。

村長もそこに追いつくと三人は18階へ進んだ。

 

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