第41話「秘められし過去、そして決断」

「アルフレッド・・・」

 

 

「・・てください・・・」

 

 

「・・・きが来ま・・た」

 

 

「・・・・・アル・・ッド・・・」

 

 

 

誰かが呼んでいる・・・

懐かしい・・・誰かが・・・

 

「アルフレッド!!!!!!!」

ものすごい大声に驚きアルフレッドはベッドから転げ落ちた。

「うわっ!」

アルフレッドは状況が理解できてない。

「何度も呼んでるのに・・・寝すぎだぞ」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが目の前で仁王立ちしている。

「あれ?・・いま・・のは?・・・」

「え?何言ってるんだよ。まだ夢見てるのか?」

「ん?ああ・・・いや、ごめん。今何時だ?」

「もう昼前だよ」

「ええ!?そんな時間?」

アルフレッドはそういいながら窓の外を見た。

大分日は昇っている。

「ごめんごめん。すぐ行くよ」

「ああ、早くしなよ」

そういうとエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは部屋から出て行った。

 

あのギャンビット制裁から三ヶ月が経とうとしていた。

村を出て数日の間に多くのことがあった。

マジで・・・

たくさんあった・・・

そんなこんなで一時帰宅することになった。

最初は数日だけのはずだったが久しぶりに戻ったので長居しているところである。

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンとギャンビットはウチに居候していて、村長は実家だ。

たったの数日で戻ってきたことで少し笑われたが俺たちの武勇伝を聞いたらきっと感動しただろうが面倒くさかったので話さなかった。

とにかく家で休みたかったからだ。

今はエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンとギャンビットが店番してくれるので助かっている。

 

「おーい、まだか〜」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが再び大声で呼んできた。

「今行くー」

着替えを終えダイニングまで来るとパンが置いてあったのでそれをおもむろに口に押し込み店の方へ向かった。

「遅くなった、おはよう」

「おはよう」

声に気付いたのか本を整理していたギャンビットがこっちを向いた。

「おはようでエドモンド」

「調子はどうだ?」

「まあまあだな」

以前店には村長以外滅多に客が来なかったがエリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンがいてくれるおかげでなかなか繁盛している。

ギャンビットもしっかりやってくれてるので非常にうまくいっている感じだ。

しばらくすると村長が来た。

「おお、景気はどうだい?」

「また来たんですか。暇ですね」

「家ではすっかり嫌われておるからな」

村長は少し笑いながら言った。

「それにしてももうそろそろで3ヶ月ですね」

「ああ」

「また、行きたいのお」

「そうですね」

少し浸りながらもまた整理をし始めた。

「あ・・・」

ギャンビットが思い出したように声を上げた。

「どうした?」

「ポストに郵便を取りに行くの忘れたでエドモンド」

「なんだ、郵便か」

ギャンビットは小走りで外のポストへと向かった。

(なんか・・・平和だな)

4人は刺激のない生活に慣れていき次第と定着していったのだ。

確かに旅に出ようと思えば出られるが目的のない旅はあまり好きではなかった。

ギャンビットは取ってきた郵便物からダイレクトメールを除き1通だけ渡してきた。

「エドモンド」

「ありがとう」

受け取った手紙には送り主が書いていない。

「誰だ?・・・」

封を開けると綺麗な字でこう書いてあった。

 

 

アルフレッド閣下

お久しぶりです。実は急な報告がございます。やつらがそちらの捜索を始めたという情報を掴みました。事態は非常に危険になっております。こちらにお戻りになってください。どうかよろしくお願いいたします。

ポリー・ハッター校長

 

 

「なんだよこの手紙・・・・」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンが横からのぞいていた。

「ああ、どうやら話さなくちゃいけないみたいだね」

「どういうことじゃ?」

「驚かないで聞いてくれ」

アルフレッドはコーヒーを一口飲むと自分の置かれている真の状況について話し出した。

「俺の本当の名前はアルフレッド・ボンバーヘッド・レイモンド。ある魔法の国の王族なんだ」

「お、王族・・・」

「そう、レイモンド家は代々その国の王を務めてきた。しかし、俺の父上の代に恐ろしい事件が起きたんだ。暗殺・・・・父上はある組織によって暗殺されたんだ。その組織は5人からなる外道魔術師なんだ。そして、王位継承者である俺を隠すためこっちの世界に母上と来たんだ。もちろん俺はそのとき小さかったからこれは聞いた話なんだが事実なんだ。」

「そんなことが・・・」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは驚きを隠せなかった。

「そして母上は式典に出席するため国に戻ったときに暗殺されてしまったのです」

「なんじゃと・・・病気ではなかったのか?」

「ええ」

「そんなことがあったでエドモンドか・・・」

「俺、祖国へ戻ります・・・・いままで守られてばっかりだったけど仇を討ちたいんだ」

「アルフレッド・・・」

アルフレッドはなにか決心した様子だった。

「じゃあ、あたしも行くよ」

「え?」

「わしもじゃ」

「ボクも行くでエドモンド」

「みんな・・・ありがとう」

「困ったときはお互い様じゃ」

(村長には言われたくなかった)

封筒には魔法の国への行き方が書いてある紙もあった。

 

 

レイモンド王国への行き方

モンゴリアン駅の女子便所、手前から3番目のトイレを3回ノックして入る

 

 

「なんだか変な行き方だエドモンド。学校の怪談みたいだエドモンド」

ギャンビットは素直な感想を言った。

「とにかく久しぶりの旅だな」

エリザベータ・アンゲルトリューテン・ウォンチョンは少しうれしそうだった。彼女は元々格闘家だ。きっと刺激が欲しかったのだろう。

「そうだな」

アルフレッドは祖父から受け継いだ短剣を棚から取り出し手に取った。

 

 

 

手には一刀

 

倒すは5人

 

魔都レイモンドに電光石火の剣が鳴く

 

ついに復讐の火蓋が落とされる・・・・

 

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