武蔵野日記 第4回
「アマチュア無線はクライか?」 99.05.29

JG3HAT 小田 真



 最近の時事通信電は、一時は「趣味の王様」とまでいわれたアマチュア無線の免許(従免)取得者が著しく減少していることを報じた。その中でJARL(日本アマチュア無線連盟)はその対策として郵政省に働き掛け、規制緩和の一環として認定講習会の免許取得に要する受講時間の大幅削減が実現したが、減少傾向に全く歯止めがかからないと、アマチュア無線の凋落ぶりを伝えた。時事通信はその原因として、パソコン等、趣味の多様化を挙げ、携帯電話、PHS、電子メ−ル等の新たな通信媒体の普及がこの傾向に拍車をかけたと結論付けた。

 数カ月前、民放テレビの深夜番組を見ていると、「女子高生、女子大生に聞く好きな男性のタイプ、嫌いな男性のタイプ」という街角インタビューを放送していた。「嫌いな男性」に対する回答の1つに「アマチュア無線とかやってそうなクラーイ人」というのがあり、思わず吹き出してしまった。その人のコメントによると、アマチュア無線家とは、「寝癖のついたままの頭髪で、牛乳瓶の底?のような眼鏡をかけ、カビ臭い日当たりの悪い部屋で、クライ表情で、得体の知れぬ無線機に向っている」というイメージを持っているようだ。事実私もアマチュア無線をしていると言うと、多くの人から似たような反応がかえってくる。

 アマチュア無線の不人気は、確かに時事通信の記事にもあるように、携帯電話やパソコンなどに喰われたことが主たる要因だろうが、アマチュア無線に対するマイナス・イメージもかなり影響しているようである。考えてみると、アマチュア無線の人気低下は、「オタク」なる言葉が流行り始めた頃と一致するように思われる。残念ながら、何か特殊な専門性を有する趣味を持つ人を「オタク」の言葉でひとくくりにされる傾向は残念なことである。私のもう一つの趣味であるスキューバーダイビングも、ある意味では特殊な趣味のようにも考えられなくないが、「ダイビングやってます」と言うと、「オシャレ」とか「すっごく楽しそう!」などと、極めて肯定的な反応が得られる。やはり、南国特有の強い太陽光線の下、珊瑚礁の青い海に潜るという、明るいイメージによるものなのだろう。すべてがイメージに左右される時代なのだ。

 で、アマチュア無線は本当にクライか? 私の知る限り、決してそんなことはない。(もちろんどんな世界にもクライ奴はいるが。。。) 私がアマチュア無線の免許を取得したのは1978年、中学2年の頃である。当時はオンエアするのが楽しくて、毎晩のように無線機にかじりついていたものだ。そうすると、自然に電波を通じた友人が多数でき、そのうちに互いのシャックを頻繁に訪問するようになる。同い年のロ−カル局もいれば3つ年上、年下など、中には自分の親のようなOMさんが当時中学生の私の家に尋ねてこられたことすらある。その大半とは未だに付き合いが続いており、20年来の友人ということになる。彼等は決してオタクではなく、アマチュア無線を心から楽しんでいる。DXに燃える人、コンテストになると張り切る人、アンテナ、無線機を自作・実験する技術派など。。。しかし、皆で集まると無線の話題よりも、その他の話題の方が中心で、何よりも酒を飲むのが好きだという人が大半である。わがアマチュア無線尼崎クラブでは、フィールドデーコンテストで猪名川町大野山に移動する時は、無線に熱心な会員でも、コンテストというよりも、年に一度の大宴会との認識が濃厚で、羽目を外してワイワイ騒ぐのである。同クラブでは、無線に徹する行事よりも飲み会の方がはるかに盛り上がるのである。

 アマチュア無線はクライとのマイナス・イメージを払拭し、アマチュア無線の人気を回復するには、やはり我々の日々の行動によらなければならない。数年前の阪神大震災の際、電話など通信手段が遮断された中アマチュア無線家の緊急連絡等の活躍は目覚ましいものがあった。またわがクラブでは、毎年11月に行われる尼崎シティー国際ハーフマラソンでは、落伍者や負傷者発生の連絡など地域社会に大いに役立ち、アマチュア無線のイメ−ジ向上に大きく貢献している。また市民まつり等の公開運用やこのホームページなどを通じてアマチュア無線の楽しさを大いにアピールしていくことが重要であろう。

 アマチュア無線に興味のある方、ぜひ一度アマチュア無線尼崎クラブをのぞいてみませんか?決してクラくない、それどころか和気あいあいとした楽しい世界を発見されるはずです。

JG3HAT 小田 真