「パセリおばさんとレタスおばさん」
なつがきました。
かいものからかえってきたレタスおばさんは、
いつものように、パセリおばさんのいえで
おちゃを一ぱいのんでいきます。
「すてきなぼうしがショーウインドーに
でていたわ。 でも、たかすぎてねえ。
せめて、ことしは ぼうしかざりだけでも
あたらしくしたいわ」
レタスおばさんのことばをきいて、
「わたしも、ことしは すてきなぼうしかざりが ほしかったの」
と、パセリおばさんもいいました。
あるあめあがりのあさ、
パセリおばさんは、さんぽをしていました。
おおきなまつのきのしたで、
パセリおばさんは、 かたくとじた
おおきなまつぼっくりをみつけました。
「おや、これはみごとだこと。
きりりっと、とじたところはレタスさんにそっくりだわ。
これを、レタスさんのぼうしにかざったらとてもおにあいだわ。
わたしからのプレゼントにしましょう」
パセリおばさんは、かたくとじているまつぼっくりを、
だいじにハンカチにくるみました。
「あそびにいくひまで、ここにおいときましょう」 と、 パセリおばさんは、にっこりうなずいて、
ひあたりのよいまどべにハンカチのつつみをおきました。
2、3にち、おてんきのよいひがつづいたあるあさです。
レタスおばさんは、さんぽをしていました。
おおきなまつのきのしたで、レタスおばさんは、
しっかりひらいている おおきなまつぼっくりをみつけました。
「おやおや、これはみごとだこと。
ぱぁーっと、ひらいているところは、パセリさんにそっくり。」
「これを、パセリさんのぼうしにかざったらとてもおにあいだわ。
そうだわ、わたしからのプレゼントにしましょう」
レタスおばさんは、しっかりひらいて
たねまでかおをだしているまつぼっくりを、
だいじにハンカチにくるみました。
「でも、ほこりがかかってきたないわ。みずにつけてきれいにしておきましょう」
と、レタスおばさんは、にっこりうなずいて、
みずのはってあるおけのなかに、ハンカチのつつみをしずませました。
つぎのひ、パセリおばさんは、ハンカチのつつみをもって、
レタスおばさんのところへいきました。
「レタスさん、こんにちは。 わたし、あなたにぴったりのぼうしかざりをみつけたわ」
と、パセリおばさんは、とくいげにハンカチのつつみをみせました。
「ありがとう。わたしもパセリさんにぴったりの ぼうしかざりをみつけたのよ。
そうそう、まだみずにつけたままだったわ。ちょっとまっててね」
レタスおばさんは、いそいでみずがたれているハンカチのつつみをもってきました。
パセリおばさんとレタスおばさんは、それぞれ じぶんのハンカチのつつみをほどき、
「まあー」 と、いっしょにこえをあげました。
パセリおばさんのハンカチのなかには、
パセリのようにぱぁーっと、ひらいているまつぼっくり。
レタスおばさんのぬれているハンカチのなかには
レタスのようにきりりっと、かたくとじているまつぼっくり。
パセリおばさんとレタスおばさんは、めをぱちくりさせて、
ハンカチのなかのまつぼっくりをながめ、 そろっていいました。
「ほんとうは、あなたにプレゼントしたかったのに」
ふたりとも、
まつぼっくりが おてんきのひにはひらいて、
みずにぬれるととじることをしらなかったのです。
でも、そんなことは しらなくてもへいき。
ふたりはにっこりわらって、
「じゃあ、プレゼントをこうかんしたつもりに なりましょうよ」
と、それぞれのぼうしに、じぶんのまつぼっくりをぬいつけました。
パセリおばさんとレタスおばさんは、
さっそくあたらしいぼうしかざりをつけて、さんぽにいきました。
おひさまがカンカンてって、ふたりのむぎわらぼうしは、 とてもいいひよけになります。
さて、レタスおばさんのまつぼっくりは、どうなるのかなぁ…。
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