壮一郎先生と和先生の、園児お昼寝タイムの一コマ。





「うーん…」

お外はぽかぽか陽気でも、園児たちはぐっすりお休み時間の昼下がり。
幼稚園の先生達にとって、束の間の休息といったこの時間、和先生が一人なにやら唸っていました。

「なに唸ってるんだ?」
「壮先生」

そんな和先生に「ほら」とマグカップを差し出すのは、同僚の壮一郎先生です。
差し出されたそれを受け取って、中身が自分好みのカフェオレだったことに和先生はほにゃ、と破顔するのですが。

「お、全員分集まったのか?」
「うん、集まったことは集まったんだけど…」

自分の手元にあるもののせいで、またどんよりと沈んでしまいます。

「全部集まったんなら別に悩む必要ねーだろ。何唸ってんだよ」
「だって中身が」
「ああ?」

和先生から「見て」と差し出されたものを覗き込んで、最初はさっぱり意味が判らない壮一郎先生でしたが。

「………本気か?」
「だからどうしようかなって」
「確かに」

問題のものを何枚か捲ったところで、和先生と同じように唸るハメになっていました。

「出来だけなら、どれも上出来なんだけど」

先生達が唸っている原因は、午前中に園児たちがそれぞれ描き上げた絵。
絵自体は何ら問題はないのですが、二人が唸る原因はそこではなく、絵を描き上げるためのテーマにありました。

「どーすんだよ」
「どうするもこうするも、これを貼るしかないんじゃないかな…」
「いやまて、何か勘違いしてるかもしれねーから、一応これは確認取ってからにした方がいいと思うぞ。
しっかし、それぞれ変に納得できるってところがまたスゲーな」
「納得してどうするのさ」

唸りつつも変に感心している壮一郎先生を嗜めますが、正直和先生もまた変に納得してしまっているところです。
そんな二人が手にしている園児たちの絵は、子供らしく「おおきくなったらなりたいもの」というテーマのもので。
パイロットや電車の運転手、花屋さんにケーキ屋さんなどなど、子供達の数だけ色々な絵が描きあがったのですが。

『おおきくなったら【まもるせんせい】になりたいです』
「宗一郎くんが描いちゃうあたりすごく納得できちゃうけど、でも衛先生って職業じゃないよね」
「あんな脳みそまで筋肉の歩くトラブルメーカー、職業にされてたまるか!」

小暮さんちの宗一郎くんと。

『おおきくなったら【りじちょうせんせいみたいなじょゆうさん】になりたいです』
「百合…じゃなくて、理事長先生みたいな女優さんて…あやめちゃんってば時代劇にでたいのかなあ…」
「理事長(と書いて女傑と読む)って書いてないだけマシなんじゃねーか、コレ」

峰塚さんちのあやめちゃんと。

『おおきくなったら【おばけにもやさしいおまわりさん】になりたいです』
「………純也くんも見えたんだ…………」
「お前にとっての突っ込みどころはそこか?」

風海さんちの純也くんが描いたものに関して、和先生と壮一郎先生はそろって唸っていました。



………お昼寝が終わった時、園児たちに一体どう切り出せは良いものやら。
夢は夢として大きく見させてあげたいとはいえ、その夢自体にちょっと(ちょっと?)問題があるだけに、リラックスタイムであるはずのお昼寝時間に、和先生と壮一郎先生はそろって唸り続けるのでした。


【おおきくなったらなんになる?・完】

普段いそなごいそなご言ってる私ですが、なるなごだって大好きです。
先生として普通にお仕事してる場面では、和先生は壮一郎先生と
一緒のことが多いんじゃないかと。次点では衛先生かな?
何かリクエストなどあれば、メールからどうぞです〜。
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