磯前編  


おう坊主、元気にしてたか?
…そうか、それならいい。
何せお前は気が付くと変なことに巻き込まれてるみてえだから、ちょいと心配してたんだが。杞憂でなによりだ。


ん?家族旅行の土産だ?


…悪いな気を遣わせて。いや、迷惑なんかしてねえよ。有り難くもらっとく。
ほう、煙管入れたぁなかなか面白えモン選んでくれたじゃねえか。実は丁度携帯用のを探してたところでな。どうもありがとうよ。
なんだ着流し。何妬ましげに人の面見てんだ?
………は?
カンザシ?カンザシってぇと………あのかんざし、か?髪に挿す簪だよな。
それがどうし……なんで坊主が申し訳なさそうになってんだ。


着流しへの土産が簪だと…?


あー…ちょっと待て。坊主そこ座れ。着流しもクダ巻いてねえで酒の用意でもしろ。…よし、行ったな。
さて坊主、詳しく説明しろや。何がどうしてどうやったら男への土産が簪になるんだ?悪気があったわけじゃねえって、んなこたぁ最初から判ってる。お前にそんな器用な思いつきが出来るとは考えられんしな。
…肯定してやったのに凹むんじゃねえよ。それに一応褒めてんだろうが、これでもな。


それで?何がどうして着流しへの土産が簪になったんだ?


俺の土産物はすぐに思いついたが、着流しの分がなかなか決まらなくて…って、そこら辺はまあ予想できるしお前らしいな。
なるほど、店員に何がいいか聞いてみたってわけか。まあそれはアリなんじゃねえか?
しかしなんで店員が簪なんか選んだのか判らんな…。おい坊主、お前着流しのことなんて言ったんだ?
はあ?
『真っ黒な綺麗な長い髪』で『いつも着物着ていて、しかもそれが凄く似合っていて』『なんでも器用にこなせるが、特に料理が上手くて』…って、おい。


それだけじゃ、店員も相手が和服の女だって勘違いもすらあ。お前肝心なこと言ってねえだろうが。


あー…なるほど。着流しが男だといいそびれたってわけか。全く以ってお前らしいな。
しかもなんだ、あんまり熱心に選んでくれたから断りにくかったってか。実にお前らしいじゃねえか。
けどよ、何も髪が長いのはあいつだけじゃねえんだ、簪は誰かにくれてやって、あいつには他のものを選べばよかったんじゃねえのか?


……想像したら似合ってたからついってお前……何気に凄ぇこと言うな。


なんか……あー…まあ、否定はせんが…それは着流しでなくとも凹むんじゃねえか…?
おい!聞こえてるからってそっちから喚くなうるせえぞ!
……あーあ、とうとうヤケクソで自分で挿しやがった。一応役に立ってるみたいだぞ、良かったな坊主。
坊主からだってんで律儀に受け取るあいつもあいつだが。




…お前ら、実は揃いも揃って馬鹿だったんだな。



なんてーのかな、絶対うちの日織って他所様とは明らかに
違う方向に成長しちゃってる感が否めないんですけど。
いつか恰好良い日織が書いてみたいようなそうでないような、
もういっそこのまま突っ走っちゃえっつーか。何より書きやすいし。
尚いそひおでなくとも磯前さんは日織のストッパー希望です。
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