あなたの、ことばで、ききたい





『真宵ちゃんも、春美ちゃんも、そして僕も。皆あなたを待っているんです』







この言葉の後、ゴドーさんは僕達を拒絶することを止めて。








『僕は、あなたが、好きなんです』








この告白の後、ゴドーさんは僕がそばにいることを許してくれた。











それからは。











ただ、いつも気が付くと少しだけ困った顔で僕を見ていて。
そうかと思えば、視線が絡めばすっと顔を逸らしてから、僕から知られないように小さく何かを堪えるような溜め息を零す。






「ねぇ、ゴドーさん」
「なんだいバンビちゃん」
「……なんでもないです」

呼びかければ、いつもの調子で返事が返ってくるけれど。

「…困ったバンビちゃんだな」

ああ、また。
そうやって。
少し困った顔をして。
あなたは何かを自分の中に押し留めて、ただ、僕を見ている。

「……だ……」
「ん?なんだって?」
「いえ、独り言です。…ちょっと煮詰まっちゃって」
「クッ、頑張りな。どうにもならなくなったら、俺も一緒に考えてやるよ」
「はは、ありがとうございます」

思わず口にしそうになった言葉を咄嗟に出た言い訳でごまかせば、ゴドーさんはいつものように喉で笑って、そして…僕から隠れてとても小さく溜め息を零す。






やっぱり、駄目ですか?
僕があなたのそばにいるのは、ただ、あなたを苦しめるだけですか?







やっぱり、無理ですか?
どんな形でも良い、あなたに僕を受け入れてもらいたいと願うのは、ただ、あなたを縛りつけるだけですか?









僕の中で堂々巡りになっているこの不安に、あなたは自分の本当の言葉で答えてくれますか?
それがもし、僕を傷付ける言葉だとしても、あなたは答えてくれますか?









…僕が聞きたいのは、あなたの真実の言葉だけなんです。



【キキタイコトバ・完】



久々に逆裁更新です。…そのくせに暗い…(汗)
最近ゴドナルを書こうとすると思い切りアホか
どうにも暗いかのどちらかで困ってしまいます。
ちなみにアホなゴドナル話は季節外れで出すに出せず…ぎゃふん。

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