ある日の西安京貴族街。
この街を守るウシワカ隊長、今日も仕事を抜け出して神骨頂を買い求め、愛しい大神サマへと会いに空へ飛びかけたその瞬間。
「オイこのインチキ予言者」
「アマテラス君ッ?」
その大神サマのオマケが声を掛けてきたのだから、流石のウシワカもちょっと驚いた。
「…なんだゴムマリ君一人か。僕のアマテラス君は何処だい?」
でも振り返った先にはオマケだけで、何度見てもうっとりしてしまう姿がない。
「アンタ、あれだけ散々つきまとっておきながら、アマ公のヨダレは御免って言ったんダってェ?」
「まぁ…ネ。ヨダレはユーに譲るよ、ゴムマリ君」
「俺様だって御免だィッ!」
がっかりする様を隠しもせず、それでも愛しい大神さまへついての質問にはしっかり答えるあたりがウシワカである。
「でも、熱いハグはむしろウェルカムさ」
「…言ったなァ?」
「勿論」
さも当然。
風もないのに頭の頭巾をなびかせて、しかもうっとりとしながら答えるウシワカ隊長、小さなオマケがにやりと笑ったことに気付かない。
「よォし、アマ公!こいつに思いきり飛びついていいぞォ!」
『あおんッ!』
「え、え、何だいゴムマリ君!アマテラス君を仕掛けて寄越すなんて憎い演出…」
しかも焦がれた大神が実は近くに居るというのだから、これに喜ばないはずがなく。
しかしいつものように破顔して両手を広げたウシワカは、そのまま笑顔を凍りつかせる事となる。
『わんッ!』
「ちょ…何故アマテラス君があんなどどめ色に…っていうかこの強烈な臭いは…ッ」
ウシワカがたじろいだ時には、嬉しそうに駆けてきたアマテラスはすでに光輝いていたわけで。
「わぉん!」
「アマテラス君、ストッ…」
避けるどころかあっと言う間に大神サマに飛びつかれ、強烈な色と臭いの固まりになっているその原因を間近で確かめる事となる。
「ノーーーーーーーーッ!!!!!!」
貴族街に響き渡るウシワカ隊長の大絶叫。
純白赤隈取のはずの大神さまは、頭から尻尾まで見事なまでに人間の肥やし色になっていたのだ。
「インチキ預言者が変態で良かったなァ、今回ばっかりはよーく洗ってもらうんだゼ、アマ公!」
寸でのところで遠方へ飛びのいていたイッスンは、心底ほっとした声でそういい残すと、ウシワカへアマテラスを預けて何処へと消え去ってゆく。
さてはて、ウシワカ隊長に試練が訪れた。
そして。
「清掃は陰特隊へ、民が被った損害および被害請求は全てウシワカに回しや(怒)」
肥やしまみれになったアマテラスの通って来た道々の住民から、膨大な量の苦情がヒミコの元へと届けられていたとかいないとか。
……アマテラスの世直しの旅は道草だらけである。
【愛の試練?・完】
ワタクシ大神大好きです。私の中で1、2を争う神ゲーと断言するほどに。
曲に関しては未だに泣けます。条件反射で涙が込み上げます。
待ちうけとか着メロとかは勿論、ついでにPCの壁紙も時折大神仕様。
まだやったことがない方は是非。やって損なし。癒されたい方是非是非。