世は戦国、皆がそれぞれの国を興し、ある者は残り、またある者は力ある者に取り込まれる。
そんなご時勢だが、島左近は大国の武田信玄に仕え、忙しい日々を送っていた。
信玄に軍略の師事を受けていたこともあって、左近は幸村同様に信玄にとても可愛がられていた。
つい最近には織田が武田にくだり、ますます武田の勢力は大きくなっていたのだが、信玄はあることに頭を抱えていたのだ。
それは何かと言うと・・・。
「幸村、昨日はまた三成と慶次が左近の取り合いをしたそうだな。」
「はい。左近殿が自室でくつろいでいたら、三成殿が畳の下から飛び出し、慶次殿が天井から降ってきたそうです。」
「・・・・・なんで普通にこないんだ?」
意味がわからないと呟く信玄に、幸村も深く頷く。
「ちょうど2人同時に部屋に入ってしまったようで、鉢合わせをした2人は喧嘩になったようです。まあ主に熱くなっていたのは三成殿ですが。」
2人で揉みあっているところに幸村が駆けつけ、笑顔で2人を強制退場させたのだ。
「なにしろ慶次は一応武田家に剣客としているわけだから、立場的には有利だしな。」
「ええ、慶次殿は一筋縄ではいきません。」
厄介なことに、左近自身が慶次や三成が左近に特別な感情を抱いていることに気がついていないのだ。
妙に懐かれているなくらいにしか思っていない。
まあ慶次はあえて警戒されないように行動をおさえているのだが。
「左近も妙なところ鈍いと言うか・・。」
普段は感も鋭いし、軍師としてもかなりのものなのに、何故かそう言う部分には気がつかないのだ。
「ですがそこが左近殿の可愛らしいところだと思います。」
そう笑う幸村に、信玄も確かにと笑う。
「はっはっは、それは言えてるかもなあ。というか、おことも相当左近が好きだな。」
「それはまあ。ですが私のは敬慕ですから危険はありません。」
幸村の左近への感情はあくまでも兄の様にしたっていると言う意味の愛情だ。
だから日々左近に近づく人々を笑顔で追い払っている。
「くのいちも時々慶次の邪魔をしておるいようだし、皆左近には甘いからなあ。」
かくいう信玄も結構甘やかしているので人のことは言えない。
「しかしこれで何度目の喧嘩だね?」
確かついこの前も庭で慶次と三成が喧嘩をしているのを見かけたと呟く信玄。
「通算29回目でしょうか。」
はあっと大きなため息をつく2人。
しばしの沈黙のあと、ぽつりと信玄が呟いた。
どうやら何かに気がついたようで、その声色から幸村も信玄の変化に気がついた。
「なあ幸村。」
「なんでしょうか、お館様。」
「豊臣は敵対はしていないとはいえ、味方じゃないわけだな?」
「ええ、まあ。」
「・・・じゃあなんで三成は堂々と毎回毎回乱入できるのかなあ。」
「・・・・・・・・あ。」
「おことも気がついたかね。」
どうやら2人同時にとある人物のことが脳裏に浮かんだらしい。
「お館様、ちょっとある人物に話があるので出かけてもよろしいでしょうか。」
にこりと笑う幸村に、信玄も大きく頷く。
「じゃあその間にわしも1つ大きな作戦を練って実行しておこうかね☆」
この言葉の意味が解き明かされるのはそれからすぐのことだった。
武田の同盟国、上杉。
今幸村の前で正座をさせられているのは、上杉家の直江兼続だ。
「・・幸村、ここは私の屋敷の、私の部屋なのだが・・この状況はなんなのだろうか。」
「おだまりください。」
笑顔なのに、声は果てしなく冷たい。
笑っている幸村の背後にはどす黒い気さえ漂っている。
冷や汗を流しながら兼続が問いかける。
「そのー・・私にはお前が怒っている理由がわからないのだが。」
「そうですか。じゃあこれからは兼続殿に会っても、棒読みで会話をして、目線を合わせませんので。」
すすっとそう言いながら立ち上がる幸村の腕をがっと兼続が掴む。
「私が悪かったぁああーー!!三成がどうしても協力しろと言うからつい気配を消せる札を頼まれるたびに渡したのだ・・!!」
「・・今度やったらお館様に謙信公に「おことなんか嫌い」って言っていただきますからね?」
「それだけはやめてくれぇええーー!!!謙信公がいじけて大変なことになるではないか!!むしろ寝込んでしまわれるに決まっている!!」
必死に謝る兼続に、幸村は今回は許してあげることにした。
「今回は特別ですよ。それでは私は帰ります。」
これで少しは三成の武田家への侵入の数は減るだろう。
「しかし幸村、左近殿を守らなくて大丈夫なのか?くのいちも共に来ておるようだし。」
鉄壁の守りの幸村が留守をすれば、三成や慶次の行動はいつもより過激になると思うと兼続は呟く。
その言葉に対して幸村はにっこりと笑った。
「その件に関しては、我らがお館様が既に策を練って下さっております。」
「そ・・そうなのか。」
「これで少しはあの2人も懲りられるでしょう。かなりすごい計画ですから☆」
幸村の笑顔があまりに爽やかで、兼続は今後一切この件に協力をするのはよそうと固く心の中で誓ったのだった。
いまだかつてこんな状況に陥ったことがない。
むしろこう言う状況になることなど想像しろと言うほうが無理だと思う。
「あ・・あの・・・慶次さん・・なんで左近を押し倒しているんですか?」
数日前に幸村がどこかに出かけてから急に慶次の密着度が上がっているような気はしていた。
だがまさかこう言う展開になるなどとは予想もしていなかったのだ。
「おいおい、いくらなんでもこの次の展開がわからない左近殿じゃないだろう?」
その笑顔はいつもと同じくらい爽やかで、だがいつもとは明らかに違う。
「あ・・あはは。冗談はそれくらいに・・・。」
流れる冷や汗をぬぐうこともできず、左近がなんとか慶次を押し戻そうとするが、慶次はびくともしない。
「いつもならここで鉄壁の守りの幸村が登場するんだけど、今は留守だしねえ。」
にいっと笑う慶次に、左近ははじめて幸村がいつも自分を守っていてくれていたことに気がついた。
「(こ・・こうなったら・・)誰か・ふご!」
誰かを呼ぼうと声を出そうとするも、すぐに口は慶次の手でふさがれる。
「左近殿、逃がさないぜ?」
「(ぎゃー!!!)」
一体どうしたらと左近が頭の中で考えていたその時。
「させるかぁああーーー!!!」
どこーぉおんっと障子を蹴破って三成がとびこんできた。
「・・おいおい。毎度毎度・・良い加減にしてくれないかねえ。」
さすがの慶次も、せっかくの機会を邪魔しに来た三成に頭にきたようで、声が低くなっている。
「は!幸村が留守と聞いて早速やって来てみれば、油断も隙もない。」
いや、それはあんたもだよとここに誰かいればそう言われそうだが、当の三成は気がついていない。
そして左近はと言うと、三成の自分に対する気持ちがなんであるかを今把握し、小さなため息をついた。
「まさか三成さんまで・・・。」
どうしようと頭を抱える左近の前では三成と慶次のあくなき戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
「じゃあここで決着をつけようか。」
「望むところだ。」
ごごごと聞こえるはずのない効果音が2人の背後から聞こえる気がすると左近が思ったその時。
「ではその勝負の判定はわしがやってあげようかね☆」
その声に皆がはっと声の聞こえたほうを見れば、庭の大きな石の上で軍配を構えながら格好良いポーズを決めている信玄の姿。
そばでは家臣が紙吹雪を散らしている。
「どのような勝負だ!?勝てば認めるのだな!?」
「信玄公がそう簡単に認めてくれるとは思えないけどねえ。」
いぶかしげに慶次がそう呟けば。
「もちろんそう簡単には認めんよ?だが、この試練を乗り越えることができたあかつきには認めちゃうよ〜☆」
「「試練?」」
「そう。あそこに小さな屋敷が見えるだろう?」
「ああ、あのはるか遠い所にある屋敷かい?」
「うむ。左近はあそこに待機。おこと達はあそこに日が暮れるまでにたどり着けば良いだけだよ。たどりつければね。」
おそらく数々の罠が用意されているに違いないのは、信玄の楽しげな様子からよくわかる。
だがここであきらめるほど2人はやわではない。
「いいだろう。俺は受けてたつ。」
「俺も依存はないぜ。」
俄然やる気の2人に、左近が嫌そうな顔で信玄を見る。
「ちょっと信玄公、あの2人なら用意された罠を全部越えてきちゃいそうですよ?」
心配そうなその声に、信玄はぽんと左近の肩をたたく。
「大丈夫だよ〜。今回の罠はちょっとやそっとでは乗り越えられない、わし特製の罠だから☆」
「・・信じてますからね。」
「はっはっは、まかせて☆」
かくして慶次と三成の左近争奪戦が始まった。
2人はそれぞれに違う場所から左近のいる場所を目指し始めたようだ。
そこら中から飛び出してくる敵(邪魔する人々)を蹴散らし、2人はどんどん進む。
慶次は凄まじい勢いで進んでいたのだが、目の前に誰かが立ちはだかった。
「馬鹿目ー!!儂がいる限りここは通さんぞー!!」
「政宗、はりきり過ぎだって。」
「わらわもいるぞ!」
2人の前に立ちはだかったのは政宗と孫市、そしてガラシャだった。
おそらく信玄によって頼まれたのだろう。
「おいおい、なんであんたらがここに・・。」
「そんなことは決まっておるだろうが馬鹿目!幸村に直々に頼まれたからじゃ!!幸村にな!」
鼻息荒く自慢げにそう叫ぶ政宗。
実は政宗、小さな頃からずっと幸村が大好きなのだ。
その幸村に頼まれれば嫌と言うはずがない。
「俺は信玄公に頼まれたからな。今回はすごい報酬がいいからな、それなりに働くぜ。」
嬉しそうに孫市が笑えば、ガラシャも誇らしげに言葉を紡いだ。
「わらわも信玄公に頼まれたのじゃ!」
政宗と孫市はわかるが、ガラシャが慶次にかなうとは到底思えない。
それは孫市達もわかっていたが、自分達が勝てば良いだけなので何も言わなかったのだ。
「「じゃあ邪魔させてもらうぞ(ぜ)?」」
じゃきんと武器を手にする政宗と孫市。
「・・・・じゃあ俺も遠慮なく突破させてもらおうかねえ。」
にいっと笑いながら武器を構える慶次の姿は最高に猛々しく、ちょっと怖かったとのちにガラシャは語っている。
慶次はあまりに強かった。
むしろいつもよりもっと手におえない強さが増している気がすると、孫市と政宗は思った。
「孫市・・あやつ強すぎるぞ馬鹿目。」
「いつもより邪心が感じられるぜ。」
ぜえぜえと地面に手をついてそう呟く2人。
勝負がついた慶次がちらりとガラシャを見る。
「!!」
「そこを通してもらえるかねえ?」
「・・・ち・・・。」
「ん?」
「父上ーー!!!」
「呼びましたかガラシャァアアアァアアーー!!!!」
ガラシャが叫んだのと、光秀が背後の茂みから飛び出してきたのはほぼ同時だった。
「父上、わらわでは勝てませぬぅ〜。」
申し訳なさそうに光秀にしがみつくガラシャと、頼られて嬉しげな光秀。
「よいのです、私に任せなさい!」
どうやら娘の様子が心配で見守っていたらしい光秀。
さっと光秀が武器を構えたその時、再び背後から声がする。
「蘭丸、繚乱!光秀様に蘭丸の良い所を見せる絶好の機会です!」
「お蘭、ぬけがけはなし、ぞ。」
「やれやれ・・なんでわしまで。」
わあわあと賑やかに出てきたのは蘭丸、信長、勝家だ。
勝家は完全に巻き込まれた形だが、蘭丸と信長は大好きな光秀に良いところを見せたいらしい。
「・・・はは・・・さすがにこの人数相手にたどり着けるかねえ。」
この時はじめて慶次は信玄が何故ガラシャに任務を任せたのかを悟ったのだった。
一気に面倒なことになってげっそりとしている慶次だったが、その頃三成は・・。
「ふん、思ったほど大変ではなかったな。」
三成は驚くほど順調に左近がいる屋敷のすぐそばまで来ていた。
あとはこの野原を越えるだけ、そう思ったその時だった。
ぽーんぽーん・・・。
この音を聞いた瞬間、三成の顔が青ざめた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか。」
かつてない程の嫌な予感。
「のの・・誰か麻呂とけまってくれぬかのう・・。」
ぽーんぽーんとすぐ目の前から声と、何かを蹴っている音がする。
「・・・・・・・・さ・・さすがの俺も迂回して違う道から行こう、うむ。」
ささっと踵を返して走り出そうとした三成の腕を誰かががしっと掴む。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「のー!!蹴鞠仲間発見じゃ、の!!」
とても嬉しそうにそう叫んだのは言うまでもなく今川義元で。
「何故ここに・・・。」
「のの!今川も最近武田に下ったのじゃ、の!今回は信玄公にこの野原で蹴鞠仲間が来るまで待機する任務をまかされた、の!」
一体どんな任務だと三成は心の中でツッコミをいれた。
だがこれは間違いなく信玄が用意してきた罠だ。
「・・・はかられた・・・。」
よりによって最強の罠を自分は踏んでしまったのだ。
以前三成は豊臣の使者として今川に行ったことがあった。
その時も、無理矢理蹴鞠の相手をさせられた三成は義元の手ごわさを嫌と言うほど知っている。
「ささ、三成殿!早速麻呂とけまろうの!」
物凄い力で三成の腕を引っ張る義元。
「俺は忙しいのです。またの機会に・・。」
三成が断わり文句を最後まで言うよりも早く、義元の蹴鞠が木の幹にめり込む。
「のの・・よく聞こえなかった、の?」
可愛らしく小首を傾げるその姿とは裏腹に、絶対に断われない気をその身にまとっている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・。」
かくして三成と義元の楽しい蹴鞠時間が始まったのだった。
約束の締め切り時間まであとわずかになった頃。
「ぜ・・・・ぜえ・・。」
「おお、三成さんもお疲れみたいだなあ。」
「貴様もかなり疲れているようだが?」
あれからなんとか三成は義元と別れ、慶次も全員を倒してきたのだ。
ちょうど1本道で顔を合わせた2人がお互いに言葉を紡いだその時。
「慶次!!やっとみつけたぞ!!」
スパーーーン!!
「いでーー!!」
物凄い勢いで慶次の頭をはたいたのは叔父の利家だ。
一見無敵の慶次も、叔父の利家には弱かった。
昔から懐いていたし、何故か利家には逆らえないのだ。
利家の姿を見た途端に、急に慌てだす慶次。
「げー!!なんで叔父御がここに!?」
確か利家がまかされている領地はここからかなり遠いはずだ。
「ばかやろう!!信玄公に慶次が悪さしてるから叱ってくれって言われたからきたんだろうが!!」
「・・・・・・・・・・・・・・やられた・・。」
深い深いため息をつく慶次。
もうすぐ約束の時間が来る。
だが自分は利家から逃げきれる自信がない。
「ほら行くぞ!今夜はみっちり説教だからな!」
「わかったって叔父御。だから離してくれないかね・・。」
「だめだ!!途中の道で信長様や光秀達が疲れた顔で地面に座っていたけど、あれもお前だろ!?」
「・・・・・・・・・・・・ばれた?」
「とにかく今日は逃がさないからな!」
がっしりと襟首をつかまれ、連れて行かれる慶次の顔は、心なし嬉しげだと三成は思った。
これで邪魔者がいなくなり、大いに喜ぶべきところなのだが・・。
「・・・・・・・・・くる。あの人が絶対来る!!」
さすがはキレ者の三成、即座に自分にも大きな罠が用意されていることに気がつき、踵を返して帰ろうとした。
だが時既に遅し。
ぎりりと誰かの美しい指が三成の肩に食い込む。
「三成〜、むかえにきたよ〜?」
「・・ひーー!!!おねね様!!」
「まったく毎回毎回信玄公や左近に迷惑をかけて悪い子だね!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・はあ。」
「はあじゃないよ!今日と言う今日はお説教だよ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・説教はいつものことだと思いますが。」
「何か言ったかい?」
「・・いえ。」
もはや何を言っても逃げられないと悟った三成は大人しくねねにひっぱられながら帰って行った。
こうしてお館様の無敵の策で左近争奪戦は勝者がいないまま終了したのだった。
あの大騒ぎから1月。
暫くは大人しくしていた慶次と三成だったが・・・。
「また貴様か!!」
「あんたもしつこいねえ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・・・。またきちゃった。」
大きな大きなため息をつく左近の目の前ではいつもの光景が繰り広げられている。
またもや同時に左近に会いに来てしまった様子の2人。
ぎゃあぎゃあと喧嘩をする2人に、左近が仕方なく止めに入ろうとするが、2人は耳をかそうとしない
「困りましたねえ・・。」
そんな左近の肩を誰かがぽんと叩く。
「左近の旦那、あたしが良い案を教えてあげましょうか?」
にやっと笑いながらくのいちがそう言葉を紡ぐ。
「どんなです?」
「あのね〜。」
ごにょごにょと左近に耳打ちをするくのいち。
「・・・本当にそれであの騒ぎが収まるんですかい?」
「う〜ん。騒ぎは収まらないけど、とりあえず2人の注目はこっちに来ると思う☆」
「まあ・・確かに。」
「じゃああたしは幸村様呼んで来るね〜☆」
今のままではあの2人は人の話を聞かないだろう。
そう思った左近はくのいちの言う通りにすることにした。
そしてくのいちに三成と慶次のことを聞いた幸村がすぐにやってくる。
「またあの2人がきているのか・・。」
「もう左近の旦那困ってますよ〜☆」
「仕方ない、穏便に追い返すか。」
「・・幸村様、穏便って言うわりにすでに武器を握ってますよ。」
「ははは、気のせいだくのいち!」
「・・・・段々幸村様が無敵になっていく気がするにゃあ。」
ぼそっと呟くくのいちをよそに、幸村は左近の部屋に到着をする。
「慶次殿、三成殿!良い加減にしてください!」
大声で叫ぶ幸村だったが、三成と慶次は喧嘩中で話を聞いていない。
仕方ないと幸村が早くも武器を構えようとしたその時。
「幸村、いつもすまないな。」
「左近殿、いえ別・・に〜!?」
幸村がすべてを話す前に、左近がぎゅうっと幸村を抱きしめる。
どうやらこれがくのいちの作戦の様だ。
目を白黒させながらも幸村はまんざらでもない様子だ。
それを見て例の2人はその場で固まる。
「幸村様、そこで抱きつきかえして!」
少し離れたところでくのいちが幸村に合図をおくる。
「・・・・。」
とりあえずくのいちの言う通りに左近を抱きしめ返す幸村。
このあと凄まじい叫び声(奇声)が周囲に響き渡り、2人が信玄に襟首をつかまれて退場し、苦情を受けて再び呼ばれたおねねさんと利家に延々と説教をされたのは言うまでもない。
おそらく今もこれからも、一番おいしい位置にいるのは幸村だと確信をしたくのいちだった。
【君にめがけて愛を投げつける・完】
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このお話はサイト20万打企画で「左近が皆から愛されていて慶次が優勢なお話」ご希望で書かせて頂きました。
設定的にエンパななので、やりたい放題です(笑)。
主に今回は幸村、三成、慶次、お館様が大騒ぎしております。
とにかく皆に可愛がられ、愛される左近が書きたかったので・・。
そして何故か幸村最強伝説になっております・・(汗)。
少しでもご希望に添えていますように・・!!
最後に素敵なリクエストをありがとうございました。
夕月夜 夕月拝
リクエストを募集されていたので、すわ一大事!とがっつり応募したところ
こんな素敵なSSとなって届きましたよ、すげー嬉しいんですけど!(歓喜)
殿も慶次も左近さんが大好きなのは勿論、爽やかに黒い幸村(褒めてます)、
お茶目に格好いいお館さま、他にも夕月さまのサイトで好きになった
キャラが犇いてますが、中でも秀逸なのが麻呂!もー麻呂大好き(笑)
夕月さま、本当にありがとうございます大事にします(お辞儀)