最強乙女編(夕月様)
最強乙女達編









 背後から聞こえてくる三成と慶次と伏犠のやたら嬉しげで興奮した声。
王元姫と共に必死に逃げながらも、左近は既に諦めの境地にいた。


 「もう俺は駄目です、どうか俺をおいて逃げてください。」
そう言葉をかければ、王元姫はふるふると首を横に振る。
「諦めては駄目。もう少し逃げれば、誰かに出会えるかもしれない。」
「・・・そう・・ですね。」
明らかに背後から聞こえてくる声が、先ほどよりも大きくなっているのを感じつつも左近は頷く。

 それからほどなくして、自分達が走っている道の先に誰かが立っているのを見つけたのだが。
「あら?どうかしたの、血相変えて。」
そう言葉をかけてきたのは、北条の甲斐姫だった。
「ああ、なにやら顔色が悪いのじゃ!」
ひょこっと甲斐姫の傍から出てきたのはガラシャだ。

 「・・・・・・・いよいよここでお別れのようです。」
「左近殿!?」
「甲斐姫さんやガラシャさんのようなか弱いお嬢さん達を、あの厄介3人衆の騒ぎに巻き込むことはできませんし。」
自分が何とかしてみると呟く左近を王元姫は切なげに見つめていたのだが。


 甲斐姫は1人でかなり感動していた。
いまだかつて自分のことをか弱き乙女と称してくれた人物がいただろうか。
しかも目の前の人物は、自分達を巻き込まないように犠牲になるつもりらしい。
「・・・・・理由はわからないけど、あたしは力になるわよぉおーー!!!」
がっと左近の肩をつかみ、甲斐姫が叫べば。
「おお!甲斐が頑張るなら、わらわも力になるのじゃ!」
「え・・いや・・・お気持ちはありがたいですけど、相手はあれですよ?」

 乾いた笑いを洩らしながら、左近がそちらに視線をやる。
「ついに観念したか左近!!」
「おいおい、だからあんたは引っ込んでなって。」
「はっはっは、わしが勝つぞ〜!」

 甲斐姫は心の中で呟いた。
あ、あいつら全力でぶったおそう、と。

 「・・・・なんか全力であいつらから守ってあげたいって気持ちが強くなったわ。」
「・・・わらわもそう思ったのじゃ!」
ちゃきんと武器を構える甲斐姫と、戦闘のかまえをとるガラシャ。
そんな2人を静かに見つめていた王元姫は、何かを決心したように頷き・・。
「私も参加するわ。」
そう言いながら武器を構える姿に、、左近はぎょっとする。

 「ちょ、あなた方の様な可憐なお嬢さん達にはあの変態達の相手は無理ですって!!」
怪我でもしたらどうすると慌てる左近をよそに、戦いの幕が切って落とされる・・と思われたその時。

 「では、その戦闘に参加させてもらうか。」
無表情のまま、そう言葉を紡いだのは女禍だ。
「・・・・・・・・・わし、用事を思い出した!!ではな!!」
大慌てで去っていく伏犠。
その後を無言で追いかけていく女禍。
この後、伏犠がどうなったのか、知る者はいない。


 (厄介なのが1人いなくなった!!・・・けど・・・。)
内心、心の中で喜びながらも、まだ2人の厄介な人物達が残っていることに小さなため息をついた左近だったが。


 「にゃはは〜☆煌めく彗星のごとく、参上〜☆」
とても聞き覚えのある声と共に、姿を現したのはくのいちで。
「・・・・くのいち・・・。」
「もう大丈夫ですぜ、左近の旦那!さっき道端で落ち込んでいた司馬昭の旦那から話は聞きやした!」
「・・・・ということは・・・?」

 涙交じりの目で、くのいちがやってきた方を見てみれば。
「・・・・うちの左近を狙う悪い子はいないかね〜。」
「さて・・・今日は遠慮なしでいかせていただきますか。」

その2人の姿を見た瞬間、左近は心の中で叫んだ、これで助かったと。

 「にゃはは、幸村様はいつも遠慮なんかしてないと思いますけど☆」
くのいちの呟きに、幸村はにこっと左近に微笑み、そして近くにいた甲斐姫達に声をかけた。

 「すみませんが、左近殿をつれて武田軍の方に先に行っていただけますか?」
その笑顔はあまりに爽やかで、そして怖かった・・っと後に皆は語る。


 かくして最後まで諦めなかったお陰で、難を逃れた左近。
北条軍と明智軍にはお館様からの感謝状が届けられたのは言うまでもなく。
しばらくの間左近が人前では甲冑を脱ぐこともなく、左近の傍にはいつも爽やかな微笑みの幸村が立っていたのは仕方がないことかもしれない。

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こちらは可憐なる乙女達編です。
乙女達の勇気が、最強の助っ人2人を呼んだと言う(笑)。



いつもお世話になっております、夕月夜の夕月様より頂きました第二弾。
おっとこ前な乙女達が可愛いです(誉めてます)
武田主従の無敵っぷりも素敵です。堪らん。
そして左近防御壁が段々強固になっていく様が素晴らしい(笑)
またしても素敵SSありがとうございました〜(笑顔)
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