01 瞼に口付ける ( 玄×金 )




むっすー。
そんな擬音を背負うように、只今大神サマはご機嫌ナナメの真っ最中。




「…アノ、日向サン?」
「なんだ」
「どうしたデスか」
「なにが」
「事務所、大変な事になる、してマス」

そんな大神サマの奥様…基、同居人で良きパートナーである金さんが、腕を振るうつもりでいそいそと出かけた買い物先から戻ってみれば。
出かける前は確かに片付いていたはずの事務所が、一転まるで泥棒に入られたか襲撃をかけられたかのような惨状になっていたのですから、片付け要員第一の金さんとしては大神サマのご機嫌の悪さを知りつつも聞かずにはいられません。

「…光太郎と言う名のいつもの台風に襲われて、オプションごと追い出す前にこのザマになった」
「……」

しかしそれだけで一体何があったのか十分理解できてしまった金さんは、ムスッとしたままの大神サマに対して同情的な溜め息を一つこぼすと、彼が座っているソファの隣に自分も腰かけて。

「それは災難、でしたネ」

と、大神サマが事務所内でも掛け続けている黒の色眼鏡をそっと外して、小さく微笑むと慰めるようにそっと瞼に口付けを一つ落としました。

「…なぁ金さんや」
「何ですカ」
「まさかこれだけで終わりじゃないよな?」
「……」

するとご機嫌ナナメだったはずの大神サマは、さも当然と金さんの腰へ腕を回し。
そして続きをねだるべく、今度は自分から金さんの瞼へ口付けを落としてきました。

「…拒絶はしない予定ですが、私はそれよりもこれを片付けるが先、思いますヨ?」
「それよりも俺を慰める方が先だな。…いや、誉める方か」
「エ?」

どういう意味か判りかねると金さんが身を引けば、大神サマはくいっと指先だけでその理由を示し、すぐに唇を塞ぐべく取られた間を詰めてしまいました。

「ア…」
「絶対に守る必要のあった書類と一緒に、これだけは死守しといた」

大神サマが示した先にあったのは、可愛らしいポトスの植木鉢。
殺風景だからと何気なく置いていたそれを、妙に気に入ってしまった金さんがずっと大事に世話していた事を知っていた大神サマは、事務所にいつもの危険が迫るや否やさっと隠して守り通したのでした。

「そういう事ならば仕方ないデスね。…デモ、此処では駄目デスよ?」
「判ってる」

珍しく素直に金さんがその先を許せば、大神サマの相当ナナメだったご機嫌は目に見えて回復して。
移動する僅かな間さえ惜しいと言わんばかりに、大神サマは金さんを寝室へ招きながら顔中に口付けの雨を降らせます。



「後から片付け出来なくなりマス。流石に手加減する、して下サイね?」
「…善処する」



ベッドに横たえると同時にいそいそと道士服の止め紐を外しにかかる大神サマに、ダメもとで注意を促す金さんでしたが。




…その注意が生かされたかどうかは、数刻後の二人のみぞ知るところ。






【瞼に口付ける・完】

お題完了最後の作品は、式神の城で日向玄乃丈×金大正。
(素敵お題は ホワイト さまから拝借です)。
久々だろうがなんだろうが、式神親父ズは相変わらずの馬鹿ップルでした!
でもこれがうちの二人なので、今更突っ込みは入らないに三千点(笑)
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