事務所がヒマだと、ろくなことがない。
…それは、金が日向のところの居候となってから、日々痛感していること。
「…ッ、ん…」
「………」
「ふ…ぅ、っ…」
「………」
「ぁ…ん…ンぁ…っ」
「………」
「……ッもう!何しますカ全くッ!!」
「何って…キスしただけだろうが」
「だけって…そうではなく!いきなりこんな事、困りマスっ」
「何で困る?」
「…は?」
「言ったのはお前さんじゃないか」
「は…ぁ?」
「さっき『日向サンの犬歯、人間の時はどうなってマスか?』と言ったから、確かめさせてやったんだぞ」
「だ、だからって、何もあんな事する、必要は…」
「しっかり確かめられただろうが」
「は?」
「中に入れさせたその舌で、よーく俺の犬歯をなぞらせて確かめさせてやったし」
「……ッ!」
「それから、お前さんの舌を噛んで鋭さを教えたり…」
「ちょ、っと待…ッ」
「そんなに慌ててどうした。まさか気持がいいだけで、確かめ損ねたのか?」
「!!」
「なんだ図星か。仕方がないな…」
「いやもうアレで十分デスっ!
腰に腕回す止めて、ちょっと待ッ…ぎゃあドコ触ってますカわぁボタン外す止めて下サイーッ」
「せっかく二人きりなんだ。久々に思う存分じゃれ合おうじゃないか」
「じゃれるの意味違うーッ!」
困ったことに、ネコ探しの依頼さえ入らない日向探偵事務所では。
ヒマを持て余したオオカミさんが、何時までも居候だと言って聞かない自分の恋人に、オシオキも兼ねてもっと仲良くなるために精を出す。
日向玄乃丈および金大正の本日の予定。
【過剰なスキンシップ】