君を思う5つのお題 一方通行編 「肩書きは友人」







たった一つの【護るべきもの】の為に、本来の生き方と幸せを捨てた彼が、俺のそばで仁王剣を振るう。



そして同じように、たった一つの【護るべきもの】の為に、人としての全てを捨てた俺も彼のそばで、可憐な少女の謌を力に代えて。








屠って、屠って、屠って、屠り続けて。
殺して、殺して、殺して、殺し続けて。







長い長い道程を、果ても終わりもない道程を、進む。








「大正殿。如何なされた?」


それでも時折彼は彼を取り戻し、その度にそっと小さく、かすれた声であの男の名を呟くから。
…俺がこの手消したはずの、すでに彼の記憶にもないはずの、いまいましいあの男の名を呟くから。




「何か大事を忘れている、気がして…」
「大丈夫だよ、大正殿。貴殿は何も忘れてなんかない」




全ての世界からその存在を消し去っても、彼の意識の些細な綻びから這い出て、また彼を護り意識を包もうとする事が許せなくて。




「【玖珂光太朗】の為に戦う、俺達に大事なのはそれだけだよ」
「エエ…そうです、それが一番の大事…」
「さぁ、行こう。コウの為に、俺と」
「ハイ。…コータローさんを護るため……アレ…」
「大正殿?」
「おかしい、デスね」




ゆるゆると頭を振って静かに俺に視線を合わせる彼は、頬に一筋涙を伝わせて。
その意味を奪われ消されたが故に、その涙に心が焦り戸惑い、結果彼は俺に縋る。





「あなたは優し過ぎるよ、大正殿…」






そんな彼に、俺はそっと口付ける。








恋人の、ではなく。
友人の、キスを。










…それは君を特別に想う俺が、あの男の名を呟くその唇の汚れを祓う、ただそれだけの行為。






ロジャ金でまったりお題にチャレンジ第二弾。
題目の割りになんだか内容が物騒です。
あんまりなのであえて名前は出しません(苦笑)
なお、お題は TV 様より
お借りしてまいりました〜。
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