99’全日本技術選レポート
「KAZUKIから見た技術選」

 さて99年の技術選もいよいよ準決勝に突入、予選を勝ち抜いた全国の強者達が基礎スキーの頂上を目指して激突です。この日の天候は曇り、少し肌寒い感じさえする天候、前日からの懸命のコース整備は続いたが僅かに降り積もった雪がコースの硬さや選手達のスキーの滑りを微妙に狂わせることになりました。

 午前中の種目は小回りの規制と大回り急斜面の規制、小回り中斜面は比較的楽な斜面設定でバーン状況もそれほど大きな崩れを見せなかった。
この種目僕はスタートが早かったので各選手の滑りを分析する間もなく斜度とスピードにどのタイプの滑りが適しているか最後まで悩んでしまった。選手の使用するスキーは大きく2種類に分かれ小回り用のサイドカーブの浅めのスキーで滑る選手と、カービングのスキーで臨む選手とに分かれていた。今回の斜面は斜度が緩いので完全な小回り用にいたよりも少しカービングの要素を強く表現した方がいい評価が出るのではないかと考える選手もいたようでした。僕の前を滑った志鷹慎吾はアトミックの9.14を使用、少し跳ね気味だったがまずまずの評価、スタート直前まで迷った僕は結局一種目めということもあり無難な作戦に出てスラローム用の9.34(βレース9.34 183cm)を使用、自分の感触としてはあまり良くなかったが282点をゲット、思わずラッキーと思ってしまった。その後270点台点数は出るがなかなか280点をクリアする選手がいなかった中、宮下征樹がトップにならんだ。結局最初の282点が残りトップをキープした格好となった。

スキーの走りが引き出しにくい状況なので差があまりでない種目だったね。条件が合えば少しきつめのサイドカーブを持つ板の方が良い滑りを表現できたかもしれないが、最初の種目ということでパーセーブに行ったのが良かったんだね。

 2種目めの大回り規制は転倒者が続出する大荒れの種目となった。何人もの選手がネットを越えコース外に投げ出されてしまった。(ビデオの撮影隊は三脚を二本折られたとのこと、高いのにどうするんだろう?)スタートが比較的早かった選手はまだ良かったようだが、後半の選手は荒れたコースにスキーを取られて大転倒するケースがしばしば見られた。この規制は今回のコース状況により急遽サイズが改められたので、ほぼ全員が初めて滑るサイズのターンであったと思う。まず最初に征樹が281点でトップに立った、彼はスタート直前(3人前)に180cmのカーブのきついスキーにチェンジして滑ったようだ。その後久哉が282点でトップを奪う、規制の入り口と出口がタイトな為切り換え時間を短くしていかないとコースアウトしてしまいそうなセッティングであった。多くの選手がレースカーブでは対応できないと話し短めのカービングスキーにチェンジして滑っていた選手が多かったようだ。僕の前の竹節も180cmぐらいのカービングスキーにチェンジしていた。僕も昨日大回りで使った190cm(βカーベックス9.18 190cm)に変更して臨んだが、2ターン目の出口にあった穴にスキーがまともにはまってしまい次のターン(通称ヘルマンターン・・・・コースの外側が下がっていて浮いてしまう為)へスキーが重なったまま入って行ってしまった。転ばなくて良かったよ…この種目トップは柏木、やはり切り換えからスキーを一気に抜いていく動きに注目が集まったようだった。284点で小回りの失敗を一気に埋めてしまった。

 午後の種目は中斜面の大回り規制と総合の規制、雪の状況が得点に大きく影響した2種目であった。中斜面のカービングターンは午前の種目が終了後コース整備に入ったので、雪は一気に悪くなり、雪面硬貨剤も満足に効かない状況となった。最初の班で滑った柏木はまだ荒れていないコースでいきなり285点、後に続く者はこの得点を目標に滑るものの一向に追いつく気配はない。それはバーンが完全に緩んでしまいカービングしようとしてもスキーが返って来てくない為であった。強く力を使えば使うほど板は潜ってしまい、失速していまう状況に各選手は悩まされた。ほとんどの選手が口を合わせるように「もうただ乗っているだけしかできなかった…」と話していた。僕は180cmの板を使用(βカーベックス9.18 180cm)この種目は正直いってトップを獲りたかったがまるで砂漠の中を滑っているような状況で全く自分がイメージしている滑りができなかった。しかしこの状況の中では我慢するしかなかったね。征樹も外側のたまった雪をさけセンター付近のみを滑って276点止まり、久哉が頑張って279点だがそれほど良い滑りはできなかったようだった。
この種目で粟野は死んだ、たまった雪に足を取られおまけに手を突いてしまった。完全にバランスが崩れた滑りでゴールしてしまった、明日は大爆発すると語っていた。結局280点を越えたのは最初の柏木だけという格好となった、この種目が体勢には大きく作用することとなった。

 もう片方の総合滑降は逆に最初に滑った選手には少々辛い種目となった。昨夜の雪が完全に排除されていない為スキーの滑りが極端に悪くなりスピードが上げられない状況の中での演技となった。各選手は急斜面の入り口の入り方に工夫を凝らし、ジャンプで入る者ありスキーを離さないでカービングで入る者あり、見ている者には楽しめる種目ではなかったでしょうか。久哉が大きなジャンプで急斜面に入り観衆を沸かせた、全体のリズム変化としてはそれほどずば抜けた滑りではないが、ゴール前得意の膝を使ったカービングターンで得点を稼いだようだ。僕はこの滑りは嫌いなんだけどうけちゃうんだよねこれが…その後には宮下と柏木が続いたが「これは凄い…」とうならせるような滑りはなかったような気がするね。僕のこの種目(βDEMO10.26 188cm)は中盤の大回りを大きく引っ張りきれず中途半端なないようで終わってしまった。中盤の小さなコブと積もった雪に対応しきれなかったのが敗因だね。この日の構成は全体にしっかりとしたイメージが出来上がっていなかったから失敗につながっちゃったんだね。やはりイメージと構成は大切だね。

 準決勝が終わった時点でトップは柏木、4点遅れて久哉と征樹、更に7点遅れて僕が続きその後は1点刻みの団子状態。明日の種目次第で簡単に順位が入れ替わる状況である。

夕方決勝の公開ドローが行われた。トップの柏木は12番、征樹が4番と同じ班に入っている。僕の班には久哉と10位前後の選手達がたくさん入いることとなった。ローテーションの都合で明日は最初の大回りがこの班のトップ、その後の種目は粟野の次ぎを滑ることとなった。粟野の後を滑るというのはラッキーだったね、まだまだ僕にも少しつきが残っていたようです。


 技術選最終日は、朝方少し曇り空の中始まりましたが,後半の急斜面種目の途中から天候が回復してよいコンディションの中で、最終種目の制限滑降が出来たと思います。この日の最初の種目は大回り(急斜面・不整地・フリー)でした。ゼッケン1番の我満が280点で飛び出し、続いて宮下征樹が同得点で続くという展開になりましたが,柏木が思ったほどこの種目で伸びず278点。自分にもチャンスがあるとスタート時には思ったね。しかしマテリアルやタクティスでは全く問題なかったのですが,今ひとつ自分が頭の中で描いてい滑りができず275点止まり、なんかピントがずれていたみたいだね。何とか転倒は免れたがひどい滑りになってしまった。274点で一気に順位を下げる結果となった。後で気が付いたんだけど最初に使おうとしていたスキーも間違ってスペアーの板を持っていってしまったらしい、この時点からすでにボケていたようだね。競技の方はその後、佐藤久哉が深く鋭いターン弧を描いて,284点でこの種目トップを獲る。バーンコンディションはこの大会期間中で最も良く,どの選手もベストが尽くせた種目であったと思います。

 総合滑降(総合斜面・不整地・フリー)は中間地点にコブ斜面を設定されていました。朝一番スタートの選手にとってはかなり恐怖感があったんじゃないかな、バーンも今大会中で最もハードに仕上がっていたので,観衆にも選手達の滑りが十分伝わったんじゃないかな。前半、猪又誠・若月といった選手が高得点を上げその後今回は比較的元気がなかった北海道の能登恒が278点得点をたたき出し,非凡のスキー技術を持つことを印象付けた。僕は,この種目からローテーションのため粟野の後ろにつくスタートになりいよいよ反撃態勢。粟野が280点その後僕は282点と久々に280点をクリアし、快心のすべりができました。スピードやジャンプは若手に劣っていたかもしれないけど全体の構成は今回の中では一番上手く行ったんじゃないかな。その後柏木は285点をだしトップをキープ、宮下征樹は思い通りの構成ができなかったのか281点に終わった。この時点でトップ柏木、2位が宮下、3位が佐藤らの上位。

 急斜面種目(小回り・急斜面・不整地・フリー)は1班からのスタート。まず、長野県の山田誠司が快心のすべりで279点、柏木は280点でそれほど点数が出ませんでした。征樹もこの種目に逆転をかけて挑みましたが、中盤リズム感に欠け点数は思ったようには伸びなかった。長野県の中堅デモの松沢幸靖はこの種目前まではトップ10に入っていたが、コース中間の斜度がきつい部分で大きなミスを犯し優勝圏外から一気に去ってしまった。

続く第2班は佐藤久哉が中間からバランスを崩し269点と大きく後退。この時点で柏木の初優勝がほぼ確定的となった。昨年の覇者粟野は中央のコブを避け、下から見て左側のラインを果敢に攻めスピードをアピールしたが280点にとどまった。続く僕は(βカーベックス9.26 180cm)、下から見て右側の最も斜度のあるラインを選んだ。タイミング的には少しずれていましたが、何とか全体的にまとめて281点でここまでの最高得点をゲット。ほとんどの選手はこの種目に勝負をかけたため、選手によって明暗がはっきりと分かれた種目となりました。その中で、ベテランの若月新一が技術選で初めて281点の同点トップに踊り出た。一方4位争いをしていた山田卓也、伊藤秀人らは269点。伊藤秀人は中盤からゴールまで一気に暴走してしまい。山田卓也も、中間で2度バランスを崩したことが敗因だったようだ。

技術選の花とも言えるこの種目は技術選にかける選手達のドラマが見られたように思います。特に今回使用した斜面はコブこそ少ないものの斜度がきつい為、成功と失敗がはっきりと分かってしまう設定でした。ほとんどの選手が「守り」ではなく「攻め」の滑りをした結果が得点としてはっきりと現れました。トップグループに入る為には常に275点以上の得点をキープしていかなければならないという厳しい状況をまざまざと見せ付けられた格好となってしまったようです。

 最終種目の制限滑降では、上位スタートの選手にとっては非常に状態の良いコースを滑ることができました。予想どおりラップは佐藤久哉、2番に伊藤秀朗、余裕を持った柏木選手が3番と競技出身者が独占しました。猪又・竹節・松田といったこの種目に強い選手達も順当にトップテンには入っていたようです。
征樹は僕(βレース10.26 188cm)と同じタイムでゴール、久哉に2秒半近くもさをつけられ一気に逆転されてしまいました。やっぱり現役に近い選手は速いね、最終種目までに10点以上のマージンを持って臨まないと簡単にひっくり返されてしまいます。しかし10点って言うのは差をつけられるのは簡単だけど、他の種目で10点離すっていうのは本当に大変だね。来年が思いやられるね…

 今大会は、柏木君がロングターン系で確実にポイントを獲得し、常にトップをキープする展開となりました。特に切り換えから次のターンを捉える運動がスムーズで早かったことが高い評価を得ていたようですね。一方の宮下は小回り系で点数を伸ばしたものの、随所で小さなミスを犯しトップを脅かすほどにはいたりませんでした。佐藤久哉は得意のカービングターンをみせたものの、苦手の小回りで得点を下げる結果となってしまったようだね。僕は大回り系で得点を稼げると考えていたものの、終わってみれば昨年と同じように小回りで得点を稼いでいました。自分が考えているカービングターンを表現できていなかったようですね。イメージはバッチリなんだけどね…この辺がスキーの難しさなんだろうね。次回はこのことを課題にして、また新なことを考えていきたいと思います。上位3人が若手という中で、我満、粟野が後半盛り返し、ベテランの健在振りを誇示しましたね。

 たくさんの応援ありがとうございました。皆さんのご期待にこたえられる満足のいく成績ではありませんでしたが、いくつか自分らしさを表現できたのではないかと思います。技術選もテクニックをアピールするだけの大会として捉えるのではなく、たくさんの種目が積み重なったゲームとして捉えると面白いよ。各選手の得意・不得意が随所に見られるし、それぞれの選手の個性も見えているしね。来年は八方で行われると聞いています、是非違った角度から技術選を見て楽しんで欲しいな〜
シーズンも後半になってきましたが、もっともっと技術に磨きをかけ次の国際技術選に挑みたいと思います。それでは……